ホワイトシェパード・アリエスの日々 ≪一雲日記≫

いつまでもどこまでも一緒に歩こう!

芝生プロジェクト

2010-07-28 | 2~3歳
 暑い。暑すぎる。夕方もまだ空気が冷えず、アリエスを走らせるのもちょっと腰が引けてしまう。この夏は、水遊びで運動量を稼ぐべし!・・・ってホースの水もお湯になってるし。

 この暑いのに、炎天下で我が家の芝生を養生してくれるお兄さんがいる。茶色くしょぼついた地面を何とかしようと、お願いしたのだ。
 そもそもは庭師さんの発した一言に始まる。このところ近所でも生垣の植木が立ち枯れており、我が家も例外ではなかった。当然手入れしてないせいだと思っていたが、庭師さんが「犬がいるからねぇ」と言ったのだ。根元におしっこするし、土を掘り返すほどの脚力で走り回るしで、木も芝も枯れようというものだと思っているらしい。

 残念ながら、それは「地雷」というものだった。その庭師さんが我が家に足を踏み入れることは、二度とないであろう。
 そもそも木も草も、条件や取り合わせはあろうが、動物と共存するものだ。悪いとすれば、面倒見を怠った我々であり、ゴム底の靴で遠慮なく踏みつける私である。だがその言葉は一方で、物言わぬ植物の代弁とも取れた。ならば、アリエスも、木も花も、互いに気持ちよく育つようにしよう。「~のせい」ではなく、「~したら良くなる」と発想する人とやってみよう。

 そしてお兄さんはやってきた。丹念に調べて、端的に言った。「木には○○虫がいますね」・・・だよね。近所中、同じ症状だもんね。いっぺんで大々的に甘えだしたアリエスをこれまた丁寧にかわいがって、さらに。「この子が快適に遊べるように全力を尽くさせて頂きます」・・・そして地面にへばりつくようにして手入れをしてゆく。月に一度、私達はそんな姿を目撃するようになったのだった。

 真面目、くそ真面目。一所懸命。それ以外の言葉が見つからないような誠実な仕事ぶりだ。世の中には、人智を尽くしてもいかんともしがたいことはあると思うが、生き物というのもそうだ。我が家の庭、などというちっぽけな話ではあるのだが、プロにオールマイティなどはない。自分の責務というものに正面から懸命に取り組む姿に、頭が下がる思いがする。この人などは、よしんば手がけた仕事が失敗して責められても、逃げ出すことはないだろう。最悪の場合にも責任を取る覚悟はできている。いま最善を尽くすだけだ。まさににプロフェッショナル。

 毎回いろいろ尋ね、アドバイスをもらう。水をあげる頻度や量。芝刈り機で刈り込み、草をむしる。道具の手入れ。静かに頑張る植物を慈しむという思いを、私も遅まきながら抱いて、このところ張り切っている。生えそろってきた緑がうれしく、風が通り抜けるとアリエスも気持ちよさそうだ。母ちゃんは筋肉痛だけどね。
 

 水かけられて、またこの顔

 空を過ぎる鳥を見上げる

 大好きなお兄さん

 やっぱり空を見る

優しい子

2010-07-25 | 2~3歳



 私にあちこちつき合わされている上、梅雨が明けていきなりの酷暑でくたびれているのか、アリエスは鼻水を垂らしてお腹もゆるい。体調のくずし始めは体のキレですぐ分かる。毎日一度は思う存分走らせることにしているが、そのダッシュの出足がほんの少し鈍る。いつもならいきなりサードギアに入ったようなスタートが、セカンドくらいに落ちるのだ。それからくしゃみをしたり、食欲が落ちたり、下痢したりといった症状が出てくる。

 夏の夜は通常、冷たいタイルの玄関に陣取って寝るが、今年は昼の熱気が室内から去らず、モワッとしている。そこで冬と同じように、除湿をかけて2階で寝かせている。今お腹がゆるい彼は、夜中にもトイレに行きたくなる。そんな時。ヘコヘコとしながらも黙ってドアに前に座っている。

