酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

大分汚職は氷山の一角だ

2008-07-13 05:55:46 | Weblog
 大分県教委の汚職事件が世間の話題をさらっている。まったくとんでもない連中だ。でも、これって地方公務員や教員採用、異動でもよくある話ではないか。大分を特殊扱いするのは間違いだろう。この際、教員に限らず公務員の人事問題を徹底的に洗ってほしい。



 毎日新聞は、下記のような分析をしている。多分いくらかは当たっているのだろう。しかし、本質は射ていない。

 《現職の小学校校長や教頭、教育委員会幹部ら計5人が逮捕された大分県の教員採用汚職事件は、昇任試験でも金品のやりとりが明らかになった。県議を含めた複数の口利きルートの存在も浮上するなど、疑惑はさらに広がる様相だ。背景には、県教委の限られた職員に採用権限が集中する構造があり、他地域にも共通する問題点が見えてきた。

 「不正システムが常態化していた」。県教委参事の矢野哲郎容疑者(52)は再逮捕後、弁護士にそう語った。背景には、県教委参事の江藤勝由容疑者(52)が事件時に課長補佐として統括していた県教委義務教育課人事班に権限が集中していたことがある。

 人事班はたった5人で成績の集計から選考、採用後の配属先の起案など実務のすべてを任されていた。採用者名簿も作成し、上層部の決裁はあっても原本との照合はされない。資料は「10年保存」という内部規定に反して、毎年度末には廃棄されていた。

 不正を動機づける状況は、大分だけではない。他の九州各県でも、採用試験に関しては面接の一部を除いて、教委以外の県人事委員会や民間人は関与しない仕組みだ。試験資料も「保存1年」の自治体が多い。

 また、得点の本人開示について、文部科学省は毎日新聞の取材に「全都道府県と政令市は成績を本人に通知している」と回答しているが、実際には多くの自治体が受験者中のA~Cのランク付けだけを通知しているとみられる》


 この記事は何が駄目なのか。

 ①県教委の限られた職員に権限が集中する  
 こんなことはあり得ない。人事班は実務者であり、権限などないに等しい。権限者というなら教育長と審議官だろう。どうやら大分県教委は人事班に責任を押し付けて逃げ切る方針のようだ。

 ②参事の矢野容疑者が述べている「不正システム」とは何か。
 人事班が原案を作ることではなく、人事班に圧力を掛ける存在こそが不正の元凶である。人事班はその言いなりになっていたということではないか。

 ③教委の問題ではなく、県のシステムの問題である。
 県議や国会議員も働きかけを行っていた。おそらく、県幹部もいたはずだ。教員の世界は独特のロジックがあり、多少の不自然さは問題にならない。

 上記①②③の複合汚染が大分県教員汚職の実像だろう。

 

 この問題は、大分県特有ではない。某県では、学閥による支配がいまだに続いているとされる。有力校の校長人事は、閥に割り振られている。金が介在することもあるかもしれない。

 教員試験受験に当たっては「○○さん、××さん、▼▼さんには必ず挨拶をしておくように」などのアドバイスもある。挨拶に何を持参するかは承知していない。


 父(県中堅幹部)が娘に向かっていわく「とにかく合格してくれ。採用は何とかする」。


 大分の例では得点を操作していたとされる。ここまで悪質な例は少ない。国家公務員試験と同じく、教員試験も合格者数と採用数にはズレがある。ここにコネや情実が働く余地がある。


 公務員や教員の採用は議員の腕の見せ所だ。首長も暗躍する。この疑惑がどこまで解明されるかで、日本の将来を占うことができる。大分ともう1県ぐらいかなあ。お先は真っ暗だが、パンドラの箱が開かないとも限らない。
コメント (1)
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