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私が考える環境問題とは、人間活動(=経済活動、資源とエネルギーの利用)の拡大による「生態系の劣化」、「人間の生存条件の劣化」および「企業の生産条件の劣化」です。
「生態系の劣化」および「人間の生存条件の劣化」については、すでにお話しましたので、今日は、第3番目の劣化「企業の生産条件の劣化」 、つまり、経済活動の基盤である「生産条件の劣化」について勉強します。
図に示したように、物の生産には、生産工程に「原料」、「エネルギー」、「水」など資源の供給(インプット) が必要です。一方、生産工程からは、製品と共に必ず、「廃棄物(固体廃棄物、排ガスおよび排水)」および「廃熱」が排出(アウトプット)されます。
これらの条件のいずれか一つが、“量的あるいは質的”に有為に満たされなくなれば、21世紀の生産活動が持続できなくなることは疑う余地もありません。この図で重要なことは、例えば、エネルギーの供給が十分であっても、その他の条件が一つでも有為に満たされなくなれば、生産活動ができなくなるという事実です。ですから、「生産活動は最も少ない条件に縛られる」ということになります。
当然のことですが、生産量の増加は一般に廃棄物(固形廃棄物、排ガスおよび排水)の増加と廃熱の増加をもたらすことになりますので、「環境に配慮した持続可能な生産体系」で重要なことは原料やエネルギーの供給側よりも、むしろ排出側である廃棄物や廃熱の処理・処分のシステムが社会の中に適切に整備されているかどうかにかかっています。
生産規模の増大に伴って、固形廃棄物の処分場は工場敷地内から、国内の近接地へ、そして国内の過疎地へ、さらに国外へ、と移動して行きます。
今後、「持続可能な開発」を模索する際に、廃棄物の問題は最大の関心事でなければならなりません。廃棄物という観点から見れば、中古品の輸出は「相手国での有効利用」というプロセスを経るものの、結果的には廃棄物そのものの輸出と同じことになるといってもよいでしょう。92年5月5日に発効した「バーゼル条約」は有害廃棄物の輸出に一定の歯止めをかけると期待されています。
先進工業国から発展途上国への有害廃棄物の輸出を全面的に禁止するこの条約改正案の採択を報じた95年9月24日の日本経済新聞によれば、「国連によると、有害廃棄物は先進国を中心に世界で毎年4億トン以上生み出されている。これが処理技術の不十分な途上国に持ち込まれると環境汚染を引き起こすという懸念から、条約加盟国は昨年春、拘束力のない輸出禁止決議を採択した。正式な条約改定には欧州連合(EU)や環境保護団体が熱心な一方、日本や米国、オーストラリア、韓国、インドなどはリサイクル目的の貿易を容認するよう主張したが、大多数の条約加盟国は全面禁止を支持した」そうです。
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