陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

JAL経営破綻:会社更生法適用を東京地裁へ申請

2010-01-19 19:07:38 | 財政・経済問題
 資本金2510億円、年間売り上げ2兆円強、従業員5万2000人の民間大企業、㈱日本航空(JAL)が、二転三転した結果、1月19日夕刻に会社更生法適用を東京地裁へ申請した。創立以来59年の歴史を持つ名門フラグ・エアラインは、これから新しい経営を模索しながら再出発することになる。

日航が会社更生法申請、機構は支援決定

 日本航空は19日、主要子会社の日本航空インターナショナル、ジャルキャピタルとともに東京地裁に会社更生法の適用を申請した。

 3社の負債総額は約2兆3000億円で、2000年のそごうグループ22社の1兆8700億円を上回り、事業会社では戦後最大規模の経営破綻となった。

 再建を主導する企業再生支援機構は、日航に対する支援を決定し、管理下に置いた。政府も、日航の再建を支援する声明を出す予定だ。

 支援機構は、燃料や機内食など一般商取引の債権を適用申請後も保護する方針だ。政府と協力して運航に支障が出ないよう万全を期す。

 日航は支援機構の管理下で、グループ社員の約3分の1にあたる1万5700人の削減などリストラに取り組む。また、西松遥社長兼最高経営責任者(CEO)が辞任し、稲盛和夫・京セラ名誉会長が新たなCEOに就任する見通しだ。
(2010年1月19日17時50分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100119-OYT1T00907.htm?from=top

 東証1/19のJAL終値は、5円であった。会社更生法適用の結果、全株式は強制回収され、2月20日に上場廃止となる。

 前原国交相は、昨年9月にJALから経営逼迫を伝えられ、政策融資を相談されたが、融資を断った上、改めてタスクフォースによるJAL再建策を提案すると述べた。それからJAL再建の迷走が始まった。

 以前に指摘したように、JALには問題が多過ぎた。前原タスクフォースは、再建案を一応作成したが、これを企業再生支援機構へ丸投げする。更に、鳩山内閣内の意見不一致もあって、支援機構の提案は宙に浮いたままになって行く。ようやく年明けに、法的整理をする方針が固まったけれども、再建は実質的に一時国有化することになり、その実施には相当な国費出費が予想される。

 まず、日本政策投資銀行1500億円、メガバンク3行が有する2000億円の債務、合計3500億円の有利子負債は、これを踏み倒す。これまでに政投銀行が2000億円のつなぎ融資を決めているが、更に2000億円融資を上乗せする。それとは別に、支援機構が3000億円の出資を行う。政策銀行は、国が出資する銀行であり、支援機構は半官半民の組織、これらから出資される合計7000億円のカネは、かなりの部分が税金で賄われる。

 西松遥社長を初め現在の役員は、全てが退任し、政府の全面支援を受けながら稲盛和夫新CEOの元でJALは再出発する。稲盛氏がどのような再建策を持ってJALを再建するのか見守りたい。それにしても、8つもあった組合はどの様に再編されるのであろうか。

 ライバル会社の全日空(ANA)は、財務体質の強化されたJALが競合路線で価格競争に出ることを警戒している。利用者にとっては有難いことだが、価格競争が行き過ぎて、両者の安全運行に影響が出ないことを望む。

 時事通信によると

「強い日航」誕生を警戒=国際線吸収も狙う-全日空

 ライバルの全日本空輸は19日、「健全な競争環境がゆがめられる可能性がある」とのコメントを発表、政府の後押しを受けた「強い日本航空」の誕生に危機感を募らせる。一方、日航の国際線吸収など長期展望も描いており、日航再建で一変する航空業界の構図に2段構えで臨む。

 全日空が恐れるのは、まず、企業再生支援機構の支援をバックに日航が仕掛けてくる運賃値下げだ。航空需要が冷え込む中、全日空も2010年3月期は赤字に陥る。競争激化への警戒感は強い。

 また、日航が重い負債を解消し、公的資金3000億円の出資を受けて財務体質を改善。赤字路線撤退や旧型機廃止、人員削減を通して「筋肉質」に生まれ変わることは一段の脅威だ。

 欧州連合(EU)は公的資金注入を受けた航空会社に対し運航規模やシェアの縮小など「競争のゆがみ」を抑える厳しい規制を課している。全日空は「税金で焼け太りは許さない」(幹部)と、日航にEU並みの規制を課し、公正・公平な競争環境を確保するように国土交通省や公正取引委員会に求める構えだ。(2010/01/19-22:09)
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2010011900762

(参考)

ダッチ・ロールするJALの再建策
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/ec30ea3c836839749c9aef73644b5169

JALの経営再建を前原国交相はどのように取り扱うのか
http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/ea9d8b520029ea06115a6b2a892b8890
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1 コメント

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JALと民主党って。。。 (JALと民主党って。。。)
2010-01-20 10:33:38
既にJALに1兆円投入されてその行方が分からなくなっていると聞いています。
さらに1兆円投入ということですか。。。?
そもそも、そこまで事業を立て直せないってどんだけ無能な経営層
なんでしょうね。
民主党も民主党です。小沢氏と民主党の支援団体である京セラの重鎮を
JALのトップに置くなんて、本当に信用できないです。

ちなみに、2010/1/12になんの前触れもなく警視総監が更迭、新しい警視総監に小沢氏の旧友池田克彦が就任
など、権力を行使する能力だけは一人前ですね。。。
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