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1969年のフランス映画「スローガン」。
セルジュ・ゲンスブールとジェーン・バーキンが出会った映画として有名だ。
ジェーン・バーキンは今でも人気者だが、わたしにはジェーン・バーキンの俳優としての良さがよく分からない。ちっとももっと彼女のことを知りたいと思わせられないのだ。
ものすごくかわいいとは思うけど。
整った顔の上半分と、少々出っ歯気味の大きな口の下半分が彼女のなんともいえない独特の雰囲気になり、ああいう顔とスタイルの持ち主だからこそ許された自由奔放さは羨ましいなあとは思う。俳優としては実際どうなんだろう。あのたまらんアホっぽさが演技ならすばらしいな。
あ、英国人である彼女が全身全霊全力で「フランス女」を演じている、というのは痛いほど分かる。
誰か教えて。
映画「スローガン」は、ファッション雑誌か劇画のようだ。ストーリー展開を堪能するというよりは、テンポとおしゃれさを楽しむ映画だ。実際、見ていて楽しい。舞台はパリやヴェニスだし、車もアパートのインテリアも飛行場もいちいちかっこいい。バレエシューズや、超ミニのワンピースもかわいい。音楽もゲンスブール節満開。
なぜ急に「スローガン」の話を始めたかというと、友達が最近この映画を初めて見て、「スローガン」とタイトルの意味がわからないから教えろ、と言ってきたのだ。
ネットで探しても彼女と同じように「意味不明」としてある記事しか見つからなかったそうな。
YouTubeで検索したら、親切な方が英語字幕を付けたバージョンがあったので、先日見てみた。
「スローガン」(企業や団体の理念や、運動の目的を、簡潔に言い表した覚えやすい句・標語・モットーのこと。ウィキペディアより引用)は、CMプロデューサー役であるゲンスブールの仕事を反映してか画面に何度も出てくる。アフターシェイブのコマーシャル、駐車場の入り口の看板、ガソリンスタンドのマーク...
しかし恋愛のドタバタ悲喜劇中に「スローガン」が意味するような社会性は見当たらない。
一箇所、ゲーンズブールが自分のCM製作者としての仕事を評価されて小さく呟くシーンがある。
「いいのは初めだけ」
CMが新鮮で影響力があるのは初めだけという意味と、ヒトメボレ同士で同棲するようになったゲーンズブールとバーキンに倦怠期が訪れ、しかし別れるに別れられない二人の葛藤を表している。
すなわちモテモテで、女をとっかえひっかえする彼の恋愛パターンの「スローガン」というわけ。
ちがうかな。
ゲンスブール、料理をしながら「英国女は料理ができない」と言ってましたよ。アーメン。
(写真はvanityfair.comから)
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