齋藤孝「座右のゲーテ」を読みました。
以前手塚富雄著「いきいきと生きよ ゲーテに学ぶ」について書いた際に、お勧めいただいたのがきっかけです。
この本は、ゲーテについて学ぶ、というよりも著者がゲーテの言葉をモチーフに自身の見解を展開するもので、いつもの「齋藤ワールド」全開です。
著者が言葉に対してセンシティビティが高く、かつ物事をよく理解したうえで書かれているからだと思いますが、かみくだかれた平易な言葉で書かれています。この本を読んで、今までは関心がなかったゲーテ、あるいはドイツ文学・哲学に興味を持つ方も多いのではないでしょうか。
他の本でもよく書いていますので、著者はそれだけ日本人の国語力の低下に危機感を持っておられるのだと思いますが「過去の名作をひもとかずして現代のものしか知らないと、審美眼・価値判断のスタンダードがどんどん下がる。過去の上質な作品をもっと知るべきだ」と述べています。 ゲーテも同じことを考えていました。
ちなみに、齋藤孝には宮沢賢治、三島由紀夫、川端康成、夏目漱石などの文学作品を紹介する多くの著書があります。詳しくはコチラ。
他に「座右のゲーテ」で印象に残ったことを2つ下に書きます(「」内がゲーテの言葉、他は齋藤孝の解説の抜粋・抄訳)。
「人は、青春のあやまちを老年に持ちこんではならない。老年には老年自身の欠点があるのだから」 ある時期に起こした過ちの悔恨をいつまでもひきずるな。あやまちはあやまちとして区切りをつけていくことが大切である。区切るというのはある種の諦念だとも言える。あきらめることで、開ける道もある。
「人はただ、自分の愛するものからだけ学ぶものだ」 自分の性分にふさわしい相手と、何だかそりが合わないのに惹きつけられてしまう相手とは区別しなくてはならない。その人の思想、主張がするすると体に吸収されてしまうような相性のよさを感じる人から学ぼう。相手を間違ってはいけない。
多少似た言葉で孔子の「之を知る者は之を好むものに如(し)かず」(あることをよく学んでいても、それを愛する人には勝てない)も引用されています。
手塚富雄「いきいきと生きよ-ゲーテに学ぶ」について
齋藤孝「偏愛マップ」についても後ほど・・。
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