テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 光の守り手 ―

2019-05-21 23:15:36 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぱふゥ! すごいィ~かぜッ、だッたのでス!」
「がるる!ぐるがるっる~!」(←訳:虎です!雨も凄かった~!)

 こんにちは、ネーさです。
 大雨と大風で臨時休校になった学校も多かったという、
 まさに嵐のような一日の終わりは、
 はい、読書タイムですよ♪
 本日は、大人もチビっ子もほっこりできる
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~!
 
  


 
         ―― ダム・キーパー ――



 著者はトンコハウスさん、2019年3月に発行されました。
 ちょうどいま、新宿で開催されている
 《トンコハウス映画祭》も大好評開催中の、
 トンコハウスさんによる絵本作品、いえ、
 アートブック作品、というべきでしょうか。

「とんこはうすゥのォ~」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:そもそもの始まり!)

 トンコハウスの設立者は、
 堤大介(つつみ・だいすけ)さんと
 ロバート・コンドウさん。

 東京都出身の堤さんと、
 南カリフォルニア出身のコンドウさんは
 ピクサー・アニメーション・スタジオの
 アートディレクターとして活動するかたわら、
 1本の映画を自主制作しました。

 その作品『ダム・キーパー』(2014年公開)は、
 世界中の映画祭で20以上の賞を受賞し、
 2015年米国アカデミー賞の
 短編アニメーション部門にもノミネート!

「そしてェ、えいがはァ~…」
「がるるぐる!」(←訳:絵本に変身!)

 この御本は、
 18分の短編アニメーション『ダム・キーパー』をもとに、
 新たに描き下ろされた作品です。

 物語の舞台は、
 谷合いの小さな町――

「おおきなァだむゥ、ありまスッ!」
「ぐるっるるるがる……?」(←訳:貯まっているのは……?)

 町のはずれのダムが堰き止めているのは、
 《くらやみ》。

 そう、ダムのむこうがわに広がっているのは、
 夢も希望もない、
 まっくらなおそろしい世界です。

 ダムの上には風車小屋があって、
 風車の起こす風だけが
 《くらやみ》を押し返し、
 町を守っているのですけれど。

「だァれもォ、しらないィ~…」
「がる・ぐーるーるがるる!」(←訳:ダム・キーパーの存在を!)

 毎朝毎夕、
 風車を回す仕事で
 身体のあちこちが汚れている《ぼく》。

 町のみんなは《ぼく》を見て、
 “よごれんぼ”とバカにします。
 学校に行っても、
 《ぼく》は、いつもひとりぼっち。

 でも、或る日のこと。

 もう慣れた。
 ひとりぼっちには、もう慣れてるもん、
 と諦めていた《ぼく》の、
 こころを揺さぶる出来事が?

「ずしんッ!」
「ぐるる!」(←訳:ずきり!)

 ずきずきと痛み、
 いまにも張り裂けそうな、
 ダム・キーパーくんの胸のうち。

 泉鏡花さんの『夜叉ヶ池』、
 トールキンさんの『指輪物語』、
 そしてプロメテウスの神話をも想い起こさせる
 書籍版『ダム・キーパー』は、
 映画『ダム・キーパー』を
 既に御覧になっている方々にもおすすめです。

 世界を守るために奮闘する
 小っちゃな“守り手”くんの物語を、
 みなさま、ぜひ♪
 
 
 
 
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~ 面影を探して ~

2019-05-20 22:11:10 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 そろそろォ~ころもがえェ、でスよゥ!」
「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!さらば長袖~!)

 こんにちは、ネーさです。
 チビっ子たちは既に半袖で走り回っている5月後半……
 梅雨入りする前に山歩きだ!
 と張り切っているアウトドア系活字マニアさんも
 大勢おられることでしょう。
 本日の読書タイムは、
 そんな方々にぴったりの一冊を、
 さあ、どうぞ~♪
 
  


 
         ―― オオカミは大神 ――



 著者は青柳健二(あおやぎ・けんじ)さん、2019年5月に発行されました。
 『狼像をめぐる旅』と副題が付されています。

「じつはァ、げんだいィでもッ!」
「ぐっるがるるぐる!」(←訳:狼って意外に身近!)

 ニホンオオカミはとうに絶滅してしまった……
 記録では、明治38年1月23日、
 奈良県吉野村鷲家口(わしかぐち)で
 東亜動物学探検隊員マルコム・アンダーソンさんに売られた
 雄の標本が最後……となっています。

 以降、私たちが生きたニホンオオカミを目にすることは
 無くなってしまいましたけれども。

 《信仰》の中では、
 いまも抜群の存在感!