 彼は余程のことがない限り、寝入っている私を起こすことはしない。ひたすら我慢だ。基本的には、アリエスが水を飲んだり寝る位置を変えたりするより長く起き出すと、息遣いで私も目が覚めるので、長く待たせることはないはずだ。でも、体調不良なら1秒でも早く解決したいことだってあるだろう。トイレはその最たる例だ。私が起きていると分かっている場合は、彼はフンフンと控えめに声をかけてきて、開けてやると「ありがとね!」とばかりに耳をビュッと倒して笑顔を作り、急いで階下へ降りる。しかし眠っているかもしれないという時は、そっとこちらをうかがって、そっと戸口前へ移動し、そっと耐えて待つ。どこまで優しいのだ、おまえは。母ちゃんを叩き起こせばいいのだよ。一緒に庭へ出れば、急な便意をどんなに我慢したかが分かるから、いじらしくてグッとくる。

 ものすごく空腹で、一気にごはんを食べている時も、隣にしゃがんで見ていると少し場所を譲り、「母ちゃんも食べなよー」とばかりに顔をペロペロする。おやつをもらっているところへ割り込んで横取りしても、ニコニコとこちらを見ている。「これおいしいねぇ」と言わんばかりだ。

 数え上げればきりがない。こんなに優しい子に育ってくれたのだなと、本当にありがたく思う。先日の留守番で、アリ男も同じような感慨を語っていた。毎日を控え目に送ってゆく彼に、なんだか人生の過ごし方を教わるような気がしてしまう。
 

お留守番こぼれ話

2010-07-20 | 2~3歳



 あの後、アリ男が私にしきりと尋ねるようになった。「ね、出かけないの?」ぬ・・・何でだよ。私抜きでアリエスと一緒にいると、自分への注目度も高くて親密になれて楽しいらしい。嬉しさのあまりに、片付けなんかも全然苦にならないようだ。そうだ、あとアルコール飲み放題っておまけもあるな。うぬぬぬ・・・出かけるもんかっ!(ライバル意識)

 なーんて。ふたりが仲良くおりこうに留守を守っている様子はなんとも微笑ましい。両方とも、いい加減オヤジなのにね。お言葉に甘えて、これからはふたりを信頼して外を飛び回ることにするよ。

遺伝子の旅・その3

2010-07-18 | 2~3歳
 ゲノム解読、遺伝子検査、それらの技術で明らかになる疾患群が存在する。概念や症状が分類され遺伝性が明らかでも、どの染色体上のどの場所に存在しているか分からなかった責任遺伝子の発見。

 ゲノムをめぐる探求はこのように、「病気の地図作り」のような側面が大きくクローズアップされる。遺伝子イコール病気と感じてもおかしくないくらいに。本来「疾患遺伝子」という言い方そのものが珍妙なのだが、だがそれでもむしろ、判明しているもののほうが少ないのかもしれない。ありふれた単なる慢性疾患と思われていたのに、ある日突然遺伝子疾患だと解明される可能性もある。

 今はまだ、狭義の遺伝子治療が一部の単遺伝子による疾患に用いられ、ある種の癌などで薬への感受性を知るために利用される等に留まるが、本当の「オーダーメイド」となれば、個人のゲノムをすべて把握し、未発症の疾患まで「治療」する時代になるかもしれない。まだ完全に絶えたとはいえない優生学的思想が、姿を変えて復活する危険も指摘されている。

 ヒトの一般論は措くとして、さてイヌは。アリエスの親戚筋から教えてもらったので調べてみると、ブリーディングを手がける犬舎の中には、犬種によって発症頻度の高い疾患について遺伝子検査をおこない、特に海外では犬舎名・犬種名などの情報をネット上で公開しているところがある。「○○犬協会」や専門家の参加した有志の勉強会グループなどの団体が把握し、発症年齢や症状や転帰、親犬名などが誰にでも閲覧できるようになっているものもあった。

 ヒトの優生学を嫌悪しても、犬や猫ではむしろ義務であるという断固とした発想。理想だけなら、疾患の可能性が事前に分かっている個体も、発症している個体も、みんな新しい家族のもとへゆき、幸せになって当たり前。命が終わる日まで大切に育む責任を果たす人の必要だけを満たす子犬の供給が当たり前。でも、商業自体が悪でなくても、動物の命も経済の流れに乗っている現状では、やっぱりそうはいかない。膨れ上がる需要に応じて子犬を「生産」したり、夥しい数が売れ残ったり、新しい家族にも捨てられたり、挙句に殺処分される。「病気」が関わると、この惨状はさらに深刻であろうということは容易に想像がつく。病気そのものでない要因がさらにその個体の幸福を大きく損ない、そして要因とは十中八九、私達人間であろうということだ。ヒト以外の生命についてあまりにも鈍感な人間社会の不完全さが露呈しているからこそ、病気の子犬を減らす苦しい選択としての遺伝子検査がある。

