オランダ国

　日本は１６３９年鎖国政策を取り、西洋諸国では唯一オランダとのみ長崎で交易を行うようになるのですが、ビスカイノが来日した時は、秀忠等は相当好感を以て迎え入れているようでした。その時、このビスカイノ達は此のオランダについて相当厳しい批判をしています。

　・オランダは、今、ルソン島周辺の島に赴き、そこにいた日本や中国の船を襲って略奪行為を繰り返して居る。その船をわが軍隊が襲撃して略奪され　　た品物を取り返して元の持ち主に返してやった。其の時五艘のオランダの船の内三艘は我が軍に捕らわれ、残りの二艘の船は小船な為日本まで来る　　ことはできない。だから、昨年。日本と約束を交わした生糸の通商はもはや出来ないだろう。
　・だから、オランダとは交渉をしない方が日本の為にも良いと思う。
　・そもそも、「オランダ人は悪しき国民にして其君なる国王に叛起し服従せず海上を徘徊し略奪をなし多くの害を加える者なり」と書いています。
　　此処で言う国王とは当時スペインがオランダを支配していたのですから、当然スペインの国王の事です。そのオランダがスペインから独立するため　　の戦争を行っていた時ですから、双方が交戦するのは当り前の事なのですが、それをさもオランダの方が悪いと云うように言いふらしていたので　　　す。まあ、双方とも随分勝手な者です。