「ぜんこくゥにィ、あるのでスゥ~!」
「がるるるぐるるる!」(←訳:狼信仰の神社さん!)

 著者・青柳さんは
 狼像や狼信仰に魅せられ、
 関東、東北、中国地方などを訪ね歩きます。

 狼像?
 そんなの神社に有るの?
 と首を傾げるかもしれませんが、
 山の奥の神社や祠の前に
 ちょこんと座っている狛犬は……

「もしかしたらァ?」
「ぐるぅるるる?」(←訳:犬じゃなくて?)
「おおかみィかもッ?」(

 最近パワースポットとして人気を集める
 埼玉県秩父市の三峯神社、
 東京都青梅市の武蔵御嶽神社には、
 お犬さま信仰が伝えられています。

 そして、東京の23区内にも
 宮益御嶽神社、
 下谷三峯神社、
 土支田(としだ)八幡宮などに
 お犬さまの像が!

「むむゥ? こッちのはァ~…?」
「がるる?ぐるる?」(←訳:狼なの?狐なの?)

 信州の神社には、
 唐風の狛犬ともオオカミともキツネとも一致しない
 不思議なフォルムの像も……?
 これは……子犬?
 
「ころころォしてまス~♪」
「ぐるる~♫」(←訳:可愛い~♫)

 オオカミを、
 益獣と見るか、害獣と見るか。
 その違いで、
 信仰のあり方も、
 また、像の表現もが違ってきます。

 これらの像のどれが、
 かつて日本の山野を自由に駆けめぐっていた狼の姿を、
 最もよく映しているのか――

「あいたいィでスねェ~…」
「がるるるぐるるるるるるる!」(←訳:生きてるニホンオオカミに!)

 この御本を読んでいてショックだったのは、
 本文52ページの、

 《日本には明治時代まで2種類の狼がいた。
  北海道のエゾオオカミと、
  本州・四国・九州に棲んでいたニホンオオカミだ。》

 という文章でした。

 エゾオオカミ?

 そうか!
 ニホンオオカミにばかり目がいっていたけれど、
 日本にいたのは、
 そして今は絶滅してしまったのは
 ニホンオオカミだけじゃなかったのね!
 北海道には北海道の固有種、
 エゾオオカミがいたんだ!
 って私ネーさ、頬を叩かれた思いがいたしました。
 ごめんよエゾオオカミくん、
 これからは君のことも調べてみるわ!

「このさきもォ、ずゥ~ッとォ!」
「ぐるるがるるるぐるがる!」(←訳:人々を魅了する狼の物語!)

 大神――オオカミ像に探す、
 狼たちの面影。

 動物好きさんに、
 歴史好き&近代史好きな活字マニアさんに
 おすすめのノンフィクション作品です。
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 
 
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謎の《X》は……誰だ?

2019-05-19 22:29:42 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでッス!
 つゥ~よォ~いィ~!」
「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!強さ本物~!)

 こんにちは、ネーさです。
 2R1分19秒TKO!
 井上尚弥さんがワールドボクシングスーパーシリーズ(WBSS)の
 バンタム級準決勝で衝撃の強さを見せてくれました!
 モンスターよ頂点を極めるんだ~!と声援を送りながら、
 本日の読書タイムでも
 アジアから世界へと躍進を狙う作家さんにフォーカスしましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪ 

  


 
        ―― ディオゲネス変奏曲 ――



 著者は陳浩基(ちんこうき/Chan Ho-Kei/サイモン・チェン)さん、
 原著は2019年に、画像の日本語版は2019年4月に発行されました。
 原題は『第歐根尼變奏曲』、
 『THE DIOGENES VARIATIONS』と英語題名が付されています。

 著者・陳さんのデビュー10周年を記念するこの御本には、
 17篇の短編ミステリが収録されていて――

「ぷふふゥ~♪」
「ぐるーるがるるる!」(←訳:ユニークなのです!)

 ときにサスペンス、
 ときにコミカル、
 或いは本格もの、と
 作品ごと猫の瞳のように
 クルクルと表情を変える陳さんの作品たち。

 そのストーリーは……
 えーと、どうしようかなぁ、
 ネタバレを回避するためには……

「ひとつゥだけッ!」
「がるぐるるぅる~!」(←訳:紹介しましょう~!)

