環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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電磁波対策の最も進んだ国① VDT作業の世界標準

2007-06-13 05:35:23 | IT(情報技術)


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電磁波というのは光や電波の仲間で、レントゲン撮影に使われるX線は、なかでもエネルギーの高いものです。X線ががんを誘発したり遺伝子を損傷する可能性のあることは知られていますが、日常生活で大量のX線を浴びることは、まずありません。

しかし、ずっとエネルギーの低い電波は、さまざまな電子機器から発せられて、そこら中を飛び回っています。こんなに大量の電波にさらされて、健康に害はないのだろうかと懸念する声は、かねてよりありました。
 
電磁波対策が世界で最も進んでいる国は、おそらくスウェーデンでしょう。1992年、カロリンスカ研究所は、電力会社の全面的協力を得て、電磁波の人体への影響についての大規模な疫学的調査を行ないました。過去25年間のデータを調べ、サンプル数は25万世帯にものぼりました。その結果、電磁波が子どもの白血病とかかわりがあることがわかりました。 

スウェーデン政府はこの成果を踏まえ、高圧の送電線を学校などの生活ゾーンから引き離したり、VDT(テレビの画面やコンピュータのディスプレイのような端末機)からの電磁波の規制を世界に先駆けて行ないました。
  
VDTの作業者が、眼の疲れや視力低下、頭痛、吐き気などの症状を訴えることは、いまではよく知られています。これを防止するためにはどうしたらよいのか、具体的にはどのくらい休憩時間が必要なのかの基準策定のもとになったデータの多くは、北欧や欧米で蓄積されたものでした。スウェーデンの労働組合TCOが決めたVDTの作業基準は、いまでは世界標準となっていることを、ご存じの方がおられるかもしれません。




このシステムは1992年に開始されました。上のラベルは初期の段階(1995年)のもので、現在の最新のラベルは2006年のものがあります。このラベルにご関心のある方は次のウエブサイトが参考になるでしょう。
http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/world/sweden2.html
http://www.tcodevelopment.com/index.html

この例にかぎらずスウェーデンでは、「疫学」(人間集団を観察することで得られるデータから、原因と病気の因果関係を定量的に明らかにする方法論)と呼ばれる学問が環境分野で応用され、その成果が行政担当部局と労働組合、企業など利害を異にする組織の間で共有され、行政的な対応に活かされています。このことは後日で紹介する「アスベスト問題」で有効性を発揮します。



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