 普段安穏に暮らしているが、時々アリエスはこうやって、心痛む厳しい問題を突きつけてくる。親としてどうありたいかということは、人間としてどうありたいか、そこにつながってしまうのだと思う。 
 




朝焼け大好物の私に引っ張り出される父と子。「すぐ気温が上がるから早く走りに行こう!」なんて口車に乗せられながら。だけどにわかカメラ小僧となっていると、置いてきぼりにされてしまう。

 もう入道雲が出てるよ!

 母ちゃん置いてこう

 雲の富士山

 こんな深いピンク

 こんな色の配合

 口をあけて見とれるだけ

父子の休息・・・お留守番!

2010-07-17 | 2~3歳
 
アリエスを思いながら夕暮れの空を見上げる・・・ワオーン


 激流下りの翌日、女性陣はお出かけ。いつもアリエス(だけじゃなく「親犬」も)世話してくれているアリ子母に、ちょっとしたお休みのプレゼントだ。とはいっても、三十何年も、母の日や誕生日をまともに祝っていなかった穴埋めには到底ならないが。

 男性陣、すなわちアリエスとアリ男はふたりで留守番だ。遠出のアウトドア後でくたびれてもいるだろうし、何よりごはんが心配だ。あー心配だ心配だ!・・・計画した時はアリ子母がそんな風に渋ったのに、いざとなると私のほうがあれこれ気になって仕方がない。結果、はたし状みたいに長々とロールした申し送りメモをアリ男に復唱させることになったのだった。アリ男は嫌がる風でもなく、ヨユウの表情ではたし状を読みながら物品の場所を確認した。大丈夫かよー・・・おっと、アリ男のおかずの場所を教えるのはすっかり忘れてたよ・・・今日だけはビールも焼酎も飲み放題だ。もしかしてそれで笑顔?

 思い出の場所で食事したり、騒がしくショッピングしたりしてホテルに到着。普段の身の丈に合った生活では味わえないホスピタリティをびっくりしながら味わって、夕刻には外を散歩。空を見ると、いつもアリエスと川辺で見上げる夕焼けや雲を思い出す。会いたいなぁどうしてるかなぁ大丈夫かなぁ。・・・と、見計らったようにメールが。「うんち無事終了(それの絵文字)」。うんうん、ようやった!そしてグッドタイミングッ!

 その後もアリ男の「調合」によるごはんも食べ、色々して、おとなしく寝付いたという。・・・って何回連絡取ってんだよ。アリ男にとっては、休みも何もあったものではない。アリ男えらいなぁ、ありがとうよぉと、私達もやっと安堵したのであった。

 仕事に出るアリ男を見送り、しばらくひとりで留守番して、アリエスは私達を出迎えた。普段は、立ち上がってゲートに前足をかけても私には触らないのだが、今回は「ちょっとどこ行ってたのよー」とばかりに前足でバコバコする。母ちゃんも会いたかったぞ・・・
 室内はきれいに片付き、アリエスのおもちゃ箱も遊んだ形跡がありながらきちんとしまわれている。フード入れのタッパーも何もかもピカピカに洗われて、日光消毒に付されている。おわーっ。すごいな、アリ男!!アリ子母も、「負けた・・・」とつぶやいていた。

 後に聞いたところによると、私達が出かけてからアリエスはその戸口のそばに伏せてずっと動かなかったそうだ。時々体を寄せて甘えてきたり、夜中には2階の私の部屋を見に行ったりしたという。なんだよー泣けるじゃないかよー・・・。アリ男はわざわざ布団を階下に持ってきて居間で寝たのだそうだ。

 ともあれ、父子の「はじめてのお留守番」は上出来で終了。ふたりとも、ボートに引き続き200点満点!この夏、アリ男はものすごく株を上げたのだった。