外苑茶房

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失われた10 年間

2010-02-20 19:29:58 | 社会全般
なぜ日本がこの10年間で世界経済の発展から置き去りをくってしまったか。

象徴的な例を挙げれば、1996年には世界で3位であった日本の国民1人あたりGDPが、経済の無成長が続いた結果、2007年には23位にまで低下してしまったというのが厳しい現実であります。

大蔵省OBで、銀行法に関する優れた著書を残されている小山嘉昭さんという方がいらっしゃいます。

小山さんが、この経済の長期停滞の理由について、とても興味深い分析をされていたので、皆様にご紹介します。

(1) 輸出産業主導型経済では、海外市場の開拓のため、海外の適地に工場を建設するなどの投資をしていくことになるので、産業自体は稼いでも、その収益のかなりの部分が海外に出て行ってしまう。

(2) 輸出が増えても、輸入は増えなかったので、外貨が貯まり、それを日本は概ね米ドルで保有していた。そのドル資産がドル安・円高で大きく減価してしまった。

(3) 日本企業が長期化する経済停滞をリストラにより乗り切ろうとしたので、経済全体の縮小均衡を招いた。いわゆる合成の誤謬である。

(4) 規制緩和といいながら内需型産業の振興、特にサービス産業の育成に失敗すると共に、効率化の起爆剤となる農業などの産業構造を内から改造できなかった。

(5) 経済大国といわれながら、創造性に行き詰まり、日本が世界を主導するような大型の新商品を世に送り出すことができなかった。

(6) 労働人口の3分の1が非正規社員という状況となった結果、個人消費・購買力の創出に対して大きくマイナスに働いた

(7) 財政再建に失敗した結果、今後の重税の可能性や社会保障への不安から、現役世代の生活態度が縮み志向になった。

どれも、実に説得力のあるご指摘だと思います。

それでは、これからどうするのか。
上記7項目をみても、問題点は多岐にわたっています。

決して一発で効果のあがるような特効薬はありませんので、上記で課題が明らかとなった分野を対象にして、様々な施策を着実に、かつタイムリーに講じていかなければなりません。
そして、何よりも大切なことは、民間の創造力を最大限に活かすための大胆な規制改革を行ない、厳しい国際競争に進んで身を投じることです。

そんな待った無しの厳しい状況で、国会は、いったい何をやっているのでしょうか。

自民党の谷垣さんが指摘する、鳩山さんの言動が健全な納税者意識に与える悪影響は、その点だけを取り上げれば至極もっともです。
しかし、二世・三世議員の多い自民党でも、政治団体を利用した相続税の節税策が幅広く利用されていたと報じられていますから、説得力はないですね。

国会には、もっと政策論争を期待したいです。
「事件」好きの報道機関の責任も極めて重いです。

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6 Comments

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戦略なき成長戦略 (MT)
2010-02-21 09:34:03
あまり報道されていませんが民主党は、国内産業充実、新産業創造、雇用創出にかかわる予算を事業仕分けで切りました!

 現在、私の所属するベンチャー学会では、手を変え品を変え、政府・民主党にアプローチしています。
不肖MTも民主党に2回乱入しましたが、
「国内の新規産業育成が雇用創出、消費創出につながる」と話しても、「こういう話がピンと来る(経済がわかる)民主党議員は少ない」という答えでした。「中小企業、ベンチャー対策は票につながらない」とも。
先日、ベンチャー学会初代会長のK大先生が鳩山首相に直談判し、ようやく新産業創出の大切さが少しわかったようで、予算復活するようです………。
鳩山首相、菅財相は理科系出身で新技術に理解があると期待したのですが、技術と経済成長の関連には気づいていなかったようです。
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エコ意識 (寒椿)
2010-02-21 16:09:35
こんにちは。素人ながら、皮肉なことに広く行き渡ったエコ意識が個人消費が減ったことに影響しているのかな、って思います。今持っているものを長く大事に使う・リサイクルショップやフリーマーケットを利用する・若い世代が車を買わなくなったなど。雑誌にはいつも「モノを減らしてスッキリ暮らす」という特集が。少しずつでも各家庭で、となれば大きいですね。これは地球にとって悪いことではないので発想をかえて経済を成長させる仕組みをモノ(車も含む)の消費に頼らないアイデアが必要ですね。
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付け足し (寒椿)
2010-02-21 16:21:15
すみません付け加えさせて下さい。恐らく今後景気が良くなって失業率が改善してお給料が増えても、モノの消費は増えないような気がします。堅実に、スッキリ暮らし、将来に備えたいという気分は簡単にはなくならないかも…。学生の生活も昔と全然変わったようですね。こちらが恥ずかしくなってしまいそうなほどしっかりしています…。
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合成の誤謬 (dawase86)
2010-02-21 17:57:32
こんばんは。
今の日本は「合成の誤謬」が大きな問題だと
思います。日本人の真面目な気質が尚、この
合成の誤謬を強化してしまっているように
思えてなりません。どなたか経済学者か
社会学者か、この問題を研究して処方箋を
提示して貰えないでしょうかね。
多くの経済問題(社会問題)は解決するはず
なんですが。
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団塊の世代 (mytochigiotoko)
2010-02-22 11:49:11
さすがに団塊の世代が退職してきて
消費が下がったと思います。私は40代から50代前半は会社近くの昼食は
700円から900円でしたが、今は500円で満足しています。胃袋が小さくなりました。衣料はほとんど購入しなくても我慢できますし他人の目も気にしません。住は掃除が大変になってきたので狭いところで充分です。やはりボーナスというものがもらえない年齢になり年金も少ないのがわかってきましたので地味にいくしかありません。
テレビはさすがに地デジとかいうので購入せざるをえませんでしたが。
地方から出てきて住宅ローンで家を購入し給料&ボーナス払いというのは大変な時代になりました。
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団塊の世代-出費 (mytochigiotoko)
2010-02-22 13:14:02
一つ重要な出費を忘れていました。若い人や健康な人は気にしていないでしょうが医療費の歳を撮るごとの増大です。もし仕事から離れた後、大病を患い入院などになっては大変な費用がかかります。そのための対策、資金は考えておかなければならないでしょう。私や友人は食後は何がしかの薬は飲んでいて検査もするので結構お金がかかります。
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