 そうですね、
 17作品のうち、1作品の粗筋を、
 ちょこっとだけ御紹介してみましょう。

 本文の、いちばん最後、
 17番目に配されているのは
 『見えないX』(原題『隠身的X』)。

 語り手の《僕》が通っている、
 香港の中心部から少し離れた丘のC大学は
 バケツを引っくり返したような大雨に襲われていて、
 これではとても、
 外へ出てゆくなんて出来ません。

「かさァ、わすれちゃッたのでス~…」
「ぐるるるるがるぐるる~…」(←訳:雨宿りするしかないね~…)

 軒下から建物内に戻った《僕》は、
 物音に気付き、
 2番講堂を覗いてみました。

   お、今から授業が始まるのかな?
   雨宿りのヒマつぶしにはちょうどいい、
   潜りこんでみようか。

 という具合に、
 《僕》がタダ乗りしてしまった授業の主題は――

 “容疑者X探し”?

「たかまるゥ、さいぎしんッ!」
「がるるるるぐる?」(←訳:怪しいのは誰だ?)

 謎の人物“X”が、
 学生の中に紛れ込んでいる。

 わずかな手掛かりをもとに、
 《僕》が推理する“X”の正体とは?

「なァるほどォ!」
「ぐるるがる!」(←訳:お見事です!)

 ここにいるはずのない者がいない、
 もしくは、
 ここにいないはずの者がいる――
 それは何者か。

 古典的といえるテーマ=“異分子の炙り出し”を、
 陳さんは実に楽しげに料理していて、
 読んでいる私たちも
 思わず、ニヤリ♪

「ひつどくゥなのでェ~ス!」
「がるぐる~!」(←訳:続編希望~!)

 ミステリ好きさんだけではなく、
 ショートショートやSF好きな活字マニアさんに
 おすすめしたい短編集です。
 訳者の稲村文吾さんにも拍手を贈りつつ、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♫


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~ 流れる《絹》のかたち ~

2019-05-18 22:14:26 | ミュゼ
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 もりあがッてるゥのでスゥ、いたりあァ!」
「がるる!ぐるがるぐるるる?」(←訳:虎です!自国王者出現かも?)

 こんにちは、ネーさです。
 春のイタリア半島を駆け抜ける《2019ジロ・ディ・イタリア》、
 第7ステージ終了時での総合首位は
 イタリア人のヴァレリオ・コンティさん!
 久々に自国出身のチャンピオン誕生かと
 今年のジロは大いに盛り上がっているそうです♪
 私たちもここ日本からエールを送りつつ、
 さあ、週末の今日は読書……をサボって、
 こちらの展覧会情報を、どうぞ~♫

  


 
           ―― 鳥丸軍雪 展 ――



 神戸市東灘区の神戸ファッション美術館にて、
 会期は2019年4月13日~6月23日(月曜休館)、
 『GNYUKI TORIMARU』と英語題名が付されています。

「わふふッ♪ こうべェのォ~びじゅつかんッ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:好きです神戸!)

 服飾の分野に特化した美術館、って
 日本では数少ないんですけれど、
 神戸ファッション美術館は
 西日本を代表する服飾美術専門の美術館です。

 今季、その神戸ファッション美術館で開催されているのは、
 ファッション・デザイナー
 鳥丸軍雪(とりまる・ぐんゆき)さんの展覧会!

  

「ながれるゥようなァ、らいんッ!」
「がるるるぐる!」(←訳:シルクの輝き!)

 1937年、宮崎県小林市に生まれた鳥丸さん、
 異色の経歴をお持ちのデザイナーさんです。

 アニメーターとして東映動画(現・東映アニメーション)に入社し、
 大塚康夫さんの班で
 名作『白蛇伝』の動画を担当!

「ええええェ~ッ??」
「ぐるる~っ!」

 まるっきりNHK朝の連ドラ『なつぞら』の世界じゃないの!
 と呆然といたしましたが、
 『白蛇伝』完成後、
 退社した鳥丸さんは
 ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションに留学、
 さらにその後、
 ピエール・カルダンさんのメゾンに入って
 アシスタントに就任、といいますから、
 ふぅ~、映画みたいだわね~…。

「ふァ~…」(←溜め息)
「がる~…」(←同じく溜め息)

 やがて独立した鳥丸さんは英国をベースに活躍、
 《ドレープの魔術師》
 《絹の彫刻家》と呼ばれ、
 ダイアナ妃やサッチャー首相も
 顧客リストに名を連ねた、って……
 
「ことばもォないィでスゥ~…!」
「ぐるるがるるるるぅ!」(←訳:映画を超えてるよぅ!)

  

 この展覧会では、
 プリーツやドレープを駆使した鳥丸さんの代表作と
 デザイン画など約80点が展示されます。

 同時開催のコレクション展
 《5つの時代衣装展―ロココからベル・エポックまで―》も必見の
 神戸・六甲アイランドの美術館へ、
 ぜひ、お出掛けくださいな♪

 



   では、ここで恒例のオマケ画像も……じゃじゃん!
   
