環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「ESDの10年」の最終年2014年に向けて、6年前の私の懸念が、今明らかに

2013-06-12 11:50:09 | 持続可能な開発・社会/バックキャスト
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「ESDの10年」の最終年2014年まで残すところ1年足らずとなりました。国内外の経済的な激変の中で突然、「ESDの10年」と言われても何のことやらわからない方が多いかもしれません。

 「ESDの10年」とは「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development)の10年」のことで、2002年に日本が国際社会に向けて提案し、採択されたプロジェクトです。私は2007年9月27日のブログ「「持続可能な開発」の概念⑤ 日本が国連に提案した「持続可能な開発のための教育(ESD)」の行く末は?」で、とりあげ、次のように書きました。

XXXXX
 1992年のリオの地球サミットから10年後の2002年に、南アフリカのヨハネスブルクで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD。環境・開発サミット)」で、日本は「持続可能な開発のための教育(ESD)」を提案しました。この提案は採択され、2005年から2014年までの10年間、国連が中心となって推進されることになっています。

 持続可能性という概念は、環境だけでなく、貧困、人口、健康、食料の確保、民主主義、人権、平和、文化的多様性などを含む広範囲な問題を含む概念です。はたして日本は、この概念を十分理解して自ら提案した「持続可能な開発のための教育」の成果を上げることができるでしょうか。大いに疑問があります。XXXXX


 私のこの懸念に対する回答が、図らずもおよそ1ヶ月前(2013年5月15日)の参院予算委員会で明らかになりました。質問に立った谷合正明委員(公明党)と安倍総理大臣との質疑応答からです。


2013年5月15日 参議院予算委員会

谷合(たにあい)正明(まさあき)議員(公明党)の総理への質問
 公明党の谷合正明です。総理、連日の集中審議大変お疲れ様です。

 私もいただきました10分でですね、まず、質問させていただきますのは、これまでですね、わが国が国際社会でイニシアチブを発揮してまいりました「ESDの取り組み」、また「人間の安全保障の取り組み」について伺いたいと思います。

 来年の11月にですね、名古屋、岡山市におきまして、「ESD(国連持続可能な開発のための教育)の10年」が最終年を迎えることを受けまして、ESDに関するユネスコ世界会議が開催されます。「ESDの10年」というのは、2002年ヨハネスブルグ・サミットにおきまして当時の小泉総理が提案したもので、持続可能な開発のために、何と言いましても教育がきわめて重要であるというものであります。 で実は、岡山の京山地区では、1人の100歩より、100人の1歩を合い言葉に、公民館を拠点とした地域密着型の環境教育活動などが展開されています。また、被災地でも、東日本大震災の経験や教訓をESD推進に生かす試みもあります。

 このポストESDをにらみましてですね、日本が独自の取り組みというのを積極的に、今後、国際社会にアピールする必要もあると考えています。

 しかしですね、そうした一部自治体で積極的に行われているんですが、「ESDという言葉」自体がほとんど国民に浸透していないというのが実情であります。わが国がサミットにおいてこのESDを提案した時に、安倍総理は当時官房副長官として実際に現地に行かれて、このESDの実現に尽力されたというふうに承知をしております。

 そこで、質問いたします。
 来年のESD世界会議におきまして、名古屋、また岡山会合におきましては関係閣僚の出席を要請するとともに、総理のリーダーシップのもと、広報、啓発等、国民の関心を高めるなど、これまで以上に政府一丸の取り組みをすべきであると考えておりますが、総理の同会議成功に向けた決意を伺いたいと思います。


安倍総理大臣の答弁
 今、委員が、谷合委員がご指摘になったように、確かに2002年、ヨハネスブルグ・サミットに私もですね、同行しておりまして、「EDSの10年」という提案を会場で聞いておりました。

 そのときにはですね、確かに報道もされたわけでございますが、残念ながら現在では認識が高いとは言えない状況を、残念なことだと思います。

 「持続可能な開発のための教育の10年」はわが国が提唱して、国連総会決議が採択されたものでありますが、その最終年となる来年わが国で開催される名古屋市、岡山市で開催される世界会議に向けて今後とも引き続き政府をあげて、周知・普及活動にしっかりと取り組んでいく考えでございます。

 来年の世界会議ではこの10年間を総括をし、その先の取り組みの進め方について議論を行う予定でございます。会議を主催するわが国として指導的な役割を果たせるように、関係大臣の出席も含め、しっかりとした対応をしてまいります。


谷合委員の答弁
 動きをですね、ぜひ加速化していただきたいと思います。

 人間の安全保障について伺います。

               以下 省略


 経済成長を力強く語り、総理就任後海外歴訪を精力的にこなしてきた安倍総理の答は、一転してこの件では、私の6年前の想定どおり、紋切り型で期待できないものでした。テレビに映し出された安倍総理は答弁書を読みながらの答弁でした。来年11月に名古屋と岡山で開催されるという「EDS世界会議」では、日本からの報告よりも海外からの報告や提案に期待せざるを得ません。

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懸念される、今年6月に開催予定の国連の「持続可能な開発会議(リオ+20)」(2012-01-01)


名古屋市の関連HP
名古屋市:持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議の開催(最終更新日:2013年6月5日)

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