吉備って知っている １５７ 藤井高雅の遭難②

　どうして、大藤下総守幽叟高雅が暗殺されなければならなかったのでしょうか。　「尊王」を語りながら、幕府と姦謀を通じた大悪罪人だから天誅を加えたというのです。
　高雅（たかつね）は、尊王攘夷を強く主張していました、そのために、紀淡海峡の暗礁計画を立て、その実現に向けて、単に阿波・紀州などの西国の雄藩だけでなく、山田安五郎を通じて、時の老中板倉勝静と合って、暗礁計画を実現するための資金の提供を、幕府に働きかけたことがあったのも事実です。
　高雅の心意気を知らず。高雅と勝静との関係も知らずして
　「悪いやつだ。幕府と朝廷の二股をかけて大金を貪り、金儲けに奔走している姦謀だ。天誅を加えなければならない。やっつけてしまえ」
　とばかりに、その京都での宿舎に一撃を見舞ったのです。
　文久３年７月２５日の夜です。４５歳でした。
　なお、高雅と山田方谷は縁戚関係にあったのだそうですがどんな関係かは分かってはいません。多分、足守の佐伯氏との何らかの関係があったのではと思われます。
　こんなことで、おしいことですが、高雅は、突然、俄かに志士による暗殺に遭遇して日本の歴史の晴れの本舞台から書き消されるように葬り去られてしまったのです。
　坂本竜馬のような政治的なはなばなしい活躍はなかったのですが、経済的に見ると当時の日本にあっては画期的な政策を掲げて、天皇中心の日本の変革を目指して活躍していたのだと思われます。
　「もし」という言葉がつかえるのなら、経済の中心的な人物になりえたのではないかと思えます。三菱の岩崎よりももっと先端を行っていたのではないかと思われます。