テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《王座》のゆくさき。

2019-05-13 23:05:55 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 しがつゥはァ、さくらァでェ~…」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!5月はバラ!)

 こんにちは、ネーさです。
 植物園で、公園で、個人宅のお庭で、
 “花の女王”バラの花が咲いていますね。
 白がいいなぁ、真紅もピンクも黄色もいいなぁ♪と、
 楽しく見比べながら、
 さあ、本日の読書タイムでは
 “花の女王”ならぬ“拳闘の帝王”の伝記作品を御紹介しますよ。
 こちらを、どうぞ~!
 
  


 
          ―― 無敗の王者 ――



 著者はマイク・スタントンさん、
 原著は2018年に、画像の日本語版は2019年1月に発行されました。
 英語原題は
 『UNBEATEN Rocky Marciano's Fight for Perfection in a Crooked World』
 『評伝ロッキー・マルシアノ』と日本語副題が付されています。

 ロッキー……という名を耳にして、
 多くの方々が思い浮かべるのは、
 おそらく映画の『ロッキー』
 (1976年公開、日本では翌1977年公開)でしょうが……

「ぶたいはァ、ふぃらでるふぃあッ!」
「ぐぅるるるがるる!」(←訳:チャンプを夢見て!)

 フィラデルフィアの街路を走り抜け、
 栄光を掴んだロッキー・バルボアさんは
 あくまでも映画――フィクションの世界の住人でしたが、
 こちらの“ロッキー”は現実の世界の人物です。

 身長5フィート10インチ(約179センチ)、
 体重185ポンド(83.91キロ)。
 
 その戦歴は、49戦全勝43KO――
 まさに、『無敗』の世界ヘビー級チャンピオン!

「でもォ、らしくゥないィでス!」
「がるるるぐる?」(←訳:ホントに王者?)

 そう、御本の表紙になっているのは
 ローランド・ラスターザさんと対戦した
 1953年9月24日の写真なんですが、
 マルシアノさんの“らしくなさ”が窺がわれます。

 腕は短くて、足は遅くて、
 ボディバランスが良かった映画のロッキーとは
 まったくの大違い。

 それでも、強かった!

「しょうりィ、またァしょうりィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:敵なしだよ!)

 向かうところ敵なし……
 いえ、敵は数多おりましたが、
 拳ひとつで勝ち取ったのは
 賞賛に彩られた栄光の日々。

 ただし、マルシアノさんは
 最初から恵まれた境遇に
 生まれついたのではありませんでした。

 イタリア系移民の子として育ち、
 高校は中退、
 ボクシングを(やや本格的に)始めたのは
 軍に入隊していたときのこと。

 そして、
 メジャーリーガーになりたいなぁ~などと迷ったり、
 ものすご~くいろいろあって、
 (やっと本格的に!)プロデビューしたのは
 1947年の3月。

「にじゅうゥよんさいィ??」
「がる~!」(←訳:遅い~!)

 迷った末でも、遅くても、
 その後のマルシアノさんの戦績は
 王者に相応しい快進撃でした。

 対戦相手を
 一撃でロープ外へ叩き飛ばす。

 相手が昏睡状態に陥るほどのノックアウト。

「まぶしいィ~!」
「ぐるるるる!」(←訳:比類なき王!)

 無敗の記録を保ったまま、
 1956年に引退。

 カムバックしないか、と
 大金を積まれて誘われても、
 決してふたたび、リングに戻ることはなかった……

 そんな《光》の日々は、
 やはり、というべきなのでしょうか、
 闇も陰もあった、
 幸福一色ではなかったのだと、
 著者・スタントンさんは語ります。

 王座に登った者の、
 甘く切ない“坂道”、
 苦も楽もある登り坂の、
 その先にあるのは。

「ゆくさきィ、みえずゥ!」
「がっるるぐるる?」(←訳:いったい何処へ?)

 不世出のチャンピオン、
 その生い立ち、
 闘いに明け暮れ、
 不意に訪れた旅立ちまでを詳細に綴ってゆく力作は
 ボクシングファンの方々、
 スポーツノンフィクション好きな活字マニアさんに
 この春いちばんのおすすめですよ。

 著者・スタントンさん、
 翻訳者の樋口武志さんに拍手を贈りつつ、
 どうかぜひ、一読を♫
 
 
 
 
 
コメント
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