   『ロッテ』さんの
   《ゼロ シュガーフリーケーキ》は、
   砂糖ゼロ・糖類ゼロながらも――
   「あれッ?あまいィ~!」
   「がるるる~!」(←訳:美味しい~!)
   糖類を避けたい方々、
   甘すぎないお菓子をお探しの方々におすすめです♫


   暑くも寒くもなく気候快適な5月……
   ではありますが、
   体調不良を訴える人が多くて病院は混雑しているそうです。
   どうか皆さま、
   御自愛しつつ、穏やかな休日を。


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― 夜へと向かえば ―

2019-05-17 22:19:35 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おはなやさんでェ、めだッてまスよゥ~!」
「がるる!ぐるるるるがる~!」(←訳:虎です!アジサイの花鉢~!)

 こんにちは、ネーさです。
 お花屋さんの店頭で咲いているのは、
 ピンクやクリーム色……濃いグリーン色も!と、
 さまざまなアジサイたち。
 最近人気なのは『ダンスパーティー』という品種名の、
 星のような形の花のガクアジサイだそうですよ。
 では、人気つながりで、本日の読書タイムも、
 こちらの大人気《冒険家》さんの御本を、
 さあ、どうぞ~♪

  


 
           ―― 極夜行前 ――



 著者は角幡唯介(かくはた・ゆうすけ)さん、2019年2月に発行されました。
 Yahoo Japan本屋大賞のノンフィクション本大賞に
 大佛次郎賞、と2冠を獲得した角幡さんの著作『極夜行』の、
 “前日譚”でありながら――

「もはやァ、はじまッてまス!」
「ぐるるがるぐるる!」(←訳:開始前から冒険だ!)

   極夜の北極に行ってみたい。

   太陽が昇る世界で暮らす私たちにとって、
   太陽が昇らない世界には
   想像もつかない未知が広がっている気がする。

   だから行ってみたい。
   それだけのことである。

 と角幡さんはこの御本の第一章で
 『極夜行』への“動機”を述べています。

「あさもォ、ひるまもォ、まッくらァ!」
「がるるぐる!」(←訳:陽射しゼロ!)

 光がない、
 熱もない、
 凍てついた極地の、冬の旅。

 昔のイヌイットは知っていたはずだし、
 100年前の探検家も知っていただろう
 極夜の世界、闇の世界の旅を、
 現代人の誰が知っているだろうか。

「だからァ、しゅッぱつゥ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:未知なる世界へ!)

 極夜の冒険に挑む角幡さん、
 身ひとつで軽快に雪原を……とは参りません。

 関ヶ原の戦いを前にした徳川陣営のように、
 あらゆる困難を想定し、
 必要必至な用具を準備し、
 ルートを選択し、
 荷造りをして――

「おッ、おもいィ~!」
「ぐるがるるぅ!」(←訳:橇が要るよぅ!)

 橇が要るなら、
 橇を引っ張る大型犬も要るし。

 そうそう、
 本番の旅に出発する前に、
 物資をルート沿いにある小屋へ運んで――あ?

「うぎゃァ~ッ!」
「がるぐるっ!」(←訳:怪物出現っ!)

 海象、と書いて、セイウチと読む。
 あるいは、ゾウアザラシ、でも可。

 北極海に棲むセイウチは、
 体長3.8メートル、
 体重は3トンにも達します。

 そんなヤツらに襲われたら、
 いえ、実は角幡さん、
 現実に巨大セイウチにロックオンされて、
 ぐいぐい迫ってこられて。

「たすけてェ!」
「ぐるるるがるるぅ!」(←訳:ひと呑みにされるぅ!)

 これ以上書いてしまうのは
 ネタバレになっちゃいますので控えます、
 が、『極夜行』に優るとも劣らない難局が
 これでもか!まだ足りないのか!と
 ぎゅうぎゅうに詰めこまれています。

 これが、本物の冒険、なんですねえ……。

「まねェ、できませんッ!」
「がるぅぐる!」(←訳:しちゃ駄目!)

 涙も笑いも悲鳴もが響き渡る
 極地の夕べ。

 『極夜行』を既に読んだ方々に、
 未読の方々にもおすすめしたい
 “もうひとつの冒険の記録”を、
 皆さま、ぜひ♪



 
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~ 田園のヴィンテージ・ミステリ ~

2019-05-16 22:18:21 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 じだいィはァ、いまァ、たんていィ??」
「がるる!ぐるるっるるる!」(←訳:虎です!競い合ってるね!)

