今日の考え事〈applemint1104〉

自分の体験やニュース、テレビドラマや映画などについて感じた事を素直に書いて行きます。

「BG 身辺警護人」4話の感想

2020-07-10 12:21:09 | ドラマ

1話~3話まで何か書こうと思いつつスルーしてしまいましたが、今回のは良かったですね。

今回の話はこんな感じです。

20年間家に引きこもり家にパラサイトしている男が事務所に警護を依頼してきました。
緊急の何かがあったのかと島崎と高梨二人が飛んで行ってみると、そこにいたのはパソコンに向かっている髭と髪の伸びたむさ苦しい男でした。
「同窓会があり、タイムカプセルを開けるからその前に行って担任に回収して貰いたい」と言うのでした。
二人が家の中に入って来たことで家庭内の親子の不信感がぶつかり合い言い争いになります。

父親は大学進学できなかった自分を不満に思い息子に期待をかけていました。「勉強していい会社に入り人を動かす男になって欲しい」と。
父親は子供と一緒に遊び色んな所へ連れて行って大事に育てました。
しかし息子は大学も行かず働いた事もなく、いい加減でしょうもない人間になってしまったと父親はやるせない気持ちをぶつけます。
島崎は「こんな奴なんておっしゃらないでください!」と叫びます。

よくありそうな「子供部屋おじさん」の家庭。そこにずかずかと踏み込んで行き、病巣をえぐるような仕事をする二人でした。
大輔のいかにもな風貌と一つ一つのセリフが悲しく響きます。

まぁしかし、島崎の一つ一つのプロ意識がすごいです。
こういうアウトサイダーな人をも全力で守り、すべきことの先をし、言うべき事以上の事を言います。
同窓会に付いていく時にもさり気なく大輔にスーツと靴を用意したり、父と息子の言い争いの後も父親に「嫌な役をさせてしまいました」と謝ります。
大輔が小学校時代に親友に理科室から塩酸を盗ませ騒動になったこと。それが原因で友人の進学がふいになり母親が自殺したという。
大輔が激しく攻められて暴力をふるわれそうになったのを止めた時のアクションも素晴らしく、プロを見せつけます。

タイムカプセルの中の手紙は思いがけないものでした。
「25年後の自分へ」と題した手紙で大輔の本音が書かれていました。
大輔は電車の運転士をしていた父親に憧れていました。運転する電車をよく見に行ってました。
夢は運転士になって自分の運転する電車に両親を乗せて走りたいという、
そんな素朴な子供だったのです。しかし、父親の願いはそれに反するものでした。

これを読んで父親は察します。体裁を気にしていたのは自分だった。
自分が息子に押しつけていたのは勝手な自分の夢だったと。そして息子に言うのでした。「この家を出て行け」と…。

去年の事件を思い出しますね。元官僚の親が引きこもりの息子を殺した事件です。
色んな事が重なった切ない、どうしようもない犯行でした。
しかしこの手紙はなんと素直なのか。胸が熱くなりました。

大輔が髪を切ってどこかの会社へ出勤するような場面でこの任務は終わりました。
この件は一件落着ですが…。

しかし島崎の周りはザワついています。今回も誰かが後をつけているのです。
それは以前から顔を知っている長髪の男です。
どんな目的でつきまとっているのか…。そして前いた会社の中も不穏です。
何を考えているか分からない奇妙な性格の社長が、菅沼を昇格させ、何かを企んでいます。

一時間弱の中にこんなにコンパクトに色んな題材を詰め込んで、ちゃんと着地させ、主役の良さを引き出し、周りの人物との関係も描き翌週に繋げる。
大したもんだと思いました。まさに脚本家のプロの技。
ベテラン脚本家ですもんね。
しかしちょっと気になったのは、島崎と高梨二人が似たような性格でいがみ合ってる時に仲裁役がいなくてオチがつかないところ。
場を和らげる若い社員でもいればいいのにと思います。
息子もしっかりしすぎてて全体に息抜きがないんですよね。

一話完結なのにこの出来、来週も期待できそうです。

 


