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人魚姫の階段




娘とお茶を飲んでいるときには、主に世界で起こっていることについて話すが、時々、彼女の友達の恋愛の話になったりもする。

一度、わたしには死ぬほど好きな人がいて、でもその人は他の人と結婚してしまった、という昔話をした。

娘は目を丸くして驚いた。ママでさえもそんなことがあったのか、信じられない、と。
彼女はわたしが常にずっとワガママでモテモテであったと思っている。これは半分事実に反している。ずっとワガママだっただけである。

彼女がそのように思っているのは、単に夫がわたしを王様扱いするからであろうと思う。


わたしがその人を忘れて平気になるには10年以上かかった。いや、15年、ほとんど20年だったかもしれない。

なかなか辛かったのは、どなたかが

「本当にその人を愛しているのなら、その人の幸せをこそ一番に考えられるはず。自分が結婚したいなどと思うのなら、それはただの自己中心、自分勝手にしかすぎない」

とアガペーを説いたことだ。

それは努力しても不可能で、単に時間が経過するのを忍耐強く待つしかなかった。

今になって、人生にはそういう欠落があるほうが美しいかもしれないと思う。

そして彼の幸せをこそ願えるようになったのは(<といえば素敵だが、単に時間が忘れさせた)、ずっと外部にあった彼が、やっと内面化されて自分の一部になってしまったからであろう。


Happy Valentine!
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