ホワイトシェパード・アリエスの日々 ≪一雲日記≫

いつまでもどこまでも一緒に歩こう!

歯が・・・

2010-08-16 | 2~3歳
 キョーフの歯垢に母ちゃん真っ青

 ズームアウト。微動だにせず・・・


 アリエスのごはんはドッグフード。ドライタイプだが、鶏のムネ肉のスープをかけ、ニュートライプの缶詰を少し、各種各部の肉類・野菜などがトッピングされる。チーズひとかけらと、りんごやぶどうなどの果物のおすそわけも夕食の日課。おやつにラム、馬肉、牛肉、豚肉、鶏ササミやレバー・ハツ、鯵、鰯、鮭など。けっこう歯垢が付きやすい状況ではある。

 そのくせ、歯磨き効果を謳うおやつなどは全然好まない。我が家製品か、無添加の材料を乾燥させるなどのシンプルなものしか食べない。アメリカ獣医師会が推薦しているというガムも、奇跡的に1-2個消費したがそれまでだ。かろうじてナイラボーンという海草を硬く固めた齧るおもちゃや、馬の乾燥アキレスをガリガリする程度。

 そもそも、「食べ物として口に入れる」ということに非常に慎重だ。様々な材質のおもちゃはけっこう遊ぶのだが、食べるとなると全然別らしい。慣れないものはまず口に含まないし、明らかにおいしそうなものも、初めてとなると私がおいしく食べているかを「ガン見」する。おまえは将軍かっ。そんでもって母ちゃんは毒見役かっ。

 毎晩磨いていたが、2歳を過ぎてちょっと歯の色が気になるようになり、左右の特定の歯に茶色の歯垢が目立つようになった。さてどうするか。スケーラーと呼ばれる道具でこすると取れるというけど、断面が鋭利すぎてエナメル質も削れそうだ。つまようじなどでやってみたが、そんなにヤワでもない。さてさてどうする。

 あれこれ試す中で、シージャーキーというものに出会った。鱈の皮を乾燥・圧縮して固めたもので、小麦粉で練ったりしていないのでアリエスの得意分野。魚も大好きだし。鱈の皮は鮫の皮よりジョリジョリしていて歯にいいのだと書いてある。ほんとか?まぁ、あまり期待しないことにしよう・・・。

 かれこれ3週間ほどになるだろうか。歯垢が取れ始めているのにびっくり。おいしく続けられるなんてラッキー!あ、歯磨きもやめないからね、そこは期待しないように。終わるといつも大ーきなため息をつくアリエスくん。
 

遺伝子の旅・その4

2010-08-15 | 2~3歳
 だいぶフカフカの緑になりました。ヤツもごきげん

 それキャッチ!・・・大げさに飛びすぎて失敗 

 ざざ残念

 先日、アリエスも遺伝子検査を受けた。原理的には各臓器で解析可能だが、私の選択した検査会社では頬粘膜スワブ・・・頬の内側を綿棒でこすり、そこについた粘膜の細胞をサンプルとしていた。細胞を集めて物理的化学的処理により細胞膜や細胞質を除去、さらに核を壊してRNAを抽出する。DNAが全部の設計図ならRNAは実際の建築現場で使われる図面、といったところだろうか。

 細胞内では二重らせんがほどけてDNAが複製され、その塩基配列をRNAが転写(コピー)・修飾を施してアミノ酸へ翻訳。生体内では通常、DNA→RNAと遺伝情報が伝えられる。検査では、細胞から抽出したRNAに逆転写酵素を作用させてDNA(cDNA)を合成する。cDNAは元のDNAにあった余計な(本当は余計なんかではないのだが)図面が除かれているので、実際にアミノ酸を指定する塩基配列を知るのに便利だ。あるはずの塩基が欠失していたり別の塩基に変わっていたりすると、そこで指定されるアミノ酸もできあがる蛋白も別物になってしまい、それは細胞の中で従来果たすべき役割を果たせなかったり不具合を生じることになる(もちろん逆もあり得るが)。遺伝子検査の場合、疾患を起こす遺伝子がDNAのどのあたりにあるか分かっているので、そこらへんの塩基配列を挟み込んだ領域を集中して調べることになる。

 cDNAはPCRという手法で、調べたい部分をたくさん増幅して数を増やす。こうして得たPCR産物を特殊なゲルの中に入れて電気で押し流してやると、塩基数の違いにより流れ止まる位置が変わる。細かく条件を変えてやれば、塩基が少し足りない(遠くまで流れる)とかが分かる。また、DNAの塩基配列をひとつひとつ読み出したり、限りなく維持したりすることもできる。

 犬には抗フィラリア薬イベルメクチンに代表される薬物中毒をきたしやすい遺伝が存在し、その責任遺伝子はMDR-1と呼ばれる。MDR-1の遺伝子産物はp-gpという糖蛋白で、ある種の薬剤はこのポンプのような役割をするp-gpによって細胞の中から外へ運び出される。中枢神経にも分布しているので、MDR-1に異変が起きているとそこでの薬物濃度が異常に高くなり、副作用としての痙攣などが起きる。世界的にみればホワイトシェパードでも、他犬種で見つかっているのと同様に4塩基欠失が報告されているようだ。