「M~愛すべき人がいて」最終話の感想

2020-07-05 16:13:49 | ドラマ

感動的な最終回でした。
けっこうジーンと来ました。ネタドラマという意見もありますが、主人公はマサだったと思います。
最後まで見てそう思いました。

アユを売り出すのを社運を賭けて挑み、どうにか運に乗りアユをスターにさせたマサ。
しかしマサとアユは恋に落ちて、プロデューサーと歌手という線を超えてしまいました。一緒に住む写真を週刊誌にすっぱ抜かれましたが、社長がそれを揉み消しました。
社長はマサに解雇の代わりに3つのビッグプロジェクトを担当しろと無理難題をふっかけます。
3つも引き受けたら、アユの仕事はおろそかになってしまう。が二つ返事で引き受けるマサでした。

マサはそれまでにしたことの責任を引き受けたのでしょう。
当然、仕事は激務激務で、早く家にも帰れなくなります。付き合いで飲む回数も増える。
二人は同じ家にいながら顔を合わせる機会も少なくなります。
折角取った半日の休暇もマサは前日から泥酔して潰れてしましました。
そうしてアユの書く詞は悲しく切なくなり、その結果歌が売れるという皮肉な結果になって行くのでした。

「マサの仕事はゆっくり私たちを引き離していった」
と言うように、やがてアユはマサがいなくても一人でやっていけるアーティストになってしまうのでした。
一番悲しいのはマサです。自分が育てた歌手は自分との距離が離れるほど研ぎ澄まされていい曲を書く歌手になった。
そしてマサが望むのは、そんなアユを更に羽ばたかせて星のように輝くスターにすることでした。

百恵ちゃんのように「引退して幸せな家庭を築きます」というのではなく、本人も更にスターへの路を望むのでした。
自分の歌が人の心を打ち慰めや癒やしになれば…そちらの方を選んだのでした。

マサの葛藤が描かれます。
好きだけど、手放さなければならない。自分はプロデューサーだから。その成功が一番嬉しいのは自分だから。
相反する感情にマサは引き裂かれます。が、周りの人々も皆アユが飛躍するのを見届けたいのでした。

苦悩するマサの感情の変化が見物でした。アユを諦めるために礼香とのラブシーンをわざと見せつけます。
礼香はマサの心情を分かっていて「馬鹿にしないでよ!」とぶち切れるのでした。

場が盛り上がると流れるアユの歌が悲しく美しいです。
私はその時代の人間ではないけれど、時たま買い物に行って流れる浜崎の音楽に立ち止まって聞き入ってしまうことはありました。

結局、ただひたすら「俺を信じろ」の一点張りで愚直に歌手を育てた男。
根回しも工作もせず、誰のせいにもせず自ら責任を負い、最後は愛する人を手放した男。
まぁ見事ではありませんか。

ドラマとしては物足りないけど、脇役の怪演しか面白い所がなかったけれど、純愛があったというのだけは伝わりました。
どんな立場の人間であろうと、愛情というのはそう変わりないのだなと思いました。
アユは最後の歌をマサに届けます。それは2000年12月にリリースされた「M」でした。

そこから既に20年です。
実際のアユは何度か好きな相手を変え破局し結婚も2回して今は一児の母です。
「これが最後の恋であるように」は最初の恋だったようです。
「さみしがり屋の女の子はちょっとだけ大人になれたよ」「明日からもずっと私の歌を届けるよ」
一時代を築いた歌手の呟きが今はさみしく響きます。

思いがけなくいいドラマでした。自分でもびっくりしています。


「美食探偵」最終話の感想

2020-07-02 16:48:04 | ドラマ

何日か経ちますが他に書くものが見当たらないので感想を書いてみます。

最終回にしてはぎっしりと中身の詰まった終わり方でした。が、一言で言うと、どうしても気持ち悪さが拭えません。

明智が解き放してあげたマリアは今まで押し殺していたものが放たれ、それまでの自分から自由になり、こともあろうに殺人鬼として生まれ変わりました。
そしてカルトの主催者のようになって世の中に不満を持つ人を操って殺人集団を作り上げます。

