私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

そのなごり、しばしは絶えず

2011-06-04 08:31:20 | Weblog

 長明の名文をどうぞ。

 「かくおびただしく震る事は、しばしにて止みにしかども、そのなごり、しばし絶えず。よのつね、驚くほどの地震二三十度震らぬ日はなし。十日・二十日すぎにしかば、ようよう間遠になりて、或は四五度・二三度、もしは一日まぜ、二三日に一度など。、おほかた、そのなごり三月ばかりや侍りけん」

 と書いています。「よのつね」は、いつもだったらと、いうぐらいの意味でしょうか、それぐらい大きな余震が一日に2、30回は起っていたのだですが、10日経ち、20日経ってからは、4、5度、更に、2、3度と云うように少なくなっていき、終には「一日まぜ」、一日置きに数回程度と、余震の回数が日に日に少なくなっていく様子が手に取るように分かります。

 この文章を意識てでしょう城戸千楯はその記録の中に、「七日八日地震昼夜七八つ斗づゝ、八日夜余程大きなるゆり」と、その回数までを詳しく書き残しています。その中に、「五七度に及ぶ」と、随分と工夫した文章表現にしてその驚きを強調していますが、文学的に見て、やはり長明のそれには勝つことが出来ないと思います。
 
 「おいおい何処のどなたかは知らないが、長明なんかと比べてくれるな。この文政の京都大地震を直接経験して、その様子をちょろっと書いただけだよ」
 と、千楯先生からはお叱りを受けるかもしれませんが。でも、この文は、言わずもがなですが、地震学者にとっては大変貴重な記録である事にな間違いありません。 
 と云う事でもないのですが。千楯先生の記録をもう少々。

 「九日十日より末十四日夜也、今日に至り大小は有ながら一昼夜に五ツ六ツ、或は三ツ四ツづゝ地震す、その度々諸人肝を冷やす事始の如し」

 どうでしょうか。