環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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私の環境論11 人間の生存条件の劣化 

2007-01-21 18:21:17 | 市民連続講座:環境問題

  
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私たちの産業経済システムのもとで行われる「生産活動」「流通活動」および「消費活動」が、自然(環境)を構成している「生態系」(エコシステム)に影響を与え、その影響が、私たちが生きるために空気を吸い、水を飲み、食物をとる行動を介して、図のように、「人体への負荷」という形に収斂されます。

図の中の感染症とは、従来の感染症に加えて、エイズ、BSE、そしてノロウイルスや、SARS、鳥インフルエンザなど、戦争・温暖化・森林伐採などの「人為的な活動により生態系が破綻したところから生ずることがわかってきた感染症」のことです。

私たち人間は動物ですから、図に示したように、「ある範囲の温度、湿度、気圧、重力のもとで、光を浴び、空気を吸い、水を飲み、動・植物しか食べられない」という最も基本的な生存条件(図の黄色い部分)を逃れることは出来ません。

ですから、この事実こそ21世紀の社会である「緑の福祉国家」(生態学的に持続可能な社会)が備えるべき最も基本的な必要条件であり、これらの条件のいずれか一つが、環境の悪化により“量的あるいは質的”に有為に満たされなくなれば、21世紀の人間の生存が危ぶまれることは疑う余地もありません。

このほかに、私たちは意識してタバコを吸ったり、無意識のうちに放射線にさらされたり、電磁波の影響を受けて暮らしています。また、労働環境や住環境からも様々な物理的・化学的・心理的な影響を受けています。

最近では、低濃度の化学物質の摂取によると考えられる「化学物質過敏症」の報告が増えています。さらに、“いわゆる環境ホルモン”(内分泌攪乱物質)として知られる様々な人工化学物質が環境を経由して、ある種の貝や野生動物の奇形や生殖機能に影響を与えているとする報告がありますし、人間の生殖機能や内分泌系統に影響をおよぼしたり、ホルモンのバランスを崩すことを示唆する医学的な報告も散見されるようになって来ました。

この種の化学物質の濃度と作用の関係は、ppt(parts per trillion:1兆分の1)という単位で表されるように、極めて低濃度(しばしば50メートル・プールに目薬1滴分などと形容される)と考えられますので、生物としての人間の持続性という観点からも、この種の報告は十分注目しなければならないでしょう。

私たちの身体には生物としての「許容限度(人体の許容限度)」があるため、その許容限度を超えると、死亡から内分泌攪乱に至るまで、様々なレベルで健康の障害が出てきます。私たちが重視しなければならないのは多種類の化学物質による複合汚染です。私たちは生きるがゆえに、「環境へ人為的負荷」をかけ(環境に影響をおよぼし)、逆に、「人体への負荷」を高めています(その影響を受けています)。このような段階に、今、私たちは来てしまったのです。私は、これが「環境問題の本質」であると考えます。

ここで改めて、スウェーデンと日本の「環境政策の長期的目標」を復習しておきましょう。ここをクリックしてください。
そして、スウェーデンの環境政策の長期目標のトップに掲げられていたのが「ヒトの健康を守る」であったことを確認してください。同時に日本の環境政策も再確認しておきましょう。どちらが、現実的かは議論の余地はないでしょう。



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