酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

職員採用の透明化はあり得るか

2008-07-20 05:05:27 | Weblog
 大分県の教員採用汚職事件に端を発した、公務員の採用や人事をめぐる不透明さが世間の怒りを買っている。金で子どもを押し込んだり、自分のポストを買ったりするのは論外だ。

 大分ほどひどくなくても、付け届けや事前の「あいさつ」は半ば常識化している。某県では臨時の教員になるに際しても、しかるべき人3~4人に手土産つきであいさつするよう「指導」されていると聞く。

 県議や国会議員秘書に合否の事前連絡をするのは業務だった。20数県で同じようなことをしていたのだから、そう考えざるを得ない。合否連絡を依頼した議員連中が、受験者の親などから金品を受け取っていた疑いがある。

 「せがれさん、受かったそうですよ。私も頑張った甲斐があります」「本当にありがとうございました。これはほんの些少ですが…」。こんな会話が交わされていないだろうか。

 議員については、誰が何人の事前連絡を受けていたかについて、過去5年ぐらいさかのぼって公表すべきだ。県や教委がやらないなら、メディアが独自で調べるしかない。徹底的に暴き出してもらいたい。

 一連の不祥事を受けて、採用試験の透明化策が論議されている。採点をインナーから外の機関に移す、答案用紙の持ち帰り、模範解答の提示、受験者への得点開示~などである。

 一歩前進だが、これは一次試験についてだけのことだ。数次の面接や論文などの審査はどうなるのか。実際に採否が決まるのは最終面接だろう。ここをどう透明化するのか。面接の採点基準を数値化するのは難しい。時々によって求めるものが変わることもあり得る。

 公務員とは若干違うが、入社試験の面接に何度か立ち会った経験がある。一次試験の点数は知らされていない。5、6人の面接担当者が採点するのだが、相互の採点は分からない(終わった後で○○はいいね、などと話し合うからバレバレだが)。
最後の役員面接を経て最終合格者が決まるわけだが、人事に聞くと一次試験の得点とはかなり違っている。

 教員や公務員も得点順に採用するというわけにはいかないだろう。一次の得点を開示し、模範解答も示すとなると、最後の方の面接で振り落とされた高得点者が「なんで私が落ちるのか」と疑問を持つことは必至だ。

 面接官に民間人を入れている県もある。教員、技官、事務官、警察官、それぞれに要求される資質は違う。民間とも違うだろう。面接基準は、試験を実施する主体の論理にも左右される。大分と埼玉では、教員に求める資質が異なる、などということもあるだろう。だが、面接を改革・透明化しないことには、不信は払拭されない。厄介なものを抱え込んだものだ。
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