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花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

ちぢみほうれん草

2022年01月17日 | 
これは寒じめホウレンソウ。
収穫前の数週間、外気に当て糖度を高める北国ならではの栽培法です。
今ではすっかり技術が定着し、このように冬の定番野菜として手に入れることができます。
ロゼット型になり、葉が厚くちぢむという外観上の特徴があるので
「ちぢみホウレンソウ」と呼ぶこともあります。
さてこれはスーパーマーケットで見つけたものですが、なんと栽培地は群馬県。
東北ではありません。しかし群馬は赤城おろしで有名な「からっ風」の吹く地域があります。
おそらく冬はかなり冷たくなるので、このように栽培できるのだと思います。
一般的に寒じめにするには地温が5℃以下が目安だといわれています。
フローラはすでに収穫してしまいましたが、
先日まで寒じめホウレンソウを栽培していました。
また現在は小松菜の寒じめ栽培をおこなっています。
今年の年末年始の気温は氷点下5℃以下。ちょっと低すぎたかもしれません。
この小松菜は分析せずに販売を考えています。
はたしてどれぐらい糖度が高まっているのか食べるのが楽しみです。
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はるか

2022年01月03日 | 
またまた黄色いリンゴの登場です。
品種名は「はるか」。まるで人の名前のようだと思いませんか。
実はこのリンゴは2002年、岩手大学農学部で誕生しました。
当時岩手大学農学部の先生が品種登録されましたが、
名前は先生のお孫さんの名前だそうです。
特徴は酸味が少なく、強い甘さ。11〜12月に収穫される晩生品種です。
かつて先代のフローラが白いリンゴに取り組んだ際、
このはるかでも試され、見事に白くなったのを覚えています。
さてこのはるか、甘いリンゴがお好きな方には人気ですが
なかなか手に入らないのが欠点。なぜなら栽培面積がまだ少ないからです。
したがって地元でも1個150円以上と「ふじ」よりも高値。
もし首都圏で販売されたらいくらになるのでしょう。
そういえば今から10年ほど前、チームフローラフォトニクスのメンバーが
東京新宿の高野フルーツ店を見学したことがあります。
すると何と青森県南部町産と表示された「ふじ」が
販売されているではありませんか。
地元のリンゴが花の東京で胸を張っている姿は
こちらも何だか嬉しくなりました。
メンバーが驚いたのがその価格。何と1個1000円。
良いリンゴはこんなにも高値で評価してくれるんだと感心したものです。
黄色のはるか。もし手に入ったらぜひ食べて見てください。
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ストレート勝負

2022年01月02日 | 
青森県は自他ともに認めるリンゴ王国。
生食用のリンゴはもちろん、さまざまなお菓子や
シードルなどのお酒にも利用されています。
中でも身近なのがリンゴジュース。
県内のメーカーはいろいろな種類なジュースを販売しています。
そこでもし青森県にいらっしゃったら飲んで欲しいのがストレート果汁。
リンゴもオレンジも最近のジュースは搾って水分を飛ばして貯蔵し、
瓶や缶に詰めるときにまた水と香料を加えて戻すという濃縮還元が主流ですが
やはり美味しいのは搾ったそのままの果汁。これをストレート果汁といいます。
青森県のリンゴ農家は、秋になると自家製ジュースを作ります。
当然、こちらは搾ったままのストレート果汁。
農家は美味しいものを知っているのです。
そんな青森県なので、店頭に並んでいる約半分はストレート果汁。
産地ならではの贅沢なジュースを誰でも手に入れられます。
嬉しいことに濃縮還元もストレートも青森県ではほぼ同じ価格。
おそらくお正月の食卓にリンゴジュースが並ぶ家庭も多いと思います。
今、最低気温は氷点下10℃近くまで下がっています。
そんな時は、レンジでチンしたホットアップルジュースも最高。
せっかく青森県に来たのですから、
ぜひ渾身のストレートを飲んでいただきたいと思います。
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レア南部せんべい

2021年12月29日 | 
この地域の名物のひとつに「南部せんべい」があります。
日本全国、せんべいといったら米粉が原料。
しかしここ南部地方はヤマセという低温多湿の風が吹き込むので
かつては安定してお米が栽培できない地域でした。
そのため普段の食事は粟(あわ)と稗(ひえ)。
それに小麦や蕎麦、さらに豆やイモなども加えて
バラエティーに富んだ雑穀文化を生み出しました。
この南部せんべいもそんな食文化のひとつで原料は小麦粉です。
一般にパリッと焼いたものを食べるのですが
なかには半生、つまりレアチーズケーキならぬ
レア南部せんべいというものがあります。
それがこれ。「てんぽ」といいます。
半生ということもあり、焼きたてはまるでお餅のよう。
しかし冷めるとうどんのように次第に弾力は失われます。
つまり、この熱々ふわふわのせんべいを食べられるのは
せんべい屋さんの店頭だけ。昔はいろいろなところに
お店があったのでよく食べたものです。
さて調べてみると、このてんぽという名称には面白い由来がありました。
昔のお金である天保銭つまり天保時代の銅銭のことを略して「てんぽ」といいました。
天保銭の貨幣価値は100文とされていましたが、
質が悪く、実際は80文として流通していたそうです。
そんなことから実際よりも足りないものを「てんぽ」と呼んだそうです。
つまり、この食べるてんぽせんべいも普通よりも焼き方が足りないので
「てんぽ」と呼んだといわれています。
しかし飢饉などの際の非常食にも用いられた大切な食べ物だったといいます。
探すと今でも手に入ります。また今は電子レンジがあるので
冷えてもすぐふわふわに戻せます。見つけたらぜひ食べてみてください。
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ものすごいやつ

2021年12月08日 | 
この深紅色のリンゴは「千雪」(ちゆき)といいます。
2008年に品種登録された青森県生まれで、あまり大きくありません。
特徴は肌にある星のような斑点。正式には「果点」(かてん)といいます。
果点は幼果の時に生えてた毛や気孔が変化したものらしく
品種によって大きさや密度が異なるため、見分ける目安にもなっています。
千雪という名も果点がまるで雪が降っているように見えるから名付けられました。
またモモやナシにもあるとのこと。ナシは分かりますが
モモのイメージがわきません。夏になったら確認したいと思います。
さてこの千雪、食べてみると酸味はほぼなく、甘さだけを感じます。
個人的には酸味がないので、ちょっと首を傾げてしまう味ですが
調べてみて納得。そもそも加工用として誕生したようです。
でも馬鹿にしてはいけません。なんと、その優れた加工特性から
この千雪は世界的に有名な科学雑誌「nature」で紹介されています。
その特性とは皮を向いても褐変しないこと。赤くならないのです。
これはジュースなどに加工する際にとても便利です。
現在、千雪のゲノム分析から褐変に関する遺伝子を探っているということですから
青森県の試験場もなかなかやるもんです。
冬の青森はリンゴでいっぱい。
食べたことのない品種を探すのは面白いものです。
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