環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

2つの大問題――「少子・高齢化問題」と「環境問題」、日本社会に求められていることは何か?

2011-01-02 08:36:55 | 持続可能な開発・社会/バックキャスト
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人類の歴史はつねに「経済規模の拡大」の歴史でした。 「経済発展(成長)」は、自由主義者や新自由主義者、保守主義者、民族主義者、ファシスト、ナチ、レーニン主義者、スターリン主義者など、イデオロギーにかかわりなく「共通認識」として共有していた考え方で、その必要性については、イデオロギー間にまったく意見の相違がありませんでした。つまり、20世紀には、「経済発展(成長)」は疑問の余地がないほど当然視されていたのです。

しかし、これら2つの大問題、「少子・高齢化問題」と「環境問題」はともに、この「経済発展(成長)」という考え方と無条件に同調するものではありません。

まず、米国を除くすべての先進工業国が共通にかかえる「少子・高齢化問題」から派生する問題のなかでは、「年金制度の持続性」が緊急の課題です。年金はいうまでもなく、生産活動から離れた世代への支払いですから、経済的にはコストでこそあれ、発展に寄与する要因ではありません。
 
つぎに、「環境問題」。この解決のために、経済規模の「拡大」から「適正化」への大転換と、現在の「持続不可能な社会」から21世紀の「持続可能な社会」への大転換が必要であることは、すでに昨日のブログで述べたとおりです。

サミット参加8カ国(G8)のなかで、これら2つの大問題の影響をいちばん強く受けるのは、私たちの国、日本であることは明らかです。
 
なぜなら、日本は先進工業国のなかで少子・高齢化の速度がいちばん速い国であるにもかかわらず、対応がたいへん遅い国だからです。そして、日本のあらゆる社会的・経済的な仕組みが経済規模の拡大を前提につくられ21世紀になっても、国の政策は経済拡大ばかりを考え、表面的にはさまざまな分野で変化しているように見えても、基本的な部分にほとんど抜本的な変化が見られないからです。

いま、日本に求められているのは、「行き詰まった年金制度」を21世紀の社会の変化に耐えられる「持続可能な年金制度」につくりかえること、そして世界に先駆けて21世紀最大の問題である「資源・エネルギー・環境問題」の解決に道筋をつけ、21世紀前半にめざすべき日本独自の「持続可能な社会」をつくる勇気と強い意志、そしてすばやい行動力です。


このような視点から今年も、国際的に、そして日本社会に起こる様々な事象について、もう一つの視点を提供していきたいと考えています。   
 

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1 コメント

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Unknown (isoroku-hitoshi)
2011-01-03 17:53:49
「私たちがいまなすべきことは、経済拡大を目的とした古い考えや社会制度をそのままにして『身近なところ(こと)から始める』『できるところ(こと)から始める』ではなく、『現状をよく知ること』です」という小澤先生の主張に大いに共感しました。
ドラッカー著「新しい現実」ダイヤモンド社1989年刊の9章「グローバル経済と地球環境問題」を読むと、2011年の現状を知るために必要な鋭い視点が記述されていました。目の鱗がとれるような叙述です。一部を引用します。
●今日の世界経済の特徴およびその提起している問題と機会とは、次のようなものである。
(項目は8項目あり、ポイントは次の通り)
(1)1970年代以降国際経済からグローバル経済へ変化した。
(2)グローバル経済を動かすものは主として資本の移動である。
(3)競争力の基礎となる決定的要因は伝統的な生産要素ではなくマネジメントである。
(4)企業活動の目標は利益の最大化から市場の最大化に変わる(今後は貿易が投資に従う)
(5)支配的な経済単位が主権国家だけの時代から四つの単位(主権国家・経済ブロック・貨幣信用投資のグローバル経済・グローバル企業)の相互関連、依存関係に変わった(支配関係にはない)。
(6)経済政策は自由貿易主義や保護主義から経済ブロック間の相互主義になる。
(7)新しい現実として、地球環境問題が発生
した。
・資本や情報に国境がない以上に、大氣の保全や森林の保護など重要な環境問題は主権国家の法や行動によってのみでは対処できない。
・環境問題は国家間の対立的な問題としても対処できない。
・共同のグローバルな政策がグローバルに実施されることが必要である。
(8)グローバル経済はすでに現実なのに、必要な仕組みを持たず、グローバルな法を必要としている。




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