 こんにちは、ネーさです。
 全世界で大ヒット中の映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』、
 その牙城を脅かすのは、探偵となったピカチュウくんと、
 小学生になっちゃった高校生探偵?
 ならば本日の読書タイムにも
 名探偵さんに登場していただきましょう♪
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  


 
          ―― 赤い館の秘密 ――



 著者はアラン・アレキサンダー・ミルンさん、
 原著は1921年に、画像の新訳版は2019年3月に発行されました。
 英語原題は『THE RED HOUSE MYSTERY』、
 日本ではあの江戸川乱歩さんが
 《探偵小説黄金時代のベスト10》の一冊として選んだことでも知られる
 “古き佳き時代”の名作ミステリです。

「もォひとつゥ、ゆうめいィ~なのはッ!」
「ぐるがる!」(←訳:作者さん!)

 ええ、そうですね、
 A・A・ミルンさんは
 『くまのプーさん』の著者さんとして
 あまりといえばあまりにも有名な作家さんです。

 ただ、『くまのプーさん』が刊行されたのは
 1926年のことでしたから、
 こちらの『赤い館の秘密』の方が、
 先に世に出た、ということになりますね。

「でもォ、きょうつうゥてんッ、ありまス!」
「がるるるるるるぐるるる!」(←訳:イングランドの田園地帯!)

 《プーさん》シリーズの舞台は、
 イングランド南部に実在する
 サセックス州のアッシュダウンの森であると言われています。

 そして、こちら『赤い館』の立地も、
 首都ロンドンからは離れたのどか~な田園で……
 ややッ? 

「あれはッ?!?」
「ぐるるぅ!」(←訳:銃声だぁ!)

 赤い館に滞在中の友人を訪ねてようと、
 田舎道をてくてく歩いていた
 アントニー・ギリンガムさんの耳にも
 その音は届きました。

 そう、ここは田舎なんですもの、
 猟銃で畑を荒らすウサギを撃っているのか、
 でなければ自宅の敷地内で射撃の練習をしてる、
 ってことも有り得ます、が。

「きゃわわァ! たいへんッ!」
「がるるぐるるるるぅ!」(←訳:援けを呼ばなくちゃ!)

 ギリンガムさんが
 赤い館の一室で発見したのは。

 館の当主の、兄だという人物。

 ……いや、本当に“兄”なんでしょうか?

 15年ぶりに再会する、兄。

 使用人さんたちは誰も、
 当主にそんな血縁者がいることなど
 聞いたためしもなくて。

「あやしィ~!」
「ぐるるるるるがるる!」(←訳:あからさまに怪しい!)
「うらがァ、ありそうゥ!」

 その“兄”は、
 床に倒れたまま、動きません。
 これは……!

「じけんッ?」
「がる?」(←訳:事故?)

 館に滞在している友人のベヴァリーさんを相棒役にして、
 ギリンガムさんは調査にかかります。

 赤い館で、何が起こったのか。
 事件なのか、事故なのか。
 “兄”と名乗った人物の真意は。
 消えてしまった館の当主は、どこに……?

「かんたんそうゥにィ、みえるゥけどォ~…」
「ぐるる!」(←訳:難問だ!)

 真剣なのに、どこかユルくて。
 深刻なのに、楽天的で。

 オールディズバットグッデイズを体現するかのような
 ヴィンテージミステリの新訳作品は、
 これ昔に読んだことあるわ!なミステリマニアさんに、
 ミルンさんの作品は《プーさん》しか知らないわよ?な
 ミステリ初心者さんにもおすすめです。
 加納朋子さんによる解説も併せて、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 
 
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― 光の庭へ ―

2019-05-15 22:01:56 | ミュゼ
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 たたかいィはァ、もうゥはじまッてるのでスゥ!」
「がるる!ぐるるがぅるーる!」(←訳:虎です!目指せヴェローナ!)

 こんにちは、ネーさです。
 はーい、今年も《ジロ・ディ・イタリア》が始まってます♪
 ボローニャで開幕し、
 ゴール地はヴェローナとなった2019年のジロには、
 2名の日本人選手・初山翔さんと西村大輝さんが参加していて、
 特に初山さんは第3ステージで大注目を浴びました♫
 おふたりのさらなる活躍を祈りながら、
 さあ、本日は読書……をサボり、
 こちらの展覧会情報を、どうぞ~!
 
  


 
           ―― 杉本博司 ――



 山梨県北杜市長坂町の清春芸術村にて、
 会期は2019年4月6日~6月30日
 (月曜休館、ただし祝日の場合は翌平日が休館)、
 《清春芸術村ゲストハウス『和心』落成記念》
 と副題が付されています。

「むふゥ! あらたなァ、けんちくゥさくひんッ!」
「ぐるるるがるる~!」(←訳:どんどん進化中~!)
 
