河童の歌声

歌声喫茶&キャンプ&ハイキング&写真&艦船

桜木町事件

2021-02-22 07:06:25 | 事件・事故


私は以前、横浜に長く住んでいましたので、
桜木町事件という電車の火災事故で多くの人が亡くなった事件を知っていました。
その場所は、横浜駅から桜木町駅の間の高架になっている場所です。



高架になっている下は、この様な無機質で半分暗渠みたいな道で、
まるで面白味の無い直線が1キロも続くのです。
私はそこを3回くらいは歩いた事があります。
そこを歩くと「この真上の線路で、あの桜木町事件があったのだな」と、
思わずにはおられませんでした。



事件は1951年(昭和26年)4月24日、午後1時38分頃に起きました。



国鉄・桜木町駅から200メートルくらい横浜駅寄りの上り線で、
架線工事をしていた作業員が工具のスパナを誤って落としてしまったのです。
その為に架線がワイヤーに接触しショート、ワイヤーが断線しました。
断線して架線が垂れ下がってしまったので、
作業員たちは上り線の列車を進入させない様に手配をしましたが、
下り線に対しては措置を取らずに、通常通り運行できると判断したのでした。



その時、横浜駅方面から下り電車が進入して来ました。
運転手は架線が垂れ下がっているのに気づかずにそのまま時速35キロで進入。
その時、垂れ下がっていた架線がパンタグラフに絡まってしまったのです。
運転手は急いでパンタグラフを降ろそうとしたのですが、
パンタグラフは破損し電車の車体と接触しショートしてしまいます。
電車の屋根の部分から発火し、火は瞬く間に車体へと燃え移ってゆきました。

先頭車両は瞬く間に燃え広がり、火は2両目にも移ってゆきました。
先頭車両は10分間で全焼、2両目は半焼したのでした。
この火災で死者106人、重軽傷者92人を出す大惨事となってしまいました。



事故車両の窓は3段構造になっていました。
上の段と下の段は上下動させて開きますが、真ん中の窓は固定式で動きません。
上下の窓の隙間は、29センチでした。
その隙間からの脱出は火災の中では殆ど不可能でした。
自動扉を開けようにも電流のショートにより開けられず、
乗客たちは非常用コックの位置など分かる筈もなく、
車両と車両を連結する通路のドアは外部から鍵がかけられていて開く事は出来ませんでした。
かろうじて1両目と2両目の間のドアは開けられる筈でしたが、
そのドアは左右にスライドさせる形式ではなく、
取っ手を引っ張って開ける形式だった為に、
脱出しようと必死で押し寄せる乗客の圧力で開く事が出来なかったのです。
更に事故現場が高架路線だった為に消火活動も殆ど出来ずに、
外の人々は、乗客達が助けを求めながら焼け死んでゆく姿をただ見ているしかないという、
地獄絵を産んだのでした。

この当時の電車は戦後の、まだ未成熟で不完全な車両で、
極めて燃えやすい材料やペンキで覆われていたのです。
乗っていた客たちは逃げ場の無い密室で焼け死ぬしかなかったのでした。



この事件を機に、車両は進歩して行きましたが、
人間は生まれてくる時代を選ぶ事は出来ずに、
「こんな理不尽な死に方があるか」と思っても、どうにもならないのです。
電車の中に居たか、外に居たかで、天国と地獄。
時代とは言え、本当に気の毒な事件でした。


コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

応援歌、どっちもどっち

2021-02-22 06:13:20 | 音楽
巨人軍~闘魂こめて~


この歌の作詞者は、佐藤惣之助。
プロ野球のライバル球団として有名な、
読売巨人軍(ジャイアンツ)と、阪神タイガースには、
それぞれ球団歌というか応援歌があります。

面白いのは、どちらの歌も作曲者が同じ古関裕而だという事です。
作られたのは阪神タイガースが1936年(昭和11年)
その当時は阪神ではなく、大阪タイガースという球団名で、
阪神と改題したのは1961年(昭和36年)
この歌は12球団の球団歌として最古の歌です。

一方のジャイアンツ「闘魂こめて」の作詞者は、
椿三平(彼は「広島カープの歌」の作詞者、池田真琴と同一人物です)
この歌が出来たのは1962年(昭和37年)でした。
阪神タイガースの歌「六甲おろし」の方がずっと早いんですね。

ジャイアンツの「闘魂こめて」は、
1番は、守屋浩。2番は、三鷹淳。3番は、若山彰が唄っています。
2006年からは水道橋駅の発車メロディーとなっています。

「闘魂こめて」

1 闘魂こめて大空へ 球は飛ぶ飛ぶ 炎と燃えて
  おおジャイアンツ その名を担い(にない)てグランドを
  照らすプレーのたくましさ
  ジャイアンツ ジャイアンツ
  ゆけゆけ それゆけ巨人軍
2 嵐を雲をつんざいて 球は呼ぶ呼ぶ 勝利の星を
  おおジャイアンツ その名と共に 明日の日へ
  伸びるチームの勇ましさ
  ジャイアンツ ジャイアンツ
  ゆけゆけ それゆけ巨人軍
3 輝く歴史重ねつつ 球はゆくゆく 無敵の天地
  おおジャイアンツ その名を高く いや高く
  あげるナインの頼もしさ
  ジャイアンツ ジャイアンツ
  ゆけゆけ それゆけ巨人軍

阪神タイガースの歌(六甲おろし) 若山 彰(古関裕而 作曲・歌詞入り)


「六甲おろし」

1 六甲おろしに颯爽と 蒼天翔(か)ける日輪の
  青春の覇気 美(うるわ)しく
  輝く我が名ぞ阪神タイガース
  おう おう おうおう阪神タイガース
  フレ フレフレフレー
2 闘志溌剌(はつらつ)起(た)つや今 熱血既に敵を衝く(つく)
  獣王の意気 高らかに
  無敵の我らぞ阪神タイガース
  おう おう おうおう阪神タイガース
  フレ フレフレフレー
3 鉄腕強打 幾千度(いくちたび) 鍛えてここに甲子園
  勝利に燃ゆる栄冠は
  輝く我らぞ阪神タイガース
  おう おう おうおう阪神タイガース
  フレ フレフレフレー
  
巨人ファン、阪神ファン。
どちらも「俺んとこの応援歌の方が絶対いい」とか言ったって、
どっちの歌も作った人は同じなんだよ、古関裕而という事で、
そんなのね、どっちだっていいじゃんかよ~。
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする