サブプライム問題が露見して約1年、一段落していたように見えたが、その影響は深く浸透していて、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の経営不安から両社の株価が暴落した。米政府は、絆創膏対策でそれらに対する公的資金を用いた救済を表明、米連邦準備委員会(FRB)も融資を決めている。
ファニーメイもフレディマックも民間会社であるが、米政府が信用保証しているので両者の発行する債券は、米国債と同様な信頼感があった。それが経営破綻して株価が暴落したのだから、市場に与える影響は極めて大きい。
この所、じりじりと下がり続けていたダウ工業平均株価(30社)は、昨日1万1000ドルの大台を割り込んだ。この状況では、それが1万ドルを割り込むのは、恐らく時間の問題だろう。
NY株 1万1000ドル割れ 2年ぶりの安値
2008.7.16 08:03
【ワシントン=渡辺浩生】15日のニューヨーク株式市場は、米政府系金融機関の経営難や地域金融機関の破綻に端を発した信用不安を背景に続落し、ダウ工業株30種平均は前日終値比92・65ドル安の1万962・54ドルで、終値ベースで2006年7月以来2年ぶりの安値で取引を終えた。ハイテク株中心のナスダック総合指数は、2・84ポイント高の2215・71。
ブッシュ大統領は同日午前に臨時会見を開き、「金融システムは健全」と訴えたが、投資家の動揺を食い止められなかった。
先週末に住宅金融大手が経営破綻したことを契機に、融資の焦げ付き拡大で地域金融機関の破綻懸念が一段と高まり、金融株を中心に売りが膨らんで、ダウの下げ幅は一時227ドルまで拡大した。
原油先物価格が急落したことでその後下げ幅は縮小したが、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で、「米景気の重大な下振れリスク」に言及し、投資家心理を冷えこませた。
連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に対する政府救済策についても、ブッシュ大統領は議会に早急な立法化を求めたが、抜本的再建策が必要」との不信感も払拭(ふっしょく)されず、両社の株価も売られた。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080716/fnc0807160802007-n1.htm
今年になってから、FRBのバーナンキ委員長は、米政府の要請を受けて政策金利を小出しに下げ、市場へのドル大量供給(ヘリコプターばらまき)を表明した。これは、サブプライム問題で破綻しつつあった大銀行や金融筋の一時的救済のためだ。それによりダウ平均とドル価格は見掛け上維持されたが、大量のドル資金は商品市場へ動き、短期間で原油や食糧価格の暴騰を招いた。結果として、それは昨今の国際的なインフレの原因になっている。
これ以上大量のドル発行を続けると、ドル価格の急速な低下を招き、米国内のインフレは猛烈に進行するだろう。不景気の到来だ。加えてドル信用不安が益々増大する。それを回避するには、サブプライム不良債権を抱える米国金融機関に政府資金を大量注入し、政府の管理下で金融機関を抜本的に統廃合する必要がある。それは、1990年代の末、日本で行われた荒療治である。
小ブッシュ大統領の任期はあと半年弱、最早大統領の美辞麗句だけで市場は動かない。小出しの個別資金投入だけでは、問題は解決しないのは明らかだが、果たして彼は金融機関統廃合を決断出来るだろうか。今の手法を続けるだけでは、ダウ平均は益々下がり続け、ドルの信用は一層低下する。
米国のGDPは1300兆円(日本の2.5倍)、これまで信用で膨らませた米国資産は1京3000兆円に達し、GDPの約10倍と言う異常な巨額だ。それに対する利息を5%としても、600兆円強(米国国家予算の1.5倍)を毎年生み出さねばならぬ。これを徐々に減らして、名目資産額を半分以下にしないと米国の国家経営に無理が掛かるのは当然なのだ。
ファニーメイもフレディマックも民間会社であるが、米政府が信用保証しているので両者の発行する債券は、米国債と同様な信頼感があった。それが経営破綻して株価が暴落したのだから、市場に与える影響は極めて大きい。
この所、じりじりと下がり続けていたダウ工業平均株価(30社)は、昨日1万1000ドルの大台を割り込んだ。この状況では、それが1万ドルを割り込むのは、恐らく時間の問題だろう。
NY株 1万1000ドル割れ 2年ぶりの安値
2008.7.16 08:03
【ワシントン=渡辺浩生】15日のニューヨーク株式市場は、米政府系金融機関の経営難や地域金融機関の破綻に端を発した信用不安を背景に続落し、ダウ工業株30種平均は前日終値比92・65ドル安の1万962・54ドルで、終値ベースで2006年7月以来2年ぶりの安値で取引を終えた。ハイテク株中心のナスダック総合指数は、2・84ポイント高の2215・71。
ブッシュ大統領は同日午前に臨時会見を開き、「金融システムは健全」と訴えたが、投資家の動揺を食い止められなかった。
先週末に住宅金融大手が経営破綻したことを契機に、融資の焦げ付き拡大で地域金融機関の破綻懸念が一段と高まり、金融株を中心に売りが膨らんで、ダウの下げ幅は一時227ドルまで拡大した。
原油先物価格が急落したことでその後下げ幅は縮小したが、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で、「米景気の重大な下振れリスク」に言及し、投資家心理を冷えこませた。
連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)に対する政府救済策についても、ブッシュ大統領は議会に早急な立法化を求めたが、抜本的再建策が必要」との不信感も払拭(ふっしょく)されず、両社の株価も売られた。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080716/fnc0807160802007-n1.htm
今年になってから、FRBのバーナンキ委員長は、米政府の要請を受けて政策金利を小出しに下げ、市場へのドル大量供給(ヘリコプターばらまき)を表明した。これは、サブプライム問題で破綻しつつあった大銀行や金融筋の一時的救済のためだ。それによりダウ平均とドル価格は見掛け上維持されたが、大量のドル資金は商品市場へ動き、短期間で原油や食糧価格の暴騰を招いた。結果として、それは昨今の国際的なインフレの原因になっている。
これ以上大量のドル発行を続けると、ドル価格の急速な低下を招き、米国内のインフレは猛烈に進行するだろう。不景気の到来だ。加えてドル信用不安が益々増大する。それを回避するには、サブプライム不良債権を抱える米国金融機関に政府資金を大量注入し、政府の管理下で金融機関を抜本的に統廃合する必要がある。それは、1990年代の末、日本で行われた荒療治である。
小ブッシュ大統領の任期はあと半年弱、最早大統領の美辞麗句だけで市場は動かない。小出しの個別資金投入だけでは、問題は解決しないのは明らかだが、果たして彼は金融機関統廃合を決断出来るだろうか。今の手法を続けるだけでは、ダウ平均は益々下がり続け、ドルの信用は一層低下する。
米国のGDPは1300兆円(日本の2.5倍)、これまで信用で膨らませた米国資産は1京3000兆円に達し、GDPの約10倍と言う異常な巨額だ。それに対する利息を5%としても、600兆円強(米国国家予算の1.5倍)を毎年生み出さねばならぬ。これを徐々に減らして、名目資産額を半分以下にしないと米国の国家経営に無理が掛かるのは当然なのだ。
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