まぁ良くまとまって感動あり疑問あり涙ありのたちまちの一話でした。
見ながらずーっと思っていたのは「薬剤師がこんなに治療に出しゃばっていいもんなの?」という思いでした。
自分が今まで見てきた薬剤師というのは、薬局の中で薬を調合する人でした。カウンターで薬の効き目や飲み方について話をする事はあっても、そこから外に出て来て
治療に加わるとか医師に助言するとか、まさかそんなことはあり得ないだろうという思いです。
戦場のような薬剤部。そこからみどりは抜け出て偏頭痛が治らずに苦しんでいる妊婦さんの様子を調べに行きます。
そこで主治医の誤診に気づきます。越権行為を知りながら患者を助けるために医師に猛然と主張します。
「医師免許がないくせに余計なことをするな」と怒鳴られても懸命に訴えます。そしてやはりみどりの言う通りの症状でした。
処置が正しく行われ、妊婦は快方に向かって無事出産をします。
このみどりの行き過ぎた行動に怒った医師は「医師安全委員会」にこの件を訴えます。
当然みどりが悪いのは百も承知です。だれも彼女を庇いきれません。
助産師や救命医からみどりを擁護する声が上がりますが、医師はみどりに厳しい処分を望みます。
どうなるかと思いきや(この医者は自分の診断が間違ってたことを棚に上げてるんですから)なんと、薬剤部長と副部長の連携プレイで医師の旗色が悪くなり、彼は処分の提案を引っ込めました。
なんだかんだ言ってもみどりは周りに信頼されているのでした。その後の同僚たちのリアクションでそれが分かります。
みどりは万事こんな調子です。女子中学生二人の病室で、一人の子の血糖値が改善されないのを周りでは不思議に思っていました。
が、みどりは見抜きます。
奈央と言うその子はわざとインシュリンを打っていなかったのです。
小学生の頃から注射を打たないと普通の生活が出来ない奈央は周りの同級生と距離が出来てしまい、病院の中の入院生活に安らぎと安心を感じるようになっていました。
退院して元の生活に戻るのが嫌で、わざと注射を打っていなかったのです。
それを見抜いたみどりは、もう薬剤師以上の存在です。
さらに、同室の優花も似たようなものでした。日常から逃げて嫌なことがあると入院し、ここに逃げ込んでいたのです。
みどりは「なんでそんな事が分かるのさ?」と思うくらいの洞察力です。
奈央が退院していく時に、みどりと優花が話をします。「一生インシュリンを打ちながらあなたは生活して行かねばならない。
それを打ちさえすれば、普通の未来を生きていくことが出来る。だからこの薬を軽んじてはいけない。
きちんと向かい合って、生きていって欲しい」と話します。その言葉で全てを悟ったかのような優花でした。
みどりはまるで心理学の先生のようです。恐れ入ります。
エンディングでは、奈央と優花の未来が走馬灯のように流れます。(走馬灯がどういう物か知らないけど)
二人は受験、進学、仕事に就き、結婚して奈央は子供を宿しています。二人の輝くような笑顔がまぶしく、ここで私はどっと目頭が熱くなりました。
こんな薬剤師がいたらそれこそ職場の規律や調和を乱すけれど、もし一人どうしようもない医師がいて誤診や不適切な処置を繰り返していたとしたら?
即刻辞めてほしい。でもそういうわけにも行きません。
患者の立場なら、適切な治療のために薬剤師でも誰でもいい、越権行為でもさっさとして、失わなくていい命を救ってほしい。
と、乗せられた私は切実に思ったのでした。