 検査の参考文献では、コリー系統の犬種の血縁をいくつか調べている。そしてこの研究の中でMDR-1に変異が見つかった系統は100%、遺伝的分離が起こる以前に大ブリテン島に生息していたと結論付けている。ちょっとの検査で、「うちの子」の祖先の姿が垣間見える。

 かつて、そしてたぶん今も、生物は遺伝子や染色体の変異や組み換えを繰り返し、苛酷な環境に絶えて生き延びてきたと考えられている。遺伝的に不利な内容を持った生物は、生き残れなかったかもしれない。だが現在の人間は、自然の神秘に遠く及ばないまでも、それを調べる手法を知り対処の手立てを持っているものもある。異様に発達した大脳皮質と、破壊行動に走りがちな知識を、古代からヒトと共存してきた生物を守るためにも、有効に使えればいいなと思う。


空、空!

2010-08-08 | 2~3歳
 アリエスとの日々をカメラに納める。記憶としてその場の音や匂いや、視覚以外の情報があるわけだが、時にそれが写りこむことがある。涼しいところにあったレンズが湿気の多い外気に触れて曇る。ああ、この日はほんとにじっとりとしていたな。ジリジリの日差しで真っ黒にくっきりとできたアリエスの影は、むせかえるような草の香の表現形。
 
 哺乳類の祖先は、まず胎生を獲得したことで弱肉強食の世界を生き延びた。恐竜が死滅した後の、力による覇権争いには加われる体格ではなかったために夜行性となり、そのために聴覚や嗅覚などの感覚が研ぎ澄まされて感覚野が広がり、のちの脳容量の増加につながった。そんなステップで頭角をあらわしていったという説があるそうだ。最近、照明をなくして彫刻を鑑賞したり、目隠しに裸足で公園を歩き回ったりという試みもあるときく。肌に触れる空気、そっと密着してくるクモの糸、種類によって違う葉ずれの音、かすかな花の香り。我々の情報量の90%とも言われる視覚の入力を取り払った時、そこにはまったく別の世界があらわれる。


   湿気によるくもり・・・今年はほんとにすごい


   晴れの日もすごい・・・うへえっっ


 あんたには小さすぎる木陰だね

 このところ空にはまっている。いつも見上げているアリエスのマネをしたわけではないのだが。きっかけは、ISSだ。あの野口さんが長期滞在したことで有名な国際宇宙ステーションは、サッカー場くらいの大きさだそうで、条件が合えば目視できる。JAXAのホームページで調べると、ISSの軌道と見やすい日時が分かる。アリエスにとっても朝の運動量が大事になった今の季節、早く出れば目撃できるということで一石二鳥!
 
 ほんとに見えるのかぁ?とちょっと疑っていたのだが・・・なんと!1等星と同じくらい大きく明るく力強く、それはいきなり現れた。360度見渡せる河原の、土手の向こうから。飛行機ではない。西南西→北北西→北東と、正確にこの時間ここを通過しているのだから間違いない。ほんの3分ほどであったが、自分が思ったより興奮しているので我ながら驚いた。だって、昔は「月にはうさぎさんがいる・・・らしいよ」なんて言い伝えられていたのが、あの輝く流れ星に確実に人類がいて、忙しく働いているのかと思うと!ううっ、なんてこったっ。

 夏の夜空といえば花火。だが、今年はまったく興味を失ってしまった。ISSが視界から消えてふと気がついた、星々の清らかな姿にドップリである。静かでシンプルで、でも圧倒的に存在感がある。子供時代から今まで、天文や宇宙関係にはまったく興味がなかった。小学校では星座の話、ギリシア神話などが推薦図書になったりした。が、どう見ればこれがクマになるんだよとか、無理矢理な名称に腹立ちを感じたり、大人が真面目に星の神話を語ることに困惑したりして、正直には嫌いであった。「夢があるでしょー」的な押しつけにもうんざりで。

 オバさんになった今、へーあれが白鳥ね、あれをヘビってことにしたわけねと、なんだか客観的に捉えられるようになった。神話を知れば、星の位置も覚えやすい。あの星座はあの星座から逃げてるから、東と西に遠く離れて回るんだとか、なかなか奥が深い。超早起きしてやって来て、まず一緒に歩いたりちょっとした練習をしたりの後、アリエスは開放されて走り回っている。口を開けて上ばかり見上げつつ、曲がりくねって歩いてくる私を怪訝そうに待ちながら。

 夏でもオリオン座が見えることにびっくり。丑三つ時には、真東から昇ってくるという。それと南北を結ぶ天の川を(見えなくても)想定すれば、方角が決まる。夏の大三角形を特定すると、芋づる式に星と星座が判明する。織姫と彦星は天の川を挟んで位置し、七夕の日しか意識しないことが不思議に思える。不敵にきらめく赤いアンタレス、すぐ近くに南斗六星。ペルセウス座流星群が光を引いて一瞬で流れる・・・

 気がついたら足元にゼコゼコしながらアリエスが戻っている。どこで遊んできたか、真っ黒。風呂だ風呂っ!