10月11日~17日までの為替見通し2012年10月11日
14日まで東京で開催されているIMF総会。
その席では現在までに世界経済が低迷するとの見通しが示され、それが為替や株式市場のさえない動きにつながっています。
そのIMFのホームページhttp://www.imf.org/external/datamapper/index.phpにも今後の世界経済はアメリカ、ユーロ、日本とアフリカの一部に経済成長の鈍化が見込まれることが示されています。
その一方で、減速中といえど中国の経済成長率は現時点で大幅に欧米、日本を上回っています。
さて、こうした構図は過去にもありました。
現在の中国を日本と置き換え、時代を1990年前後に移すと似た状況になります。
その後、歴史がどう展開したかを思い出しながら、今後の予測に役立ててみましょう。
1990年、日本経済はバブル景気を背景に土地価格が高騰。それを利用した融資が拡大し、銀行も企業も個人も増えた担保力によってフルにレバレッジを効かせた状態になっていました。
国内からあふれ出したお金はアメリカ主要企業のビルや企業買収にも投入され、経済活動に携わっている人の間にも「ちょっと行き過ぎではないか」との印象がリスクとして意識され始めていたと思います。
有り余るお金で他国企業や株、土地を買いまくった結果、「日本脅威論」が醸成され、諸外国から警戒されたといえるでしょう。
国際的にはBIS規制の強化が実施されましたし、国内的にも総量規制が効いて、金融機関が過剰な融資ができなくなりました。
その結果、土地を担保にした融資システムは逆回転し、信用収縮に直結。私たちが2007年~2010年に見たリーマンショックさながら、日本のバブル崩壊は大きな動きとなりました。
今日、「失われた20年」とか「30年」とか言われますが、1990年以降の円高と信用収縮の後始末はかくも長期間の調整を必要としました。
おまけに少子高齢化も進行しているのです。
こうしたバブル調整が中国の今後にも起こり得ると思います。中国は急激にリッチになり、その結果、国富に恵まれ、有り余る資金を海外に投資し、近年めきめきと存在感を増してきました。
株のみならず、日本の水資源なども買収していると報道される機会が増えました。
それが脅威論となり、諸外国から警戒される構図は日本の例で見てきたとおりです。
これから起こり得ることは世界景気のけん引役だった中国の成長鈍化に伴う各国のポジション調整ではないでしょうか。
元高、IMF総会に中国大手銀行の欠席、デモ等での外国勢からの敬遠要素が生じたことは否めませんし、それによる信用収縮のリスクや少子高齢化という点で「失われた20年」に突入した日本と状況が似ている点から中国が長い調整期に入る可能性は高いと思います。
それに伴い、すでに世界経済は中国に変わる次なる成長エンジンを何に求めるかの模索期にあるといえます。
その観点から民主党・オバマ大統領か共和党・ロムニー大統領かが大注目されるわけです。
大統領が決まれば、いずれトレンドを伴った方向性が私たちにも見えてくることでしょう。
もしオバマ氏再選であれば、オバマ大統領のこれまでの施策が急激に転換されるとは考えにくく、TPP構想による関係国のアライアンスによっての成長戦略となるのではないでしょうか。
ロムニー氏は「強いアメリカ」を標榜しているといわれます。
したがって世界警察としての役割を積極的に担い、紛争解決に乗り出すことによって需要喚起を起こす施策がとられるかもしれません。
ただ、財政厳しき折、その際の資金源がどのような形で拠出されるのかはわかりません。
いずれにしても今は動きがとりにくい状況で小幅の上下で終始しそうです。
各通貨のレンジはチャート分析で以下に示しました。
★ドル円
78.765
78.379~78.238
78.114
77.688(レアケース)
★ユーロ円
101.379(レアケース)
100.825~100.531
99.851(レアケース)
★オーストラリア円
81.174
80.774~80.107
79.790(レアケース)