日々是好舌

青柳新太郎のブログです。
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天井が 落ちたトンネル 通りけり

2012年12月03日 15時45分51秒 | 日記
今回天井が崩落した中央自動車道の笹子トンネルは私も何度か通ったことがある。
私は運よく無事に通過できたが、今回の事故で下敷きになった方々の悲運というのか不運というのか、気の毒過ぎて慰めの言葉もない。と、同時に私も土木技術者の端くれとして道路管理者の中日本高速道路の杜撰な管理体制にはあきれて物が言えない。

トンネルの開通は1977年というから出来てから既に35年も経っている。この間、天井部分の改修工事はほとんど行われていなかったという。

中日本高速道路は、今年9月の定期点検で、崩落したコンクリ-ト製天井板の上に人が入り、点検したが異常はみつからなかったとしているが、天井の吊り金具のボルトの「打音検査」などはしていなかったという。

天井板は長さ5メートル、奥行き1.2メートル、厚さ8センチで1枚あたり約1.2トンあるという。
5×1.2×0.08×2.4トン=1.152であるから概ね間違いなかろう。鉄筋コンクリートの比重は普通2.4で計算する。

天井板の上に人が入って何を点検したというのであろうか。私が思うには大方、何メートル置きかに設置されているハッチから首だけを出し、目視して異常なしと判断したのではないか。コンクリートといえど鋼材といえど35年間も経てば経年劣化が進むことは当然考慮せねばなるまい。
トンネルのクラウンの部分はコンクリートの打設も一番難しい部分であるから、どんなボルトで固定してあったのか分からないが、もっと細やかな神経を遣って点検するべきだったのではないだろうか。

結果論でものは言いたくないが、天井板をもっと軽い材質の物に交換したり、吊り金具の結合部分を点検あるいは金具の交換などをしていれば当然防げたはずの事故である。この点で道路管理者の責任は厳しく問われなければならないであろう。

(昨日の続き)
今朝のテレビニュースや新聞報道によると、天井板を吊るしていたアンカーはトンネルの巻き立てコンクリートの中へ15センチ程度入っていただけだったらしい。
詳しく見たわけではないので正確なことはわからないが、アンカーの鋼材が切れたとか、ボルトが抜けたとかいうものではなくて、コンクリートの接続部分ごと剥離して崩落したと見るのが理にかなっているようだ。
つまり、雪崩現象と同じで一箇所のアンカーが損傷したことにより、隣のアンカーへ負荷がかかり過ぎて抜け落ち、次々に連鎖して崩落したものと考えられる。
コンクリート構造物を半永久構造物とする誤った考え方に基づく維持管理の方法に根本的な問題があったことは明白なようである。
コメント (2)
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