  

 杉本博司(すぎもと・ひろし)さんは、
 マダム・タッソー蝋人形館の人形や、
 水平線を捉えた壮大な《海景》シリーズ、
 《劇場》《ポートレート》シリーズなどの
 大判カメラを用いた写真作品で
 国内外に広く知られるアーティストさんですが、
 近年は建築作品も数多く手掛けておられて――

「さいしんのォ、さくひんはァ~…」
「がるるぐるる!」(←訳:ゲストハウス!)
 
 2019年春、
 山梨県の清春芸術村に新たな建築作品が加わりました。

 それが、
 新素材研究所/杉本博司さん+榊田倫之さんの
 建築設計によるゲストハウス
 『和心』。

 そして、『和心』落成を記念する
 杉本博司さんの展覧会が現在開催中なんです。

 版画作品『陰翳礼讃』や『松林図』、
 版画を掛け軸に仕立てた『華厳の滝』『海景』
 といった作品が展示されているのは、
 安藤忠雄さん設計による光の美術館!

「ぜいたくゥ!」
「ぐるるがる~!」(←訳:豪華で風雅~!)
 
  

 清春芸術村は
 東京から車で90分(長坂インターより10分)、
 新宿駅よりJR中央本線で120分(長坂駅下車・バスで5分)
 と、都心からは少し距離がある場所に位置しています。
 
 長い連休が終わった今頃は、
 混雑もちょっと解消されて、
 芸術村内をの~んびりお散歩……できるかな?

「しんりょくゥ、きれいィでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:気候も程良し!)

 清春芸術村付近には
 美術館、郷土資料館も点在していますので、
 杉本さんのファンの方々、
 アート好きな皆さまは、
 貴重な作品を拝見できる特別展へ、
 ぜひ、お出掛けしてみてくださいな♪

 



    さて、今日のオマケ画像は……ごろにゃん?
   
    えー、ご紹介しそびれちゃいましたね、
    先週発売された雑誌『an・an』の5月15日号は
    『にゃんこLOVE』特集と
   
    巻末には『リラックマ』特集も!
   「いまからでもォ~」
   「ぐるるるがる?」(←訳:遅くないかも?)
    ニャンコ好きさん必読のニャンコ特集号、
    バックナンバーが入手できなかった場合は、
    図書館で御覧あれ~♫



   
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~ 黄金のひと ~

2019-05-14 23:10:30 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 さみしくッてェ、かなしィでスゥ~…」
「がるる!ぐぅるるるがる……」(←訳:虎です!しょんぼりです……)

 こんにちは、ネーさです。
 京マチ子さんの訃報に接して、つい先日、
 『美と破壊の女優 京マチ子』を御紹介したばかりの私たちは
 寂しい思いを押さえ切れません。
 けれど、別れの涙よりも心からの拍手と喝采を送りながら、
 本日の読書タイムは
 “美しいひと”に捧げるこちらのノンフィクション作品を、
 さあ、どうぞ~!

  


  
         ―― 奪われたクリムト ――



 著者はエリザベート・ザントマンさん、
 原著は2015年に、画像の日本語版は2018年12月に発行されました。
 独語原題は『DER GESTOHLENE KLIMT』、
 『――マリアが《黄金のアデーレ》を取り戻すまで』と
 日本語副題が付されています。

「うむむゥ? このォ、おはなしィはァ~…」
「ぐるるがっるるる?」(←訳:映画になったよね?)

 そうね、映画好きな方々は
 『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015年)を
 連想するかもしれません。

 この御本は、
 ヘレン・ミレンさん主演の長編映画で描かれたのと同じに、
 グスタフ・クリムトさんが描いた肖像画
 『アデーレ・ブロッホ=バウアーⅠ』(1907年)が
 ナチ政権によって不当に奪われ、
 “本来の持ち主”のもとに
 返還されるまでを追ったものですが、
 映画とは全く別に執筆、刊行された作品です。

 著者・ザントマンさんは2014年に本作を書き上げており、
 映画は2015年に公開されていますから、
 偶然の一致ということになるのでしょうが、
 それにしても――

「はらがァたつゥ~!!」
「がるぐる!」(←訳:怒り沸騰!)

 いったいどれほどの美術品が
 ナチスドイツの手によって略奪され、
 現在も行方不明になっているのか、
 考えるたび心が波立つ――という御方は
 少なくないようです。

 ザントマンさんは
 ナチの略奪美術をテーマとする研究著作を
 この御本以外にも刊行していますが、
 研究のきっかけとなったのは、
 2006年、ニューヨークタイムズを読んだこと。

「きじィがァ、のッてたのでス!」
「ぐるるがるるがる!」(←訳:絵画が高額で落札!)

