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2014年8月に読んだ本

2014年09月01日 23時54分41秒 | 本と雑誌
2014年8月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1878ページ
ナイス数:89ナイス

プロ野球向上委員会 (新書y)プロ野球向上委員会 (新書y)感想
雑談。ふたりの頭の中にオリックスというチームは存在していない模様(佐藤達の名前は出たけどw)(☆☆)
読了日:8月1日 著者:野村弘樹,仁志敏久
教場教場感想
『傍聞き』よりは面白く読めた。連作短編という形式をうまく利用した印象。ただそれ以上の何かがあるとも感じない。エンターテイメントとしては、それで十分とも言えるわけだが。(☆☆☆☆)
読了日:8月12日 著者:長岡弘樹
櫛挽道守櫛挽道守感想
木内昇は6冊目(小説は5冊目)になるが、その中ではもうひとつに感じた。キャラクターの考え方が江戸末期というより明治中期とかそんな感じがしたこと。主人公含めどのキャラクターも自分のことしか考えてないように見えたこと。職人の技の描写が物足りないことや、時代の出来事と無理に絡ませようとし過ぎている印象を受けたことなどもその理由だ。主人公の視点の使い方の巧みさはさすがなんだけどね。(☆☆☆☆☆)
読了日:8月20日 著者:木内昇
男子の貞操: 僕らの性は、僕らが語る (ちくま新書 1067)男子の貞操: 僕らの性は、僕らが語る (ちくま新書 1067)感想
タイトルが「男子の貞操」だけにツッコんだら負けかなって思ったが・・・。現状認識はそう問題ないのだが、一足飛びの結論という印象。きれい事が並んだ道徳の教科書で世界が良くならないのと同じように、ここに描かれた理想論は著者のマスターベーションにも感じられ、読むのが苦痛だったところもあった。私が、副題の「僕ら」に含まれていないから尚更なんだろうけど。(☆☆☆)
読了日:8月22日 著者:坂爪真吾
雨の降る日は学校に行かない雨の降る日は学校に行かない感想
正直、食傷。「特別」でないと物語にならないとしても、もっと「普通」の子を描いてみせてよ。視点を替えた「プリーツ・カースト」は主人公の内面が描けてないのが残念。「死にたいノート」「放課後のピント合わせ」が印象に残る程度。学園ものとしての上手さはあるんだけど、物足りなさの方が勝る感じかな。(☆☆☆☆)
読了日:8月22日 著者:相沢沙呼
美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫)感想
シリーズ完結直前ということで、いろいろと事態は良い方向に進んでいる。これまで積み上げたものがあるからこその予定調和。最終巻を読むのが楽しみだ。(☆☆☆☆☆☆)
読了日:8月29日 著者:高田郁
歴史人口学で読む江戸日本 (歴史文化ライブラリー)歴史人口学で読む江戸日本 (歴史文化ライブラリー)感想
非常に面白かった。ある程度の予備知識はあったが、イベント・ヒステリー分析や中央日本・東北日本・西南日本という地域差の話は興味深かった。気候変動と世帯レベルでの合理的な行動など様々な科学分野との関連性も大切だとよく分かった。現在の日本の少子化との関連はともかく、江戸時代の日本の姿を知るためには最も重要な研究分野だと感じる。(☆☆☆☆☆☆☆)
読了日:8月30日 著者:浜野潔

読書メーター

7冊。「2014の夏、艦これの夏」って感じで本を読む時間があまり取れず。

小説は『美雪晴れ』を別としてもうひとつコレというものはなし。

印象に残ったのは、評価は異なるが『男子の貞操』『歴史人口学で読む江戸日本』の二冊。

『男子の貞操』は性機能ケアサービスを行う団体の代表が著者。「性の公共」を掲げ、様々な活動をしている。性風俗の現場・現実に対する理解、これまでタブーとして語られなかった性の問題をはっきり語る姿勢などは共感・支持できる。
感想でも書いたように、この本に書かれているのはその前提から一足飛びに掲げられた理想だ。現実の活動は理想通りには行かないので、あえて理想を掲げるということは正しい。ただそれによって、この本は道徳の教科書のようなものになってしまった。
何事でもそうだが、現実から理想への過程をどう言葉で描いていくのか。

で、ラブコメなどを通して見る男性が女性を(あるいは女性に)求める視線。フィクションにおいてヒロインを主人公と対等のパートナーとして描くことはまれで、ほとんどは母親的な存在として描かれている。こうした母親像は明治中期頃から生まれた「良妻賢母」思想によって形作られたと思われる。この思想は女性の社会参画のひとつの手法として広まったものだが、それが今では女性の負担になっている。
『男子の貞操』の中でも女性を対等のパートナーとして考え、それを前提としたセックスや性風俗のあり方を希求しているが、理想論にしか見えてこない。

