私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

焼場方向辻売

2011-07-08 10:24:30 | Weblog

 此の大震災の中で、仙果先生は難波に手紙を出そうと、飛脚問屋でその値段を尋ねると
 「正六日限書状一通三匁という」
 だと云ったそうです。
 これもよく分からないのですが「正六日限」と云うのですから、その日が地震発生後の五日でしたから、明日までは今のところ、書状一通につき三匁と云われたのだそうです。三匁と云うのがどのくらいな値段だかよく分からないのですが、一文が1匁だとすると約60円ぐらいになると思いますから、そんない高くはなかったようです。でも五日限と云うのが面白いと思います。六日以降の値段は分からないと云うのです。何もかも当時の江戸では高騰しているのですからです。

 また、この時、仙果先生も「焼場方向辻売」を買い求めています。これはこの地震で焼きだされた街々の様子を書いた瓦板だろプと思われますが、「くわしきさまに、しるせるもみゆれど、みだり事おほし」と、大方の瓦板がいい加減なもので、その為に、先生は「二三種かう」と書いております。
 先にあげた浅草寺の九輪のまがっている絵も、辻売りの瓦板なのです。より正確な情報を得ようとすれば、数種の辻売りを買う必要があったらしいと云う事がわかります。

 「毎日々々凶便のみきゝ、心きももつくるようなり」と書かれています。地震発生から4日も経っていると云うのに、落ち着く暇もないと泣き言が並べてあります