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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

ものすごいやつ

2021年12月08日 | 
この深紅色のリンゴは「千雪」(ちゆき)といいます。
2008年に品種登録された青森県生まれで、あまり大きくありません。
特徴は肌にある星のような斑点。正式には「果点」(かてん)といいます。
果点は幼果の時に生えてた毛や気孔が変化したものらしく
品種によって大きさや密度が異なるため、見分ける目安にもなっています。
千雪という名も果点がまるで雪が降っているように見えるから名付けられました。
またモモやナシにもあるとのこと。ナシは分かりますが
モモのイメージがわきません。夏になったら確認したいと思います。
さてこの千雪、食べてみると酸味はほぼなく、甘さだけを感じます。
個人的には酸味がないので、ちょっと首を傾げてしまう味ですが
調べてみて納得。そもそも加工用として誕生したようです。
でも馬鹿にしてはいけません。なんと、その優れた加工特性から
この千雪は世界的に有名な科学雑誌「nature」で紹介されています。
その特性とは皮を向いても褐変しないこと。赤くならないのです。
これはジュースなどに加工する際にとても便利です。
現在、千雪のゲノム分析から褐変に関する遺伝子を探っているということですから
青森県の試験場もなかなかやるもんです。
冬の青森はリンゴでいっぱい。
食べたことのない品種を探すのは面白いものです。
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なせばなる

2021年12月05日 | 
ここにあるのは珍しいブラックのお米袋。
お隣の三本木農業高校のものです。
前任校であり、長い間農業科に所属していたため稲作には深い関わりがあり
ついつい懐かしくて目が止まってしまいました。
おそらく注文して手に入れた先生がいるようです。
さて名久井農業高校にも10年ほど前は、お米を販売していました。
大きな水田は、野球のグラウンドになってしまいましたが
わずかに残っていた水田で栽培していたのです。
しかし今は、その水稲栽培も行われていないので
もうこのような「名農米」というパッケージは消えてしまいました。
現在、青森県の農業関連の高校では本校の園芸科学科のように閉科したり、
農業系の類型がなくなるなど、学習する場がどんどん縮小されています。
どの農業高校も日頃から地域に密着した学習活動をしているため
該当となった高校のある市町村では町の活性化に大きな影響があると困っています。
名農も来年から完全に2学科の小さな高校になります。
かつての名農より生徒数は半減しますが、農場規模はそのまま。
実習する生徒も機会も減り、農場は維持できるのでしょうか。
また町の観光農業を支える「フルーツ娘」への協力、
地元の文化を維持するための秋祭りへの全校参加、
町の農業イベントへの参加や農作業支援活動などに影響は出ないか不安です。
気候変動と同じように急激に影響をあらわしてきた少子化問題と高校再編。
天を仰がず、知恵を出し合い、先を見据えた経営戦略を立て、
フットワーク軽く積極的に取り組む必要があります。
「何かを実行しようと決意した瞬間に、何だってできるのだ」
スウェーデン、ストックホルム出身の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの言葉です。
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神々の年取り

2021年12月02日 | 
日本には八百万の神といわれるようにたくさんの神様が祀られています。
今でこそ、お正月などの祭事に神社に足を運ぶぐらいですが
かつて青森県では、どの家にもたくさんの神様とともに暮らしていました。
私たちは12月31日にその年に感謝する年越し行事を行いますが
1年間の一番最後に行うのは神様を差し置いて先に年越しできないから。
なお青森県では年越しではなく年取りといいます。
青森県南には次のような神様の年取りの日(旧暦)が決まっていました。
11月23日は大師講様、12月5日は恵比寿様、8日は薬師様、
9日は大黒様、10日は稲荷様、12日は山の神様、15日は八幡様。
そして12月31日、一番最後に人間の年取りとなるのです。
でもこれはほんの一部。12月になるとどの家のお母さんも
毎日のように年取りの御膳を作るのが大変だったという記録が残っています。
また面白いのが神様によってお供えする食べ物が違うこと。
大師講様には「なべっこだんご」、へっちょこだんごともいうお汁粉にした料理です。
また大黒様、農神様、山の神様には「豆しとぎ」。
日本海側の津軽地方でしとぎといえば餡の入ったお餅の両面を焼いたもの。
しかしお米の採れない県南では生米にかさ増しするためのダイズを混ぜて作ります。
普段は粟や稗が主食の先人。いずれの料理も神様のために貴重なお米を使っています。
ではこのソバ餅はなんでしょう。ジュネ味噌(エゴマの味噌)を塗った
ソバ餅をお供えするのは薬師様。8本差し上げることになっていました。
お米が栽培できるようになった今でこそ、郷土料理として年中食べられますが
昭和初期は神様の年取りだけの供物。滅多に食べられるものではありませんでした。
12月になりました。神様の年取りが始まっています。
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リンゴの色

2021年11月14日 | 
今、青森県のリンゴは晩生品種の収穫が始まっています。
右はきれいな中生種のシナノゴールド。1999年に長野県で登録された人気品種です。
強い甘さと酸味。絶妙はバランスは見事。名農生も大好きです。
また果肉が硬く、保存性も優れているので全国の店頭に並んでいるはず。
個人的にはふじと並ぶ日本を代表とする良食味品種だと思います。
確か長野に出張した際、青森県では見たことのない
小ぶりのシナノピッコロを買ってお土産にした記憶があります。
ライバルながら優れた品種を生み出しているのには脱帽です。
左は王林。青森県ご当地アイドルでお馴染みの名前ですが、
このリンゴの名前をいただいています。
でもびっくりしないでください。リンゴの王林が誕生したのは
青森県ではなく1952年の福島県。青森のアイドル王林さんの活躍で
なんだか青森生まれのリンゴのように思えるので笑っちゃいます。
この王林、青リンゴの代表格で甘く酸味が少ないのが特徴です。
しかしなんといっても一番の魅力は香り。
リンゴのイメージとは違う本当に良い香りがします。
早く柔らかくなる欠点がありますが、旬の王林の味は格別。
青森県ではふじ、つがるに続く生産量3位と主力品種になっています。
どちらも赤くない黄色系のリンゴ。リンゴのイメージが変わってきそうです。
さて昨年の今頃、地元新聞社が毎年活躍した県人に贈る東奥賞を
環境班トレジャーハンターズが受賞しました。
同時受賞したのはりんご娘。チームの代表メンバーが
王林さんとジョナゴールドさんと記念写真を撮らせていただきました。
先輩はまだフローラハンターズが手を伸ばしても届かない高いところにいます。
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国のリンゴ研究拠点

2021年11月01日 | 
ご覧ください。果肉まで赤いリンゴです。
品種登録されたのは2015年とつい最近。
名前は「ローズパール」といいます。
以前も食べたことがありますが、
甘みも酸味もあるさっぱりしたリンゴです。
生食にも加工にもなるというのが、うたい文句のようです。
この品種の育成は青森県の試験場でも、どこかの篤農家でもありません。
農研機構果樹研究所、つまり国の試験場です。
今は果樹茶業研究所という名前になりましたが
茨城県のつくばに本部があります。
しかしリンゴ研究の拠点は、つくばではなく産地の東北に置かれています。
どこだと思いますか。なんと岩手県盛岡市です。
現在、国のリンゴ研究は残念ながら
青森県ではなく岩手県で行われているのです。
しかし青森県だって負けていません。
つがるや世界一は青森県の試験場が独自に育種しました。
最近では、2018年に「紅はつみ」という新品種が青森県で誕生しています。
こちらはまだ食べたことがありません。
いったいどこに売っているのでしょう。
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