ホワイトシェパード・アリエスの日々 ≪一雲日記≫

いつまでもどこまでも一緒に歩こう!

この姿勢に共感

2011-11-03 | 3~4歳
 医学のいわゆる「常識」は現時点でのコンセンサスであって、将来もっとたくさんの事実が判明して覆されることもある。さらにそのコンセンサスは一般的に、多くのマス・スタディによる統計学的解析によってつくられる。そして細胞や動物を用いた研究成果が理論的裏付けをおこなう。教科書に記載される、それから臨床の現場で知識が活用されるのは、また後になってから。けっこうなタイムラグが生じる場合が多い。実用の技術的習熟を別にすれば、現場での考え方の「最先端」は、研究面では「やや昔のこと」になる。

 今はインターネットの普及によって、どの分野においても、さまざまな段階で「素人」が情報を入手しやすく、逆に発信しやすくもなっている。それには良い点もあるけれど、難しいのはやはり「確かな話ですか?」という問題だろう。「科学的事実はひとつ」とはいえ、ひとつの現象も解釈によって論争を生むこともあるし、別の問題の解決を待たねばならないケースもある。

 「素人」と「玄人」とのギャップをどう埋めるかということも、互いに関わろうとすると避けては通れない課題だ。犬という家族を持つ身にすれば、獣医師とのコミュニケーションをどう取るかは大切。忙しい外来診療の中で、病状や治療について詳しい説明を求めるのを遠慮する向きもあるかもしれない。だがうちの子の大事な話なのであるから、なるたけ自分の知識の底上げをしておいて専門家の話に耳を傾けたいものだなと思う。





 知人の犬の病状について調べていて最近探した本。タイトルはちょっと怪しげ?なのだけれど、いい内容だなと思った。オーズトラリア人獣医師の著作で、副題にあるようにスタンスが明確だ。すなわち、素人と玄人の架け橋。家族がうちの子をじっくり観察して疾患の存在に気づき、獣医師の治療の有効なバックアップをおこなうための様々な方法を記述している。

 医学は結局のところ統計学であるという心もとなさから、データ以外の一切を排除する考え方。感情が先行し狂信的になることもある民間療法。さじ加減で治癒に導いたと錯覚し、自分にしかできない経験論で勝負する勘違い。そのいずれからも、この著者は一定の距離を保って立場を守っている。ひとつの方法に固執することなく考えを取り入れたり、可能性について言及したりもする。その治療にどんな名前が付いていてもいい、うちの子ができる限り副作用なく、治りさえすればいいのだから。

 受け手が偏った知識を高めることで無用な軋轢を生むのは最悪の事態であり、協力関係を強化することこそ、治癒への早道。



 

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