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Brugge Style
the sun always shines on ...
冬の日は灰色の雲に低く覆われていようとも、春はもうそこまで、わたしのマグカップには太陽が常に輝いている、と。
日射が不足すると起こる冬季性鬱病Seasonal Affective Disorder (SAD)、略語がSADというのもどうなのと思う。
冬、日照時間が極端に短い欧州では珍しくない症状で、特にこちらに住むようになった日本人には悩まされる人が多いという話を聞いたことがある。日本の冬、からっとして明るいですもんね...
その予防のために日照時間を補う人工ライトが販売されており、今年はとてもよく売れているそうだ。かくいうわたくしも新型コロナウイルス禍のこの冬は、まずは屋内に閉じこもって朝から晩まで勉強する娘と、更年期障害気味の自分のために購入した。効果のほどはわからない。
太陽の光によくあたり、旬のおいしいものを食べ、美しいものを見たり聞いたりし、軽い散歩を日課とし、さらに付け加えるならば、昨日まで知らなかったことを今日は知り、自分が少しでも他人や社会の役に立っていると感じ、アイデアや考えに同調してくれたり、時に批判してくれたりする友がいる...
人間の脳が欲望するのはまさに「知りたい」「生きのびたい」「仲間になりたい」なのだ。
あと、犬か猫がいたら最高なんですけど...
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プラリネのスフレチーズケーキ
見事に膨らんではいるが、どうってことない外見の、オーブンから出したてのスフレチーズケーキ。
中身は、先日パリ・ブレストのプラリネクリームを作っている時に思いついて、プラリネを入れてみたバージョン。
プラリネ入りのスフレ・マスカルポーネ・チーズケーキ! おいしい!
夫は夕食後に必ずデザートを食す。
しかもロックダウン中はきっちり3時のおやつまでするようになったため、加齢と運動不足も考慮して、この一年間、低糖・ほぼ無糖のお菓子を考案してきた。
元々、英国の市販のお菓子にはあまり美味しいものがない。自分で作るしかないのである。
日本の友達の中には「ケーキなんかほとんど焼いたことない」と言う人もいる。そりゃあ昔からレベルの高いパティセリーやブランジェリーがしのぎを削る阪神間に住んでいる人は家で作る必要なんかないの! うらやましい!
砂糖と小麦粉をしっかり使う必要のあるお菓子を作るときは躊躇はしないが、チーズケーキなどはかなり低糖にできる。
フィラデルフィア、マスカルポーネ、リコッタ、カマンベールなど、チーズを変えて焼くのも楽しい。
他にはアーモンド粉とカカオ90%のチョコレートでガトーショコラ、カカオ90%のチョコレートでチョコレート・ムース、コーヒーゼリー、パンナコッタ、ティラミス、ごま粉やアーモンド粉やココナッツ粉のクッキー(<だっておからがないから)、ベリー類のクラフティ、ソルベなど。乳製品の摂取過剰も気になるので、そちらも考慮に。
時々砂糖を控え過ぎて、食べた気にならないこともあるので、塩梅はなかなか難しい。
元々わたしはまずいものを食べると、せっかくの食事回数をひとつ逃してしまった気がして腹が立つタイプだ。
できるだけ美しくおいしいものを食べるようにしようと思っているのは、そうでもしなければ、ロックダウンに耐えられそうにないからである。
早く英国いちごの季節にならないかなあ...
いちごの生クリーム添え!