『歴史人口学で読む江戸日本』はその名の通り歴史人口学による江戸時代の研究成果が描かれている。歴史人口学は単に人口の推移を求めるだけでなく、人々がどう生まれ、どう死ぬか、つまりはどう生きたかを知ろうとする学問だ。
特に出産に関する行動様式が環境にいかに左右されるのかは興味深かった。例えば、中央日本の西条村(岐阜県)の初婚年齢は、満年齢で男性27歳、女性21歳程度。現在の日本の状況からすれば早いが、早婚とまでは言えない年齢だ。一方、東北日本の仁井田村(福島県)では男性18歳、女性13歳と明らかな早婚で、特に記録が残る最初の18世紀中期はより若かった。
その理由としてこれまで「後進的」だったからとされてきたが、本書によると江戸期に気候が寒冷化し、その被害を最も受けた東北日本で「世帯内生産年齢人口比率」を安定化し、生き抜くために合理化された行動だったとしている。

江戸時代は人口的には「停滞」していた(実際は地域ごとのばらつきなどあって停滞とは一概に言えないが)。その状況を打破し、人口増へと繋がったのは開国による貿易の促進だった。経済的なパイが大きくなると人口増へ繋がる。当たり前と言えば当たり前のことだ。
現代日本の少子化対策で最も効果的なのはかなりの好景気だろうが、誰もが恩恵を得られるほどの好景気が訪れるとはもはや考えにくい。
そういった少子化対策という視点でなく、人の生き方を考えるという意味でも歴史人口学から学べることはあるように感じる。




奇天の本棚 - 2014年08月 (13作品)
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ここに挙げてはいないが、『ああっ女神さまっ』を最終巻まで。何巻から読んでなかったのか記憶が曖昧で、再読してもよく分からず(汗。たぶん33巻以降だと思うのだが。

感想も書くつもりだが、なかなかまとまらなくて棚上げになっている。機会があれば……。

野球マンガでは『ラストイニング』『おれはキャプテン』が完結。『ラストイニング』は妥当な終わり方。『おれはキャプテン』はちょっと書き手が飽きてきたって感じ。どちらも野球マンガらしくて面白かった。




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2 コメント

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丁度似たことを(契機は違いますが)考えてました。 (名無し)
2014-09-03 23:56:32
ラブコメを男性作家と女性作家のどちらが描いてるか、なんかでも出る違い(どっちも他者に仮託するもの)とか。

フェミニズムとかそっちにまで踏み込むとよりレイヤー化された定義を持ち出す必要がありますが、理想としての女性像、というのは社会にコーディングされてる感がありますね。
ネタとして語られる程度にはもう内々で増幅されてしまって、男女どちらのイメージも制御できませんし。

対等の……と言っても、(未読ながら)ある前提の上に構築された意識の仮定する「平等」になるんだろうなと。
で、これは偶に持ち出される「フェミニストを自称する人間ほど女性を軽視している」に繋がりかねない気もします。
意識をどう用いるか、というだけかもしれませんが。

絡新婦の理にも同じような問題を描いてたなあ、と、ふと最近の再読から思い出したり。
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先日読んだ新聞のお悩み相談で、彼女いない歴=年... (奇天)
2014-09-05 00:23:24
ただ、コミュニケーション、特に恋愛では経験値を稼いでレベルを上げ、レベルを上げることによってスキルが身に付くように思います。日本では女子は分かりませんが、男子は初心者向けの狩場が限られている上、そうしたノウハウの情報が不足していると思います。

家族構成や周囲の環境、また容姿に恵まれているなどの好条件があれば、経験値上げも容易ですが、不人気ジョブは苦労するわけですw
『男子の貞操』でも、性的なことに目覚める年齢から実際に交際・結婚する年齢までのタイムラグがあり、男性の場合性風俗・産業やコミック・TV・週刊誌などの各種情報に踊らされ、正しい女性との関係を築けなくなっているという指摘がありました。

恋愛における正しい経験値稼ぎをやらないまま、年齢に見合わない低い恋愛レベルが多数のロリコンを生み出しているようにも思います。
最初の相談の回答であれば、振られても振られてもリアルでどんどん経験を積むことだけが正解なのかなと思います。少なくとも経験値をわずかでも稼がせてくれるフィクションは、非常に少ないのが今の日本の現状だと感じますし。

性におおらかだった日本は、明治期に欧米の価値観が導入されると180度反転し性に抑圧的になりました。それでもキリスト教的倫理観までは取り入れられなかったので、抑圧的な面とおおらかな面が混在したまま現在に至ります。世界で突出したHENTAIの国ですしねーw
それがいろいろなところで歪みとして悪影響を与えているとも思いますが。
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