酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

対北朝鮮政策のジレンマ

2008-07-12 05:35:41 | Weblog
 10日から始まった6カ国協議で、日本の孤立が際立つ。日朝協議は行われず、北への重油支援では「日本の穴をどこが埋めるか」が焦点になる始末だ。

 《北朝鮮は見返り支援の遅れに再三不満を表明しており、期限を示すことで、核施設無能力化の早期完了と核計画申告書の検証に向けた積極的な協力を促す狙いがある。

 首席代表会合に合わせて開かれる同作業部会で具体的な支援計画確定を目指すが、日本は拉致問題を理由に参加を保留。日本の負担分の扱いが最大の焦点となり、調整は難航も予想される。

 同作業部会の議長国、韓国政府当局者によると、北朝鮮は「日本が参加しないのなら残りの4カ国が解決すべきだ」と主張》=共同


 日本は先の日朝協議で制裁の一部解除に同意している。ところが、国内、とりわけ拉致被害者家族らの猛反発を受け、方針を転換した。ここがポイントだろう。

 以前にも指摘したとおり、アメリカのテロ支援国家解除と日本の制裁解除は一連のものであり、気脈が通じていることは明らかだ。サミット前の日米首脳会談でブッシュが「日本を助ける」といった意味はそこにある。日朝交渉が進展しなくても、6カ国全体の枠組みには影響させない--というアメリカなりの決意表明である。

 日本は拉致の調査に進展がなければ、制裁解除には応じない方針らしい。これが日朝協議の合意と矛盾するのか、しないのか。日本も北も、合意をすぐ反故にするという点ではどっちもどっちだろう。

 最も問題なのは、日本政府が①対米②対6カ国③対北④国内向け--の4つのポーズを使い分けていることだ。協議が膠着しているときには破綻は生じないが、動き出すとあちこちでボロが出る。今回のケースはその典型だ。

 結局、日本の分の重油支援は韓国が肩代わりすることになりそうだ。ここから得られる「成果」は何か。

 ①北朝鮮の反日宣伝強化。北は日本の支援がないことをことさらに言い立て「6カ国の中に義務を果たさない国がある」と大宣伝に乗り出だろう。この口実を与えた
 
 ②韓国内に「なぜ日本の分をかぶるのか」と言う声が沸きあがる。弱体化している李政権を攻撃する絶好の材料になるだろう 


 ③日本不参加に不満を表明している中ロの更なる離反。直接の影響は少ないだろうが、領土交渉などに影を落とすことになろう

 
 エネルギーや食料の支援が得られれば、北朝鮮の思い通りだ。日本がいなくても一向に問題ない。こうして拉致問題そのものが6カ国から実質的に切り離されていくことになるのではないか。福田首相や外務省に戦略眼がないからこうなる。


 外交で民主主義国家が独裁国家に後れを取るのは世界史の常識でもあるのだが…。 
コメント
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