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灰の水曜日
わが家は夫と娘がベルギー人でカトリック、わたしももの心つく前からキリスト教系学校に通わせられていたのではあるが、宗教心に篤いわけでは全くない。
しかし今年は特に、暦というものが自然のサイクルにのっとって制定されてあり、人間もその一部であることを痛感させられる。
今年は昨日2月17日が「灰の水曜日」だった。
「灰の水曜日」は、カトリック教会で、復活祭の46日前の水曜日である。
この水曜日から復活祭の前日(聖土曜日)までを四旬節と呼び、この期間中は質素な食事を取りつつイエス・キリストの受難に思いを馳せる。
ちなみにこの禁欲期間に入る前に許された馬鹿騒ぎがカーニバル(肉よさらば)である。今年は世界中で自粛されたそうだが。
身も蓋もない由来としては、冬の間、備蓄してあった食物がいよいよ尽きる頃にあたり、春までの40日あまりの日を、粗食でしのがなければならなかったかららしい。
クリスマス(冬至)に一度死んだ季節が、いよいよ蘇るのである。
日本よりも春の訪れが遅い欧州でも、いよいよ復活の季節がそこまできているのだ。
英国では昨年12月8日にワクチン接種を開始した。
政府は、2月15日までに、優先順位の高い上から4グループ(医療従事者、介護施設の入所者と従業員、70歳以上、臨床的弱者)1500万人に一回目の摂取を完了させるという目標を提示、それよりも一日早い14日、1506万2189人に達した。
今週からは65歳以上の摂取が始まり、このままのペースでいくと夏には英国の18歳以上が2回ずつの摂取を受けられる計算だそうだ(ある新聞の試算ではもっと早く、初夏ごろ)。
わたしが住んでいるイングランドではクリスマス前に突入した3回目のロックダウンが続いている。
街は生活必需品を扱う商店しか営業しておらず、外出は医療と教育を受ける以外は禁止。
教育を受けるといっても、一部の特殊なケースを除いては休校中だ。
通勤はやむを得ない場合に限る。数週間前には、不必要にオフィス出勤する人が五人に一人いる、と調査結果が出ていたが、ロンドンのオフィス街もハルマゲドンの後かというほど閑散としている。
わたしもクリスマスの前から、10日に一回の食料品の買い出しにしか外出していない。散歩も近所でのみ許されているので、夏のようにハイキングコースまで出かけたりはできないのである。
46日後には「春」が来るというような明るい話でもないと、気が滅入ってもう1日たりともやっていけないこのごろなのである。
禁欲をする気力も残っていないほど...
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nuts about you
2月14日に自分でご飯を作るとは!
夫がプレゼントを3つ用意してくれたので、負けられない。
メインに鴨のパイ包み。鴨の胸肉、ソフトドライいちじく、フォアグラを、パイ生地に包んで焼くだけ。
ソースはバレンタインらしく、カカオ90%のチョコレートと赤ワインで。
チョコレートをソースに使うと、甘じょっぱい醤油バターのようになる。
デザートは夫の希望でパリ・ブレストを焼いた。
プラリネ(ヘーゼルナッツ)のクリームと、飾り付けはローストしたアーモンドと、カカオがけのアーモンドで、ナッツ、ナッツ、ナッツ。
Nuts About Youで、どう? という殺し文句でわたしの勝ち。
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人魚姫の階段
娘とお茶を飲んでいるときには、主に世界で起こっていることについて話すが、時々、彼女の友達の恋愛の話になったりもする。
一度、わたしには死ぬほど好きな人がいて、でもその人は他の人と結婚してしまった、という昔話をした。
娘は目を丸くして驚いた。ママでさえもそんなことがあったのか、信じられない、と。
彼女はわたしが常にずっとワガママでモテモテであったと思っている。これは半分事実に反している。ずっとワガママだっただけである。
彼女がそのように思っているのは、単に夫がわたしを王様扱いするからであろうと思う。
わたしがその人を忘れて平気になるには10年以上かかった。いや、15年、ほとんど20年だったかもしれない。
なかなか辛かったのは、どなたかが
「本当にその人を愛しているのなら、その人の幸せをこそ一番に考えられるはず。自分が結婚したいなどと思うのなら、それはただの自己中心、自分勝手にしかすぎない」
とアガペーを説いたことだ。
それは努力しても不可能で、単に時間が経過するのを忍耐強く待つしかなかった。
今になって、人生にはそういう欠落があるほうが美しいかもしれないと思う。
そして彼の幸せをこそ願えるようになったのは(<といえば素敵だが、単に時間が忘れさせた)、ずっと外部にあった彼が、やっと内面化されて自分の一部になってしまったからであろう。
Happy Valentine!
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