ボイシー日記

手がふさがっていては、新しいものは掴めない。

海浜小説。

2009-07-24 11:01:46 | 
海浜小説、というジャンルはないのだが
オイラの中では、いつのまにか出来上がっている。

芥川龍之介の小説でも
とくに「蜃気楼」が気に入ったと書いたが
なぜかと思ったら、そういえば
昔から、海浜を描いた小説が
好きだったのも理由のひとつだった。
海辺や灯台、岬が舞台となっているものに心惹かれる。

志賀直哉の「鵠沼行」、
小川国夫の「青銅時代」「海からの光」、
安岡章太郎「海辺の光景」もそうか。
とくに小川国夫の小説は、愛してやまない。
静岡県の藤枝や大井町河口付近の景色が
でてくる小説がたくさんあり、親近感がわいた。

オイラが小さい時は浜松あたりで暮らしていて
よく出かけていた中田島砂丘とか、
天流川の河口付近の風景が脳裏に焼き付いている。
その風景と、小川国夫の描く風景が
二重写しになって郷愁を誘う。

小川国夫の文章は決して急がない。
静かに、淡々と、日常を語る。
そして心に残らない。
心に残らないというのは、浄化される感覚。
引き潮のように記憶から去っていく感覚だ。

コピーライターになろうとしたのも、高校を出た頃、
小川国夫の小説を読んで、
素晴らしい比喩や、美しい文章に出会ったからだ。

秋山晶の広告コピーにも
小川国夫っぽいコピーがあったのを覚えている。
シルキーというウイスキーの雑誌広告だったと思うが
「アポロンの島」に入っている短編と同じような世界を感じた。
秋山晶も、たぶん小川国夫の
ファンなんだろうなと、そのとき思った。

アヴァンチュリエール/大貫妙子
http://www.youtube.com/watch?gl=JP&hl=ja&v=NeQgshHr3kk&feature=related

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