酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

米メディアのオバマびいき

2008-07-29 05:03:24 | Weblog
 日本の政局は、経済の危機的状況にもかかわらず惰眠をむさぼっているようだ。閣僚の首のすげ替えぐらいで何とかなると考えているとしたら、福田首相の危機感の乏しさは救い難い。

 
 というわけで?、アメリカ大統領選である。メディアは相変わらずオバマ一色に見える。この国のメディアは政治的中立など必ずしも求められていない。そこが面白くもあり、不安な点でもある。


 日本の新聞はこの状況を、半ばおずおずと伝える。読売などはできるだけ両者の記事を載せるように気を配っているようにも見える(扱いはだいぶ違うが…)。


 米メディアが総じてオバマびいきであるとは、日本メディアの一致した見解だ。「共同」は次のように報じる。

  
 《米大統領選の行方を追う主要メディアが、共和党指名候補となるマケイン上院議員よりも民主党のオバマ上院議員に大きな関心を寄せ、共和党側から「偏向している」との不満が高まっている。一方で注目の高さはオバマ氏にとって、もろ刃の剣でもある。

 主要テレビ番組の内容を調査しているアンドルー・ティンダル氏によると、両党指名候補の確定後1カ月間に、3大ネットワークのニュースがオバマ氏に計114分を割いたのに対し、マケイン氏は半分以下の計48分にすぎなかった。

 オバマ氏の欧州・中東歴訪には、主要テレビのメーンキャスターがそろって同行し、新聞各社もこぞってベテラン記者を派遣。一方、3月にマケイン氏が欧州・中東を訪問した際の同行記者はわずかで、メディアの“オバマびいき”が如実に表れている(共同)》


 しかし、こうした厚遇がポイントに結びついているかというと、そうでもなさそうだ。というか、そうではないと書くことでバランスを取る。ここが我がジャーナリズムの真骨頂だ。米メディアもそれで逃げているのかもしれない。以下は「毎日」である。


 《実際にはその効果はまだ表れていない。24日の米紙ウォールストリート・ジャーナル調査では、支持率はオバマ氏が47%でマケイン氏(41%)をリードしているが、「最高司令官の適格者」はマケイン氏53%に対しオバマ氏25%、「リスクを伴う候補」はマケイン氏35%に対しオバマ氏は55%で、オバマ氏は弱点を克服できていない。各種世論調査では支持率もオバマ氏のリードは5ポイント前後と小差でマケイン氏が急追している=毎日 28日 東京朝刊》


 メディアの後押しは世論調査に反映していない。だから問題ない、と読める。しかし、NYタイムスがマケインの論文掲載を拒否したのは明らかに行きすぎだ。拒否の理由は必ずしも明確ではないが「不完全な論文だから駄目だ」と言っているようだ。これはおかしい。マケイン自身が執筆したかどうかは別にして、マケインの署名記事の出来が悪くて何が悪いのか。書かれた内容も当然国民の判断材料になる。この機会を奪ったのではないか。


 《【ワシントン及川正也】米大統領選で共和党の候補指名が確定しているマケイン上院議員の陣営は21日、イラク問題に関する論文掲載を米紙ニューヨーク・タイムズに要請したが、拒否されたと明らかにした。同紙が掲載したオバマ上院議員のイラク論文への反論。大統領選を巡っては米メディアの注目度が高いオバマ氏に比べ、マケイン氏の扱いが冷淡だとの指摘があり、報道の公平性を巡る論争に拍車がかかる可能性もある。

 同紙は14日付のオピニオン面に、大統領就任後、16カ月以内の米軍撤退などを公約するオバマ氏の寄稿を掲載。これに対しマケイン氏が反論の論文掲載を要求した。

 米メディアによると「米軍撤退は極めて危険だ」と、オバマ氏の主張を批判する内容。同紙は18日、「提出された原稿のままでは受け付けられない」と掲載を拒否し、逆に米軍の撤退期限や勝利の定義などを明確にした新たな原稿を求める電子メールを、マケイン陣営に送付したという=毎日 23日 東京夕刊》


 「マケインの主張が明確でない」と突っ返したというのだが、事前検閲ではないか。事実をゆがめて相手候補の中傷や誹謗を繰り返す記事なら掲載拒否は許されよう。だが、内容不十分というのでは、日本の感覚では納得できない。タイムスの指摘を受け入れて書き直せば、「より立派な」原稿に仕上がり、マケインの評価が上がることになりかねない。


 アメリカのメディアも変調をきたしている。救いがあるとすれば、テレビ、新聞とも一線記者にベテランが多いことだ。子どもたちが騒いでいる日本とは大いに異なる。それだけ海千山千の記者が多いということでもあるのだが…。
コメント
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