 クリムトさん作『アデーレ・ブロッホ=バウアーⅠ』を、
 米国の美術収集家ロナルド・ローダー氏が
 1億3500万ドル(およそ135億円)で購入した、と。

 ザントマンさんは、その金額の高さよりも、
 絵画が辿ってきた“道”に想いを巡らせます。

 『アデーレ』は、
 もともと誰のものだったのだろう?
 どうして米国のコレクター氏が
 手に入れることになったのだろう?

「ふくざつゥきわまるゥ~みちのりィ!」
「がるるるぐるる~…」(←訳:流浪の旅だねえ~…)

 この御本には多数の図版が収録されていて、
 冒頭部分には、ああ、この人が!

 クリムトさんの作品のモデルとなった
 アデーレ・ボロッホ=バウアーさんその人の、
 肖像写真が掲載されています。

「わァ~おッ! このォひとみィ!」
「ぐるがるる!」(←訳:眉も輪郭も!)

 クリムトさんが描いた実在のアデーレさんと家族、
 そして、
 彼女の肖像画が
 20世紀の狂気と混沌の嵐の中を漂い、
 ついには“家族”のもとへ帰り着いたのか、
 ザントマンさんは手を抜かず、
 細部にまで光を当てます。

 ちょうどいま開催中の『クリムト展』には
 残念ながら『アデーレ』は来日していないのですけれど、
 アート好きさん&歴史好きな活字マニアさんに
 おすすめしたい一冊です。
 本屋さんで、図書館で、探してみてくださいね♪
 

 
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《王座》のゆくさき。

2019-05-13 23:05:55 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 しがつゥはァ、さくらァでェ~…」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!5月はバラ!)

 こんにちは、ネーさです。
 植物園で、公園で、個人宅のお庭で、
 “花の女王”バラの花が咲いていますね。
 白がいいなぁ、真紅もピンクも黄色もいいなぁ♪と、
 楽しく見比べながら、
 さあ、本日の読書タイムでは
 “花の女王”ならぬ“拳闘の帝王”の伝記作品を御紹介しますよ。
 こちらを、どうぞ~!
 
  


 
          ―― 無敗の王者 ――



 著者はマイク・スタントンさん、
 原著は2018年に、画像の日本語版は2019年1月に発行されました。
 英語原題は
 『UNBEATEN Rocky Marciano's Fight for Perfection in a Crooked World』
 『評伝ロッキー・マルシアノ』と日本語副題が付されています。

 ロッキー……という名を耳にして、
 多くの方々が思い浮かべるのは、
 おそらく映画の『ロッキー』
 (1976年公開、日本では翌1977年公開)でしょうが……

「ぶたいはァ、ふぃらでるふぃあッ!」
「ぐぅるるるがるる!」(←訳:チャンプを夢見て!)

 フィラデルフィアの街路を走り抜け、
 栄光を掴んだロッキー・バルボアさんは
 あくまでも映画――フィクションの世界の住人でしたが、
 こちらの“ロッキー”は現実の世界の人物です。

 身長5フィート10インチ(約179センチ)、
 体重185ポンド(83.91キロ)。
 
 その戦歴は、49戦全勝43KO――
 まさに、『無敗』の世界ヘビー級チャンピオン!

「でもォ、らしくゥないィでス!」
「がるるるぐる?」(←訳:ホントに王者?)

 そう、御本の表紙になっているのは
 ローランド・ラスターザさんと対戦した
 1953年9月24日の写真なんですが、
 マルシアノさんの“らしくなさ”が窺がわれます。

 腕は短くて、足は遅くて、
 ボディバランスが良かった映画のロッキーとは
 まったくの大違い。

 それでも、強かった!

「しょうりィ、またァしょうりィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:敵なしだよ!)

 向かうところ敵なし……
 いえ、敵は数多おりましたが、
 拳ひとつで勝ち取ったのは
 賞賛に彩られた栄光の日々。

 ただし、マルシアノさんは
 最初から恵まれた境遇に
 生まれついたのではありませんでした。

 イタリア系移民の子として育ち、
 高校は中退、
 ボクシングを(やや本格的に)始めたのは
 軍に入隊していたときのこと。

 そして、
 メジャーリーガーになりたいなぁ~などと迷ったり、
 ものすご~くいろいろあって、
 (やっと本格的に!)プロデビューしたのは
 1947年の3月。

「にじゅうゥよんさいィ??」
「がる~!」(←訳:遅い~!)

 迷った末でも、遅くても、
 その後のマルシアノさんの戦績は
 王者に相応しい快進撃でした。

 対戦相手を
 一撃でロープ外へ叩き飛ばす。

 相手が昏睡状態に陥るほどのノックアウト。

「まぶしいィ~!」
「ぐるるるる!」(←訳:比類なき王!)

