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受賞者のインタビュー




今年も日本人の研究者がノーベル医学生理学賞と物理学賞を受賞した。

フレー!

どのマスメディアも彼らの研究の内容について一般大衆にわかりやすいように説明するよりも、生い立ちや経歴を感動的に説明する方に熱心だ。まあ毎度のことだから驚かないけど。オリンピックでメダルを取った選手に関しての記事もそうなりがちですよね。

日本人が受賞したことが誇らしいというよりも、研究内容に注目すべきだ。
そのとおりだ。が、わたしがおふたりのインタビューを読んで、人間とはこんなに誇らしいのだと感動したのは事実。科学者を目指している娘に説教したいことが医学生理学で受賞された大村先生のインタビューにはぎっちり詰まっていたので、自分が忘れてしまわないようメモ代わりに記しておきたい。


「他の人の真似はしない。同じことはしない」
「すべて世のため、人のため」
「全部微生物のおかげ。周りで支えてくれた人のおかげ」
「失敗を恐れるな」
「次の世代に仕事を引き継ぎたい」


しかもユーモアのセンスがあり、スポーツがおできになる。
新薬開発の特許で莫大な富を得、それを研究所や美術館や地元に還元されたという怜悧さもすばらしい。
「子供の頃叩き込まれた農作業の知識が研究に役に立った」というのも素敵だな。

きっといつも機嫌のいい方なのだろうと推測する。なぜなら、機嫌が良い人でなければ「大体のことは失敗する。でも何回か繰り返すと「またやろう」と思って、やる気になるんです」なんてありえないもの。

不肖わたくしもいつも娘に「成功するのはハッピーな人」と言い聞かせているが、まさにこのことなのである。


「菌を分離した時にはわからない、何年後かにわかる」というくだりは、科学者として最も大切な態度のひとつだが、教育する側も心すべきだと思う。
昨今、すぐに結果や行為の利益が出るような教育が期待され、例えば日本の人文社会科学系学部の存続問題にもつながっているが、われわれは子供の成長や勉強や研究には時間がかかるということを忘れてはいないだろうか。

梶田先生も「この研究はすぐに役立つようなものではなく、いい言葉でいえば人類の知の地平線を拡大する」とおっしゃった。
そうなのだ、すべての学問は、即戦力になる技術を習得するためにではなく、地の地平線を拡大するためにある。

すぐに役に立つとか、すぐに金になるとか、そういうセコい考え方は教育や学問の現場ではもうやめましょうよ。

と、思ったのだった。


(インタビューは10月6日、7日の毎日新聞デジタル版を参考にした)
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