酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

「優秀な弁護士を多く」となぜ言えぬ

2008-07-23 04:47:27 | Weblog
 日弁連がまたまた、変なことを言い出した。 

 《司法試験合格者を2010年までに年間3千人に増やす政府計画をめぐり、日本弁護士連合会(宮崎誠会長)が「数値目標にとらわれることなく慎重に審議し、当面の増員のペースダウンを求める」として、計画を推進する立場から方向転換する方針を固めた。近く法務省に提言する。


 日弁連は来週にも理事会を開き、提言を正式に決める予定。法務省はこの提言などをふまえて、近く省としての方向性をまとめる見通しで、司法制度改革の根本が大きく変わる可能性もある。改革に携わってきた弁護士や法曹関係者には増員計画の見直しに対し批判的な意見も多く、今後、議論を呼びそうだ》=朝日・電子版


 弁護士の質の確保が難しく、事務所で後進を育てる余裕もない。のだそうだ。法務省が次々と打ち出す「司法改革」に安易に乗っかっているからこうなる。公判前整理をはじめとする裁判拙速化にきちんと対応できない弁護士会とは何なのか。


 いま弁護士が忙しがっているのは、やたら公判間隔が短くなっているせいではないか。連日開廷でまともな弁護ができるほど優秀な人がいるとは思えない。とにかく裁判期間を短縮したい裁判長に唯々諾々と従っていて被告の防御ができるのか。


 裁判自体が高度に専門化している。医療事件などはその最たるものだ。科学技術系の民事事件にも対処し切れていない。


 弁護士を大増員して、専門化を図るべきだ。民事で金を稼ぎ、仕方なく刑事もこなす。こんな弁護士が増えていないだろうか。


 弁護士は宣伝活動が規制されている。こんなものは取っ払って、自分の売りをアピールできるようにすべきだろう。弁護士社会にも一定の競争原理を働かせる必要がある。手練手管を駆使した、口八丁手八丁の弁護士ばかりになる、などと心配することはない。弁護士は相談業務が重要だ。依頼人の訴えに真摯に耳を傾ける弁護士が支持されないわけがない。

 裁判員制度が始まれば、弁護士の重要度は格段に増す。「被告の第一印象を悪くしないように、服装にも配慮」などと真剣に論議しているのが裁判員制度だ。どんな裁判になるかおおよその見当は付く。


 しかも、3日裁判でこなしてしまおうというのだ。これに抗するには弁護士が本気でかかるしかない。年3000人の増員ぐらいでは追いつかないだろう。質の問題を心配するなら、法科大学院に乗り込んでいって鍛えればいい。司法試験に受かった後のケアにも意を尽くさねばならない。


 増員見直しが、既得権を維持しようという発想なら論外だ。日本の司法危機に立ち向かうにはどうするか。この観点で考えれば、弁護士はいくらいても多すぎることはない。


 いまの日本で日本で、法の正義は実行されているのか。正義の体現者は警察や検察に限らない。個人が正義を貫くことをサポートするのが弁護士だ。その重さをとくと考えてほしい。 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高校野球報道はメディアの夏... | トップ | 「いきなり殺人」の謎 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事