 無敗の記録を保ったまま、
 1956年に引退。

 カムバックしないか、と
 大金を積まれて誘われても、
 決してふたたび、リングに戻ることはなかった……

 そんな《光》の日々は、
 やはり、というべきなのでしょうか、
 闇も陰もあった、
 幸福一色ではなかったのだと、
 著者・スタントンさんは語ります。

 王座に登った者の、
 甘く切ない“坂道”、
 苦も楽もある登り坂の、
 その先にあるのは。

「ゆくさきィ、みえずゥ!」
「がっるるぐるる?」(←訳:いったい何処へ?)

 不世出のチャンピオン、
 その生い立ち、
 闘いに明け暮れ、
 不意に訪れた旅立ちまでを詳細に綴ってゆく力作は
 ボクシングファンの方々、
 スポーツノンフィクション好きな活字マニアさんに
 この春いちばんのおすすめですよ。

 著者・スタントンさん、
 翻訳者の樋口武志さんに拍手を贈りつつ、
 どうかぜひ、一読を♫
 
 
 
 
 
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空と海の底から。

2019-05-12 22:12:28 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もぐぐッ! んまいィ~♪」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!貴重なモグモグ!)

 こんにちは、ネーさです。
 デパートの京都フェアで行列して、
 『出町ふたば』さんの《豆大福》入手に見事成功~♫
 京都LOVE!の思いを噛みしめながら
 美味しくいただいた今日の読書タイムは、
 《旅》をテーマとするこちらのエッセイ作品を、
 さあ、どうぞ~!

  


 
        ―― 大好きな町に用がある ――



 著者は角田光代(かくた・みつよ)さん、2019年2月に発行されました。
 雑誌『SWITCH』に掲載されたトラベルエッセイが待望の書籍化!
 御本の中で、地球の上を西へ、東へ、
 悠然と訪ね歩く著者・角田さんがカッコいい!

「こうきしんとォ、こうどうりょくゥ!」
「がっるるるるるる!」(←訳:持ってるんだよね!)

 旅の達人、旅慣れしている、
 などと言おうものなら、
 角田さんは怒るでしょうか。

 本文26ページから始まる
 『時代も私も変わっていく』という作品中では、
 久しぶりのスペイン旅行を前にしての、
 角田さんの心境は――

  《正直な話、気が重かった》。

 以前に旅したときは、ものすごく治安が悪くて。
 マドリッドは超のつく危険地帯というイメージで。
 思考はどんどん暗くなる……。

「でもねッ、とうちゃくゥ~してみたらァ!」
「ぐるがる~る!」(←訳:全然ちが~う!)

 陽射しはきらきら、光に満ちた場所。
 歩道にはゴミも犬の糞もなく、
 人々の顔つきも穏やか。
 危険なにおいがまったくしない!

「よかッたでスゥ~!」
「がるるるるぐる!」(←訳:スペインに感謝!)

 この旅のおかげで
 角田さんはいよいよ“旅の達人”に……
 とは行かず、
 或る国の大都市ではひったくりに遭ったり、
 マラリアに罹っちゃったり、
 ツイていない日もあったりするけれど。

「やぱりィ、たびッてェ~」
「ぐるるるがる♫」(←訳:いいものです♫)

 表題作品『大好きな町に用がある』
 (本文138ページ)は、
 ムエタイの本場タイでの取材の思い出を
 描いた作品です。

 旅好きな方々の胸を熱くする力強い一篇ですが、
 私ネーさが感服したのは、
 本文61ページの

 『もうひとつの世界』。

「うみへのォ、おもいィ!」
「がーるるぐるる!」(←訳:じーんと来ます!)

 水泳用ゴーグルで
 ふと覗き見た海の底の世界。
 角田さんはすっかり魅了され、

   まさに旅だ。

 と静かな高揚に心満たされ、
 ずっとこうしていたい、
 とまで思ってしまいます。

「つぎはァ、ちちゅうゥかいィ!」
「ぐるるるるがるるるるる!」(←訳:インド洋もカリブ海へも!)

 あちらこちらの海を訪ねては、
 海底の世界を眺め、
 やがて八丈島で
 初めてシュノーケルを装着しての
 海底見物に臨んだ角田さんが
 目にしたものは――

「ふしぎなァせかいィ~…」
「がるるるぐる~…」(←訳:不思議な感動~…)

 遠くへ、近くへ、
 あるいはこころの内側への《旅》を語る全27篇、
 旅好きな活字マニアさんには
 ぜひのおすすめです。
 本屋さんで、図書館で、
 探してみてくださいね~♪
 


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