りんご、れいぞう子、シェフはそのメンバーで上手く連携し人を殺人に誘導します。

今回はマリアファミリーは大臣や総理を招いた和菓子の選定会でトリカブトの毒を入れた和菓子を作り会場に潜入します。
どの和菓子に毒を入れたか、明智は推理します。
緑色の梅の菓子かと思いきや、桔梗のピンク色のお菓子でした。外務大臣はそれを食べて亡くなります。
マリアたちは、無差別殺人を狙ったテロリスト集団になってしまいました。
しかしそんな中でもマリアは明智が食べないようにと、明智の家紋である桔梗の菓子に毒を入れたのでした。

そんなこんなで、明智はいちごと共に最後の晩餐席に招かれます。
殺されると分かってるのにどうして逃げないのか?大人しく席に着いている二人の心理が分かりません。
明智の本心はマリアが好きなのか、それともいちごなのか?

いちごは晩餐に出された煮込み肉を前に文句を言い出します。
シェフのくせに毒入りではないとか言うなんて情けない、食べ物で人の気持ちを明るくするのがシェフの仕事ではないのかと叫びます。
そんないちごにマリアはトリカブトの毒を入れた注射を打ちます。いちごは気を失い、明智は泣き叫びます。
自分にとって支えだったいちごを心の底から惜しんで悲しみます。

しかしそこからがマリアの独壇場です。「見なさい!これが絶望よ!」と人の絶望を喜ぶのです。
明智と自分は絶望によって結ばれるのだと。自分が一番キライなのは「希望」だと言い張ります。

明智は「パンドラの箱を開けて色んなものが解放された。でも箱の中にたった一つ残されたものがある。それは希望だ」
と言うと、マリアは愕然とします。

テロリストを放ってはおけません。警視庁が家を包囲しています。
やがて警部が出て来てアジテーションし、マリアは一気に刃物を持って襲いかかります。他の警察官は何をしているのやら。
しかし、あの新米刑事がマリアの足を撃ちます。(ここで初めてこの人の存在意義が)
そしてマリアが更に刃物で襲おうとした時に、新米刑事が拳銃を撃ち、マリアの前に飛び出して銃弾を受けたのがシェフでした。

シェフは「デザートがまだある。苺のムース」とふらつきながら歩いて行き倒れます。

とか何とかしているうちに、マリアは断崖絶壁に佇んでいます。そこへ向かったのは明智。
マリアは言います。
「前回ここから飛び降りた時に死んでもかまわないと思った。でも神様が助けてくれた」
「もう一度神様が奇跡を起こしてくれたら、私を愛してくれる?」と囁きます。

警察が駆けつけた時に残っていたのは崖の上の明智一人でした。

マリアは自分から身を投げたのか?それとも明智が突き落としたのか?
それは誰にも分かりません。

警部は「自ら飛び降りたことにして上げよう」的な事を言います。
いちごは「明智さんがマリアを突き落とした」と呟きます。

明智はおそらくこんな風になったマリアへの責任を自分で取ったのでしょう。
(突き落としたのだろうと)

最後のシーン。
明智はいちごに「探偵はもう辞める」と宣言します。
それはマリアのような人間を自分で作ってしまったことのけじめでしょう。
その後の話として、海の中に沈んで行ったマリアの夢、いちごが通行人をマリアに見間違えるトラウマ、
マリアの影響を受け継いでしまったココの不気味な活動などが紹介され、最後まで目を惹きつけられました。

緻密に組み立てられた耽美的な物語でした。
が、私が受け付けなかったのは、「自分が解放されたのを人のせいにし、その人と絶望を共有して破滅の世界へ向かう」
とか「他人を殺人に誘導する、それを見て喜ぶ快楽殺人」
といった不健康で悪趣味なものが主題だったからでしょうか。
そういうのを楽しめればいいんですけれどね…私は幼いのかもしれません。

全般に役者さんが熱演していました。
風花さんの元気良さ、武田さんの撃たれてから死ぬまでの演技や小池さんのミステリアスさは素晴らしかったです。
まぁしかし女流作家というものは想像の上を行くものを書くんですね。驚きました。