酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

高級リゾートで飢餓を論じるサミットとは

2008-07-08 06:03:39 | Weblog
 洞爺湖サミットが始まった。初日の7日はアフリカ各国首脳を招いての拡大会合が行われ、食料、教育支援などについての話し合いが行われたようだ。

 アフリカの首脳たちは、穀物への投機を規制するようかなり厳しく迫った模様だ。G8の側は「まあまあ」ととりなすのが精一杯だった。なしにろ、アメリカの穀物メジャーや投機筋はこの間の暴騰で大もうけ、ブッシュがこれを規制できるわけがない。

 最終文書は結局無難な表現でまとまるのだろう。

 アフリカ問題に限らず、サミットが現実的な対処策を打ち出せないのは、当事者たちの能力不足もさることながら、現実感覚に乏しい人の集まりになっているからだ。ホワイトハウスや首相官邸にいるだけでは何も分からない。

 時たまの視察はすべて段取りが行き届いており、いわば映画のセットみたいなものである。これで世の中が分かったように思っている連中が、世界の矛盾を感じるわけがない。アフリカ問題を話し合うなら、ダルフールの難民キャンプに1週間ぐらい缶詰になってやってもらいたいものだ。

 それなのに、である。

 福田首相夫妻主催の夕食会は「北海道、大地と海の恵み」をテーマにしたとかで、利尻産のバフンウニなど北海道の高級食材がてんこ盛りだったらしい。

 新鮮な毛ガニをミソまで丸ごと使い、完熟トマト、羊蹄山の流水で仕立てたスープ「オホーツク産毛ガニのビスク“カプチーノ”」。網走産キンキの塩焼き、白糠産子羊のローストは、美瑛のアスパラガス添えだ。ほかにも旬の食材がたっぷりで、世界のグルメたちを堪能させた。

 一体何の会合なんだ。一泊100万円以上もする高級ホテルに泊まって、山海の珍味に舌鼓。よくこれで貧困や飢餓を論議する気になれますねえ。

 警備の都合があるから、ビジネスホテルの泊まれとは言わない。食中りも怖いから、食事も吟味する必要があるのは分かる。しかし、昔の宮廷ディナーのような夕食会は適当ではない。

 こういう暮らしをしているから、社会の反応に疎くなるのだ。

 各国のトップが世間知らずなのは仕方がないとも言える。いまや、彼らを支えるスタッフや政策立案者でさえ、雇用環境や農業現場、学校の実態など何も知っていない。国の施策への反抗がおきにくい日本では、これは致命的だ。

 早くサミットが終わって、戒厳令が解除されないかな。多くの国民はそう思っているはずだ。
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