ホワイトシェパード・アリエスの日々 ≪一雲日記≫

いつまでもどこまでも一緒に歩こう!

遺伝子の旅・その1

2010-07-05 | 2~3歳
 この春、プランターに蒔いたヤグルマギクがとてもきれいに咲いた。青とピンクの2種類の花色があって、ミックスされた種が売られている。それらは当然、同日・同条件の土の上にごちゃごちゃに落ちたわけだが、ほんの1-2日ほど、ピンクの花が先に開いた。ピンクのほうが早く根が生えるのか、養分の吸い上げが良いのか、日照や気温に敏感に開花するのか。赤色の形質の原因となる遺伝子が、そういった生育に関しても影響を与えているのかな。世代から世代へ、静かに伝えられている秘密があるかもしれない。

 ヒトゲノムも解読が終了して、すわ「人間とは何かが分かってしまうのでは」といった期待と恐怖が一部盛り上がったけれど、そんな哲学的深淵にはほど遠いのが現実だろう。科学は科学で、十分に深遠なるものであるとは思うが、そこから浮かび上がる事実に真実の価値を与えるのはまた別のものという気がする。そこに連なる様々なカテゴリーの中でも、これまでの科学でも扱いの難しかった疑問・・・ヒトの能力や内面的性質に遺伝は関係するのか?という壮大な問題に挑む人々もいる。
 
 遺伝学の観点から、ヒトの人生に与える生まれつきの=遺伝子の驚くべき影響力が指摘されている。これに対し、動物行動学や心理学などの観点から、生育環境やまわりの他人からの影響をこそ無視できないとする立場もあり、両者は大体激しく対立する。「遺伝か環境か」というやつだ。激論に加わる専門家以外では、「半々じゃないの?」という直感派が多いのかもしれないが。

 一卵性双生児は親から受け継いだ遺伝情報が完全に一致している。ある研究では、幼い頃に遠く引き離されて天と地の差の環境で育てられた一卵性双生児が、成人して驚くほど似た性質を持った人間になっていたという。「ヒトは育てられたように育つのではなく、遺伝子の命じる環境を選び取り、成長するのだ」と。同様の結論を促す研究も山ほどあるらしい。「環境環境っていうけど、自分の遺伝子のことを棚に上げて、他人からの影響なら許容する考え方ってどうなのだ」という痛烈な批判。このような発表に対しては、倫理面からも攻撃に等しい反論が出る。生まれついた時点で人生が決するという話に対する当然の反感。こちらも反証を山ほど提示する。

 何かの本で見てまったく賛成だと思ったが、「遺伝か環境か」と、二者択一の運命決定論に陥ることが問題なのだ。個体のゲノムが有する特性を知り、それに合った方法で成長を促す・・・究極の理想論だが、昔からお父さんお母さんがたくさんいる兄弟姉妹をそれぞれに育ててきた、そこに集約されるのだろうと思う。ヒトは、神の領域ともいえる遺伝子操作を、自分達にとって好ましい性質の家畜や植物を選んで増やすことで、知恵の領分として以前からおこなってきた。だが現代は、遺伝情報の本態を知り、知りながら確信的に操作したり病気を探したりする。その技術は果たして、最終的にどこに帰結するのか。個々の能力開発、オーダーメイド医療、人類を飢餓や気候変動から救う・・・?

 なんだか大風呂敷になってしまったが、さてアリエスは・・・


 スヤスヤと、われ関せず

 





 

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