東京さまよい記

東京をあちこち彷徨う日々を、読書によるこころの彷徨いとともにつづります

千鳥ヶ淵公園~英国大使館裏の無名坂

2011年09月10日 | 坂道

千鳥ヶ淵公園から半蔵門 千鳥ヶ淵公園 千鳥ヶ淵公園標識 前回の三宅坂上の半蔵門前から北へ進むと、すぐ右に公園が見えてくる。写真のように、公園の端から半蔵壕が見える。公園は、この半蔵壕に沿って南北に細長く延びているが、公園名は千鳥ヶ淵公園で、なぜかとなりの堀の名がついている。

三枚目の写真の公園標識によると、この公園は、半蔵壕に面した敷地、内堀通りを挟んだ反対側の英国大使館前の桜並木、千鳥ヶ淵交差点角の敷地、の三箇所にわかれているとのことで、半蔵壕に沿って南北に延びる細長い公園だけではないようだ。

この公園を半蔵壕に沿って北へ進み、千鳥ヶ淵の交差点を右折すると、竹橋方面であり、直進すると、千鳥ヶ淵緑道の入口に至る。その内堀通りの反対側もこの公園の敷地である。ちょうどむかしの五味坂下にあたるところまで延びているようである。

英国大使館裏無名坂上 英国大使館裏無名坂上 英国大使館裏無名坂上 英国大使館裏無名坂上側 千鳥ヶ淵公園から半蔵門前の交差点にもどり、内堀通りを横断し、右折し、北側へ歩く。まもなく英国大使館であるが、その手前角を左折する。ここまで三宅坂(内堀通り)に沿って歩き、その騒がしさに少々辟易してきたので、ちょうどよかった。歴史のある坂でもなつかしい坂でも、広すぎて交通量の多い坂はやはり苦手である。

突き当たりを右折すると、英国大使館裏の通りで、北側へ歩いていくとやがて坂上に至る。ここは、以前、五味坂下に近い無名坂として紹介した。そのとき、坂上まで行かなかったが、今回、前回とは逆に坂上からアクセスし、往復した。といっても、ここは、はじめから予定していたのではなく、上記のように、大きな通りの喧噪から逃れてきたら、ここに行きついたといった方が正確である。ときおり車が通る程度できわめて静かな散策となる。ちょうど油っこい食事の後にさっぱりとしたお新香や酢の物が欲しくなるといったようなものである。

英国大使館裏無名坂下 英国大使館裏無名坂下 英国大使館裏無名坂下 五味坂下から無名坂 この坂は、大使館の裏で、中程度の勾配でほぼまっすぐに五味坂下へと下っている。大使館側の石垣と樹木がよい風情をつくっている。特に坂名はないようで、無名の坂であるが、長さと、勾配と、片側の風情とからなかなかよい坂となっている。坂名がないのが不思議に感じるほどである。

尾張屋板江戸切絵図(東都番町大絵図)を見ると、この坂のところが五番丁となっているが、坂マークはない。いまの大使館側には、南から、南部丹波守、永井信濃守、水野兵部、前田丹後の屋敷が並んでいる。近江屋板には、坂マーク△がある。坂下は、ゴミ坂、ハキダメ坂の坂下で、坂上を直進した突き当たりの、半蔵門前のあたりは、御用地、騎射調練馬場となっている。

明治地図には、英国公使館があり、その裏手にこの道がある。

五味坂下を左折した無名坂 五味坂下を左折した無名坂下 五味坂下を左折した無名坂上から南側 五味坂下を左折した無名坂上から北側 坂下を北側へ直進すると、最近、通いなれた五味坂下であるが、その北側(五味坂下を左折)は驚いたことに上り坂となっている。この上り坂は、大使館裏の無名坂を下るときに、遠望して気がついた。(これまで何回か来たが気がつかなかった。)

この坂も無名坂である。近江屋板では、ハキダメ坂(ゴミ坂)を左折したこの北側の道に坂マーク△があるが、この坂と思われる。坂上から南側に、三枚目の写真のように大使館裏の無名坂が見え、北側は、四枚目の写真のように、いったん下ってから、また上っている。近江屋板に、この坂上から下る坂、その先の上り坂に、それぞれ坂マーク△がある。

地図をよく見ると、この道を直進すると、前回、紹介した永井荷風旧宅跡の交差点に至ることがわかる。この道は、御厩谷坂永井坂のある通りの東側に位置し、大使館裏の無名坂から永井荷風旧宅跡を通って靖国通りに至るまで何回かアップダウンを繰り返すようである。御厩谷坂のある通りもそうであったが、ここもその地形の影響が続いている。

この無名坂上から引き返し、大使館裏の無名坂を上り、南へと新宿通りの方に進み、ふたたび、騒がしい方へもどる。
(続く)

参考文献
岡崎清記「今昔 東京の坂」(日本交通公社)
「嘉永・慶応 江戸切絵図(尾張屋清七板)」(人文社)
市古夏生 鈴木健一 編「江戸切絵図 新訂 江戸名所図会 別巻1」(ちくま学芸文庫)
「古地図・現代図で歩く明治大正東京散歩」(人文社)

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