ホワイトシェパード・アリエスの日々 ≪一雲日記≫

いつまでもどこまでも一緒に歩こう!

ふたご座流星群の夜 その1

2019-12-14 | 11~12歳
今日はアリエスの誕生日。
12年前、子犬が生まれるのを首を最長にして待っていた。私は新潟にいたが、寒い夜中にむくりと起きて、アリエスが生まれたことをなぜか確信した。

アリエスの姿のない今年の誕生日を、じつはとても恐れていた。12歳おめでとうと言いたくても言えない事実を考えるのがきつかったし、来年もその次も、数え続けるのは無理だと思った。ケーキもろうそくも花も買わず、なんとかして普段どおりに過ごそうとしている。

しかしひとつだけ、特別なことを。
いつも散歩に行っていた河原へ、流れ星を見に行くことだ。誕生日の頃に極大を迎えるふたご座流星群を、毎年アリエスとともに見た。あんたはあれに乗って地球に来たのかねえなどと話しつつ、飽かず眺めたものだ。たまにすごいのが流れて、黄緑色の閃光をアリエスが追ったりした。

いまは流星のすぐそばを、自由自在に駆けることができる。そうだよね、アリエス。


アリエスのまわりは花と緑がいっぱい



アリエスの月

2019-12-12 | 11~12歳


12月は、アリエスがこの世にやって来て、そして去った月だ。昨年は闘病中ながらも、アリエスの11歳を感謝して祝ったのだった。いま複雑な何とも言えない気持ちで、静かすぎる時間を過ごしている。アリエスはひと言も日本語を発しなかったのに、あの姿がないだけで、この静けさに怯えるような思いがする。そして暖冬だというのにとても寒い。

この時期は毎年、もちろん全部アリエスの写真で、年賀状を作りカレンダーを作りしていた。冬山へ出かけるのに備えて、早めにタイヤも交換していたものだ。けれどつい昨日まで、どれも忘れてしまっていた。ただ、アリエスの棚に飾る雪だるまやお正月飾りはせっせと編んだり縫ったりしたので、そこは完璧だ。背を丸めて慣れない作業をする私を見て家人は涙が出ると言うが、かわいそうに見えるのかもな。生きているうちにしてやれなかったことの数々がこんなことで叶うとは思わないが、どんな形であっても一緒に時を行くのだと、決意と祈りをこめて、そしてそれを喜んでいるつもりだ。妙なできあがりを見て皆が笑うのもまたいいんだ。

これからも、12月は特別な、祈りの月ということになるだろう。

聞こえているかな

2019-11-24 | 11~12歳
アリエスは昨年11月に病を得た。朝晩の沁み入るような寒さの始まりが、それを思い出させる。

1年をどのように過ごしてきたのか、考えようとすると驚くほどに思い出せない。この日記を書いているから、読めばああそうかと気づくのだけれど。つらかったなと、ぽつんと思う。これからも多分そうなのだろう。母ちゃんはアリエスの見えない1年を、なんとか生きたよ。ここにこうして言葉を書くことは、どれもただ、あなたに会いたいと言っているにすぎない。わかってるよ、きっとね。

アリエスの死は私達をぶちのめしたが、それを救ったのはまた、アリエスの思い出だ。アリエスのかわいさは今も同じで、アリエスの優しさは今も変わらずに優しい。テレビをつけっ放しにしなくても寝られるようになり、少しの楽しみをアリエスに報告できるようにもなった。家事や庭仕事はやっぱりアリエスと一緒にしていたようにしている。心の底に絶えず流れる、何かが間違ったまま進んでいる感覚と、突然襲ってくる悲嘆については、いたしかたなしと自分を許している。

すべての生命を分かつ死を憎んでも、あれほど恐怖したアリエスの闘病の日々を疎む気にならないことは、我ながら意外だ。あの日々も、アリエスの生きた時間であったからだろうと思う。笑い合って過ごした時と同じ重さで、大切なのだ。アリエス、母ちゃん達は、待ちくたびれることはない。いつでもここに。



アリエスの友達

2019-11-10 | 11~12歳
家の周辺や庭には、いろいろな鳥がくる。アリエスはよくカラスを見上げていたっけな。スズメは毎朝にぎやかに屋根におり、ムクドリの家族は事件現場を調べる鑑識班のように、整然と並んで地面をつつく。キジバトの夫婦は庭のヤマモモの木に入居希望の様子で、そこからの眺めや動線を確かめていて、本当にヒトが部屋の内覧でもしているかのようで笑ってしまう。前年はモミジの木でヒナがかえった。コロコロと優しげに喉を鳴らす姿を見せない常連もいれば、トンビが高く滑空して、空が雄大だったことを思い出させる。メジロは庭になる実もの狙いだし、誰かが砂浴びした跡もよくある。

先日は植木鉢でウグイスが寝ていて驚いた。草花に順番に水やりをしていたら、葉っぱじゃないものがいる。緑どうしで隠れてるつもりか…。気づかなくてすぐそばまで手を伸ばしていたのに動かないので、ケガでもしてるんじゃないかと心配になる。困った…鉢のまま動物病院に連れていくかな。と思案していたら、つぶらな瞳がひとまわり大きく開いて、今さらびっくりした顔で慌てて飛んでいった。彼は寝ぼけていたのだな。ともあれ、大事なく何よりだった。腐葉土たっぷりで温かい土だから、ついまどろんだのだろう。またおいで、ということで、鉢の配置もまわりの物も動かさないようにしている。早く来ないと枝が伸びちゃうよ。

アリエスの庭に、快適そうにしてくれる生きものがいることがとても嬉しい。疲れてる命、弱って休みたい命、ここへ連れてきて束の間でも安らげるようにしてあげな、アリエス。



うっかりゲキシャされた寝ぼすけくん

冬じたく

2019-11-09 | 11~12歳
気温が下がってきて、アリエスの入居している棚もこれまでの白中心のインテリアでは寒々と見えるようになった。アリエスの後ろのカーテンを、薄手のレースから、ダークな背景に森の動物がいろいろ描かれたやつに変えた。生地の図柄が子供っぽくなくて、探し回った甲斐があった。母ちゃんそろそろミシンに慣れたよ。

それからアリエスを守る白いぬいぐるみ達にも、それぞれに防寒具を進呈。私の冬靴下で、ベストと帽子、マフラーを作って着用させた。アリエス本体とガラスの小壺、犬舎に行った時に博多で買ってきた白犬の置物にはマフラーを編んだ。必要とあらば、敬遠しまくっていた手芸もチャレンジせざるを得ない。自分の柄ではないが、付け焼き刃でも無いよりマシと思って頑張った。

多少変でも、離れた距離で見ればなかなか暖かそうでよい。編み物がおもしろくなっちゃって、父ちゃんにマフラーか何か編んであげると言ったら、怯えた目をしていいよいいよと断る。遠慮はいらないとニコニコしたら、余計追い詰められた表情でマフラーはしない主義だと、重大な政治的立場でも開陳するかのように答弁する。なんだよーーと思いつつ、今度はアリ子母に何がいいかと尋ねると、かゆいから要らないと瞬殺された。いや、それはチクチクしない毛糸を使えばいいことで…と思ったが全然そんな余地は与えられなかった。

アリエス、それ、かゆいかい?



アリエスは、御簾のむこうからちろっとね…ポンポン付きのマフラーをしてますよ〜