昨年夏以降、米国でサブプライム問題が発覚し、米国は勿論、欧州の金融筋もその対策に追われた。信用不安であるから、それは徐々に通貨価値に反映する。当時1ドル=112-115円であった為替レートは半年後の今年2月には10%以上円高となり、1ドル=98-100円で推移した。
サブプライム問題で日本の金融筋が受けた実質損失は、それまで高々1.5兆円程度、一方、欧米の金融筋は総額50-60兆円(見込み含む)の損失が毎月のようにデータ更新された。これでは、ドルもユーロも円に対し下がって当然だ。
ところが、3月半ばからは急に円安に転じ、1ドル=109円前後で推移している。また、ユーロも1ユーロ=160円前後と高止まりである。今春4月にイタリア、5月にはドイツを訪問した時、新聞、ビール、食料品、公共交通機関料金などを日本の価格と比べれば、1ユーロ=120円位で庶民感覚には丁度合うと私は実感した。
1ドル=90円位なら、石油、食料品、電気・ガス料金などは昨今のように大幅値上げをしなくても済んだはずだ。ところが、チベット問題が起きた3月半ば頃、日米欧の財政担当者が秘密裏に為替介入をし、ドル防衛をすることに合意していた。日経新聞によると、
日米欧、ドル防衛で秘密合意 3月の金融危機時
米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけにした米金融不安でドルが急落した今年3月、米国、欧州、日本の通貨当局がドル買い協調介入を柱とするドル防衛策で秘密合意していたことが明らかになった。ドル暴落で世界経済に大きな混乱が広がるのを回避するためで、為替市場の安定に向けた緊急共同声明も検討された。米ブッシュ政権はかねて介入に慎重姿勢を貫いてきたが、深刻なドル離れで方針転換を余儀なくされた格好だ。米国主導のドル防衛策は過去にほとんど例がない。米住宅公社の経営問題などでドル不安はなおくすぶっており、各国当局が再び連携を探る可能性がある。
複数の国際金融筋によると、各国当局がドル防衛策の詰めの作業に入ったのは、米証券大手ベアー・スターンズの経営危機が表面化した3月中旬。金融システムの動揺が収まらず、世界的なドル安、株安に歯止めがきかなくなっていた。(07:00)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080828AT3S2702D27082008.html
そして、こうした為替介入をした政府の見解は以下の通り。
官房長官、ドル防衛合意「過去にも色々なケースあった」
町村信孝官房長官は28日午前の記者会見で、ドルが急落した今年3月に日米欧の通貨当局が協調介入によるドル防衛策で秘密合意していたことについて「為替に関することなのでアナウンスしないでやる場合もあるだろうし、過去にも色々なケースがあったと思う。本件についてはコメントを差し控える」と語った。同時に「為替市場の大きな変動は経済活動に予測せざる影響を与える。市場の安定は大切だ」との認識を示した。(14:22)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080828AT3S2800E28082008.html
世界的にも稀な政策金利(公定歩合)0.5%を続けること数年、金利差を利用して世界各国は安い円を借りて、ドルやユーロの金融資産を買い漁った。いわゆる「円キャリートレード」だ。多くの日本人は、預金金利も低いままでただ辛抱したのだが、福井日銀前総裁がコメントしていたようにゼロ金利政策で国民の失った金利による利益損失は300兆円に達すると言う。一体、我が国の政府は何を考えて財務を行っているのか。それ程、米国へ貢がねばならぬ理由は何なのか。
普通の国なら、定期預金で5%の金利は当たり前だ。年配の退職者なら1000万円を銀行に定期で預けて50万円の利息、それで老後の旅行を楽しんだり、孫・子に好きなものを買ってやれる。そのカネは、国内を循環して経済を活性化させる。経済活動が活発になれば、若い人達への給与配分も増えて行く。
現在景気浮揚を図るべく、政府では公共投資額について議論がなされているが、それと共に、私は政策金利を徐々に上げよと提言したい。政策金利を決定するのは日銀だ。日銀総裁も変わったのだから、まず、1%とすることを急ぐべきだ。何処の国も、自国の利益を最大にするように動いている。
日本はゼロ金利政策を採用して、国内の金融機関を救済した。今度は国民の為に、政策金利を考えるべきだ。そして、ドル価格維持策は一応協力をしたのだから、これを元へ戻し、為替レートを市場の動きに任せるべきと思う。
1995年に、クリントン政権がジャパン・バッシングで1ドル=80円へ誘導したことを福田政権は思い出すべきである。あれは、経済戦争を仕掛けられたようなものだ。国民が困るような形でドル価格維持に走るのは、どう考えても賢明とは思えない。
