環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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原発は持続可能な社会の電源としてふさわしいか  CO2削減効果はない「原発」

2012-08-12 12:20:24 | 原発/エネルギー/資源
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11 CO2削減効果はない「原発」  (2007年4月22日

 4月10日のブログ「1 まずは、皆さんへの質問」 に掲げた「21世紀の電源としての原発の論点」で8つの論点をあげましたが、今日はそのうちの一つ「環境にやさしいか」について検証します。具体的には原発にCO2削減効果があるかどうかです。

★原発にはCO2削減効果はまったくない

 まず、私がはっきり申し上げておきたいことは、「原発は発電時にCO2を排出しない発電装置」ではありますが、原子力推進者が主張するように、「CO2の排出削減装置」ではありませんので、「原発にはCO2を削減する効果はまったくない」ということです。

 次の図をご覧ください。この記事は「原発は発電時にCO2を排出しない発電装置」であると言っているにすぎません。(図11‐1)
 

 原発とCO2の削減に関する私の主張は次のとおりです。(図11‐2)


★あえて、原発のCO2削減効果を主張したいのなら……

 原発自体にCO2削減効果がないにもかかわらず、それでもCO2の削減に原発が有効であることをあえて主張したいのであれば、原発がつくりだす膨大な電力を生み出すために必要な化石燃料の使用を、原発の運転開始と同時に中止することです。このような措置をとれば、化石燃料は原発により置き換えられたことになりますので、原発の設置によって「CO2の排出量は削減された」とみなしてもよいでしょう。

 こうすることによって、CO2の削減は可能になるでしょうが、同時に私たちは、現在十分に解決できていない原発特有のマイナス面(安全性、核廃棄物、核拡散、労働者被曝、廃炉、核燃サイクルなどの放射線がかかわる問題や温排水などの難問)とそれに対処するための「膨大なコスト」をさらに抱え込むことになります。そして、事故が起きた場合には、さらに……

 しかし、実際には原発をつくるだけで、化石燃料の削減はなされていないようです。これではCO2は削減できません。次の図をご覧ください。(図11‐3)


 1990年4月に運転を開始した柏崎刈羽原発5号機から、97年7月運転開始の玄海4号機まで、15基の原発が90年代に新設され、稼働してきましたが、この間に日本のCO2排出量は10%強も増加しています。この10年間に石油、水力、地熱、新エネルギー、再生可能エネルギーの供給量はまったく同じです。変化があるのは、石炭と天然ガスと原発の増で、総エネルギー供給量は増えています。

 そして、この間に原発は15基増えており、CO2排出量は1億トン以上(10.1%)増えています。このことは、原発と化石燃料との置き換えがまったくなされていないことをはっきり示しています。

 なお、2006年末までに原発はさらに3基増え、1990年から18基が稼働しているにもかかわらず、CO2の排出量も90年代に比べてさらに増えています。

 逆に、次の記事は「必要な電力の供給量を維持するために、停止した原発が化石燃料を燃やす火力発電で置き換えられた」という趣旨の記事内容となっています。ですから、私の推測通りの結果が出ているのです。(図11‐4)



  以上の理解は、次の図からも支持されるでしょう。(図11‐5)

 さて、もう一度、「原発はCO2の削減に有効か」を皆さんにお尋ねします。次の2つの相反する意見を私のコメント抜きで紹介します。前者は1990年当時の電気事業連合会会長・那須翔さんの発言です。後者は1991年の東京大学教授・鈴木篤之さんの発言で、核廃棄物の専門家であられる鈴木篤之さんは現在、原子力安全委員会の委員長を務めておられます。みなさんで考えてみてください。(図11‐6および7)









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