「こんにちわッ、テディちゃでス!
さみしくッてェ、かなしィでスゥ~…」
「がるる!ぐぅるるるがる……」(←訳:虎です!しょんぼりです……)
こんにちは、ネーさです。
京マチ子さんの訃報に接して、つい先日、
『美と破壊の女優 京マチ子』を御紹介したばかりの私たちは
寂しい思いを押さえ切れません。
けれど、別れの涙よりも心からの拍手と喝采を送りながら、
本日の読書タイムは
“美しいひと”に捧げるこちらのノンフィクション作品を、
さあ、どうぞ~!
―― 奪われたクリムト ――
著者はエリザベート・ザントマンさん、
原著は2015年に、画像の日本語版は2018年12月に発行されました。
独語原題は『DER GESTOHLENE KLIMT』、
『――マリアが《黄金のアデーレ》を取り戻すまで』と
日本語副題が付されています。
「うむむゥ? このォ、おはなしィはァ~…」
「ぐるるがっるるる?」(←訳:映画になったよね?)
そうね、映画好きな方々は
『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015年)を
連想するかもしれません。
この御本は、
ヘレン・ミレンさん主演の長編映画で描かれたのと同じに、
グスタフ・クリムトさんが描いた肖像画
『アデーレ・ブロッホ=バウアーⅠ』(1907年)が
ナチ政権によって不当に奪われ、
“本来の持ち主”のもとに
返還されるまでを追ったものですが、
映画とは全く別に執筆、刊行された作品です。
著者・ザントマンさんは2014年に本作を書き上げており、
映画は2015年に公開されていますから、
偶然の一致ということになるのでしょうが、
それにしても――
「はらがァたつゥ~!!」
「がるぐる!」(←訳:怒り沸騰!)
いったいどれほどの美術品が
ナチスドイツの手によって略奪され、
現在も行方不明になっているのか、
考えるたび心が波立つ――という御方は
少なくないようです。
ザントマンさんは
ナチの略奪美術をテーマとする研究著作を
この御本以外にも刊行していますが、
研究のきっかけとなったのは、
2006年、ニューヨークタイムズを読んだこと。
「きじィがァ、のッてたのでス!」
「ぐるるがるるがる!」(←訳:絵画が高額で落札!)
クリムトさん作『アデーレ・ブロッホ=バウアーⅠ』を、
米国の美術収集家ロナルド・ローダー氏が
1億3500万ドル(およそ135億円)で購入した、と。
ザントマンさんは、その金額の高さよりも、
絵画が辿ってきた“道”に想いを巡らせます。
『アデーレ』は、
もともと誰のものだったのだろう?
どうして米国のコレクター氏が
手に入れることになったのだろう?
「ふくざつゥきわまるゥ~みちのりィ!」
「がるるるぐるる~…」(←訳:流浪の旅だねえ~…)
この御本には多数の図版が収録されていて、
冒頭部分には、ああ、この人が!
クリムトさんの作品のモデルとなった
アデーレ・ボロッホ=バウアーさんその人の、
肖像写真が掲載されています。
「わァ~おッ! このォひとみィ!」
「ぐるがるる!」(←訳:眉も輪郭も!)
クリムトさんが描いた実在のアデーレさんと家族、
そして、
彼女の肖像画が
20世紀の狂気と混沌の嵐の中を漂い、
ついには“家族”のもとへ帰り着いたのか、
ザントマンさんは手を抜かず、
細部にまで光を当てます。
ちょうどいま開催中の『クリムト展』には
残念ながら『アデーレ』は来日していないのですけれど、
アート好きさん&歴史好きな活字マニアさんに
おすすめしたい一冊です。
本屋さんで、図書館で、探してみてくださいね♪
さみしくッてェ、かなしィでスゥ~…」
「がるる!ぐぅるるるがる……」(←訳:虎です!しょんぼりです……)
こんにちは、ネーさです。
京マチ子さんの訃報に接して、つい先日、
『美と破壊の女優 京マチ子』を御紹介したばかりの私たちは
寂しい思いを押さえ切れません。
けれど、別れの涙よりも心からの拍手と喝采を送りながら、
本日の読書タイムは
“美しいひと”に捧げるこちらのノンフィクション作品を、
さあ、どうぞ~!
―― 奪われたクリムト ――
著者はエリザベート・ザントマンさん、
原著は2015年に、画像の日本語版は2018年12月に発行されました。
独語原題は『DER GESTOHLENE KLIMT』、
『――マリアが《黄金のアデーレ》を取り戻すまで』と
日本語副題が付されています。
「うむむゥ? このォ、おはなしィはァ~…」
「ぐるるがっるるる?」(←訳:映画になったよね?)
そうね、映画好きな方々は
『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015年)を
連想するかもしれません。
この御本は、
ヘレン・ミレンさん主演の長編映画で描かれたのと同じに、
グスタフ・クリムトさんが描いた肖像画
『アデーレ・ブロッホ=バウアーⅠ』(1907年)が
ナチ政権によって不当に奪われ、
“本来の持ち主”のもとに
返還されるまでを追ったものですが、
映画とは全く別に執筆、刊行された作品です。
著者・ザントマンさんは2014年に本作を書き上げており、
映画は2015年に公開されていますから、
偶然の一致ということになるのでしょうが、
それにしても――
「はらがァたつゥ~!!」
「がるぐる!」(←訳:怒り沸騰!)
いったいどれほどの美術品が
ナチスドイツの手によって略奪され、
現在も行方不明になっているのか、
考えるたび心が波立つ――という御方は
少なくないようです。
ザントマンさんは
ナチの略奪美術をテーマとする研究著作を
この御本以外にも刊行していますが、
研究のきっかけとなったのは、
2006年、ニューヨークタイムズを読んだこと。
「きじィがァ、のッてたのでス!」
「ぐるるがるるがる!」(←訳:絵画が高額で落札!)
クリムトさん作『アデーレ・ブロッホ=バウアーⅠ』を、
米国の美術収集家ロナルド・ローダー氏が
1億3500万ドル(およそ135億円)で購入した、と。
ザントマンさんは、その金額の高さよりも、
絵画が辿ってきた“道”に想いを巡らせます。
『アデーレ』は、
もともと誰のものだったのだろう?
どうして米国のコレクター氏が
手に入れることになったのだろう?
「ふくざつゥきわまるゥ~みちのりィ!」
「がるるるぐるる~…」(←訳:流浪の旅だねえ~…)
この御本には多数の図版が収録されていて、
冒頭部分には、ああ、この人が!
クリムトさんの作品のモデルとなった
アデーレ・ボロッホ=バウアーさんその人の、
肖像写真が掲載されています。
「わァ~おッ! このォひとみィ!」
「ぐるがるる!」(←訳:眉も輪郭も!)
クリムトさんが描いた実在のアデーレさんと家族、
そして、
彼女の肖像画が
20世紀の狂気と混沌の嵐の中を漂い、
ついには“家族”のもとへ帰り着いたのか、
ザントマンさんは手を抜かず、
細部にまで光を当てます。
ちょうどいま開催中の『クリムト展』には
残念ながら『アデーレ』は来日していないのですけれど、
アート好きさん&歴史好きな活字マニアさんに
おすすめしたい一冊です。
本屋さんで、図書館で、探してみてくださいね♪