サブプライム問題で日本の金融筋が受けた実質損失は、それまで高々1.5兆円程度、一方、欧米の金融筋は総額50-60兆円(見込み含む)の損失が毎月のようにデータ更新された。これでは、ドルもユーロも円に対し下がって当然だ。
ところが、3月半ばからは急に円安に転じ、1ドル=109円前後で推移している。また、ユーロも1ユーロ=160円前後と高止まりである。今春4月にイタリア、5月にはドイツを訪問した時、新聞、ビール、食料品、公共交通機関料金などを日本の価格と比べれば、1ユーロ=120円位で庶民感覚には丁度合うと私は実感した。
1ドル=90円位なら、石油、食料品、電気・ガス料金などは昨今のように大幅値上げをしなくても済んだはずだ。ところが、チベット問題が起きた3月半ば頃、日米欧の財政担当者が秘密裏に為替介入をし、ドル防衛をすることに合意していた。日経新聞によると、
日米欧、ドル防衛で秘密合意 3月の金融危機時
米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題をきっかけにした米金融不安でドルが急落した今年3月、米国、欧州、日本の通貨当局がドル買い協調介入を柱とするドル防衛策で秘密合意していたことが明らかになった。ドル暴落で世界経済に大きな混乱が広がるのを回避するためで、為替市場の安定に向けた緊急共同声明も検討された。米ブッシュ政権はかねて介入に慎重姿勢を貫いてきたが、深刻なドル離れで方針転換を余儀なくされた格好だ。米国主導のドル防衛策は過去にほとんど例がない。米住宅公社の経営問題などでドル不安はなおくすぶっており、各国当局が再び連携を探る可能性がある。
複数の国際金融筋によると、各国当局がドル防衛策の詰めの作業に入ったのは、米証券大手ベアー・スターンズの経営危機が表面化した3月中旬。金融システムの動揺が収まらず、世界的なドル安、株安に歯止めがきかなくなっていた。(07:00)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080828AT3S2702D27082008.html
そして、こうした為替介入をした政府の見解は以下の通り。
官房長官、ドル防衛合意「過去にも色々なケースあった」
町村信孝官房長官は28日午前の記者会見で、ドルが急落した今年3月に日米欧の通貨当局が協調介入によるドル防衛策で秘密合意していたことについて「為替に関することなのでアナウンスしないでやる場合もあるだろうし、過去にも色々なケースがあったと思う。本件についてはコメントを差し控える」と語った。同時に「為替市場の大きな変動は経済活動に予測せざる影響を与える。市場の安定は大切だ」との認識を示した。(14:22)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080828AT3S2800E28082008.html
世界的にも稀な政策金利(公定歩合)0.5%を続けること数年、金利差を利用して世界各国は安い円を借りて、ドルやユーロの金融資産を買い漁った。いわゆる「円キャリートレード」だ。多くの日本人は、預金金利も低いままでただ辛抱したのだが、福井日銀前総裁がコメントしていたようにゼロ金利政策で国民の失った金利による利益損失は300兆円に達すると言う。一体、我が国の政府は何を考えて財務を行っているのか。それ程、米国へ貢がねばならぬ理由は何なのか。
普通の国なら、定期預金で5%の金利は当たり前だ。年配の退職者なら1000万円を銀行に定期で預けて50万円の利息、それで老後の旅行を楽しんだり、孫・子に好きなものを買ってやれる。そのカネは、国内を循環して経済を活性化させる。経済活動が活発になれば、若い人達への給与配分も増えて行く。
現在景気浮揚を図るべく、政府では公共投資額について議論がなされているが、それと共に、私は政策金利を徐々に上げよと提言したい。政策金利を決定するのは日銀だ。日銀総裁も変わったのだから、まず、1%とすることを急ぐべきだ。何処の国も、自国の利益を最大にするように動いている。
日本はゼロ金利政策を採用して、国内の金融機関を救済した。今度は国民の為に、政策金利を考えるべきだ。そして、ドル価格維持策は一応協力をしたのだから、これを元へ戻し、為替レートを市場の動きに任せるべきと思う。
1995年に、クリントン政権がジャパン・バッシングで1ドル=80円へ誘導したことを福田政権は思い出すべきである。あれは、経済戦争を仕掛けられたようなものだ。国民が困るような形でドル価格維持に走るのは、どう考えても賢明とは思えない。
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