環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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電磁波対策の最も進んだ国② 携帯電話

2007-06-14 06:58:45 | IT(情報技術)


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携帯電話はスウェーデンでもたいへんポピュラーです。携帯電話からの電磁波については、EUの勧告があります。スウェーデンで使用されている携帯電話のSAR値(比吸収率。簡単にいえば、携帯電話と直接接触する人間の側頭部が吸収する電磁波のエネルギー量)は0.1~1.7ワット/キログラムの範囲にあります。無線電話のSAR値はすべて0.1ワット/キログラム以下です。
 
しかし、いま、スウェーデンの市民や研究者が懸念しているのは、携帯電話から出る電磁波よりも、国内の通信状態を整備するために建てられる多くのアンテナからのさらに強い電磁波です。

日本でも1999年に、WHOの基準値を超えないこと、という民間のガイドラインが設けられ、2002年からはこの基準値が法制化されています。

しかし、日本で、電磁波についてまず問題になったのは、人の健康への影響ではなくて、漏洩電磁波による電子機器の誤作動の問題でした。日本が「技術立国」を掲げ、科学技術をもって世界に貢献しようとするとき、開発した機器を使うのは、多くの場合、私たち人間であるという事実をはっきり認識する必要があります。

ここで、話を一気に20年前に戻してみましょう。技術評論家の剣持一巳さんが1986年に(株)日本評論社から出された著書『ハイテク災害』の「第三章:電磁波にさらされる人体」で、当時の日本のこの問題を詳しく論述しておられます。
     
●「日本はアメリカに次ぐ工業国であり、高度情報化社会を唱えているにもかかわらず、電磁波の医学的な利用の研究がある程度で、労働災害や環境汚染についての研究は皆無に等しい。最近流行のOA化されたビル(インテリジェント・ビル)では、職場そのものが漏洩電磁波で囲まれることになる。それに都会では、ラジオやテレビ放送、各種の通信システム、レーダーからの電磁波が加わる。事務労働者はこうして電磁波的な環境で日常、働くことになる。

●日本では、電離作用を持つガンマ線、X線などの電磁波は、労働安全衛生法にもとづく電離放射線障害防止規則、放射線障害防止法などによって厳しい規制が設けられている。ところが、電磁波のうち非電離放射線であるラジオ波とマイクロ波について、労働災害、環境汚染の立場から被曝許容量や環境基準などを法的に規制する措置はまったくとられていない

●日本の電磁波に対するこのような状況は、国際的に見るとまったく異常なことであり、孤立しているのである。すでに、世界保健機構(WHO)は1981年に『ラジオ波とマイクロ波の環境保健基準(以下、環境保健基準と略記)』を定めて、加盟各国に勧告している。

●WHOの『環境保健基準』は、7年間の準備を経て、加盟各国の意見を聞いたうえでまとめられており、国際的に権威ある基準になっているのである。だが、日本では、WHOの窓口である厚生省の一部を除いては、この『環境保健基準』の存在すら知られていない。

●環境庁にたずねても、労働省労働衛生課にたずねても、その存在すら知らなかった。しかし、ここで犠牲になるのは一般の人びとの健康であり、子孫への影響である。このまま高度情報化社会が進めば、その社会の電磁波的な環境は、人びとを巨大な電子レンジの中に閉じ込めてゆっくり焼きあげるようなものになっていくであろう。

剣持さんが書いたこの状況は、20年後の今、どのくらい改善されているのでしょうか。ここにはまだ、携帯電話は登場していません。剣持さんの「このまま高度情報化社会が進めば、その社会の電磁波的な環境は、人びとを巨大な電子レンジの中に閉じ込めてゆっくり焼きあげるようなものになっていくであろう」という記述が妙に気になっていました。

2002年6月3日の朝日新聞に次のような記事が出ていました。記事のリード部分には「通勤客は日々、強い電磁波にさらされている――。列車内では多くの乗客が持つ携帯電話の電磁波が重なって反射し合い、その電磁波密度は国際的な安全基準を大幅に超えうることが、東北大の研究でわかった」とあります。続報はあったのでしょうか。





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