杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

天地明察

2013年02月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年9月15日公開 141分

江戸時代前期。安井算哲(岡田准一)の生まれた安井家は将軍に囲碁を教える名家であるものの、算哲自身は出世欲のない不器用な男だった。星の観測と算術の問いを解くことが好きで、あまりにも熱中しすぎて周囲が見えなくなることもしばしばだった。算哲は形ばかりの勝負となった囲碁に次第に疑問を抱き、真剣勝負の場に身を置きたいとの願いを持つようになる。そんな算哲を、将軍・徳川家綱の後見人である会津藩主・保科正之(松本幸四郎)は暦の誤りを正す任に抜擢する。800年にもおよび使われてきた中国・唐の時代の暦がずれてきたため新しい暦を作るというこの計画には、星や太陽の観測をもとに膨大な計算を必要とし、さらには本来なら朝廷の司る改暦に幕府が口を出すという朝廷の聖域への介入という問題をはらんでいた。算哲は師や友人、算哲を慕いやがて妻となったえん(宮崎あおい)や、彼のよき理解者であった水戸光圀(中井貴一)らに支えられながら、この難関に誠実に取り組んでいく……。(goo映画より)


冲方丁の小説が原作ですが、山崎闇斎が反対派の襲撃の際、算哲を庇って死亡など、いくつかのエピソードは原作・史実と異なっているようです。
暦というものは生まれた時からあって、それをどのように作ったとか採択したなどということには関心を持つこともなかったのですが、この映画を観てちょっとだけ意識を新たにしたかも

冒頭、絵馬に書かれた設問に夢中になる算哲。そんな彼を好ましく見つめるえん(宮崎あおい)とその兄で塾を営む村瀬(佐藤隆太)との出会いから設問者で和算の第一人者の関孝和(市川猿之介)とも知り合います。彼の講本の数理を助けに天文の知識を合わせて歴の作成に取り組む様は天体観測や紙に書かれた膨大な量のデータで表されるのですが、具体的な説明がないので、正直ちんぷんかんぷんもう少し素人にも理解できるような補足が欲しかったかな。

算哲は自分の興味を持ったことに没頭するやや不器用な人間です。けれども彼を支える周囲の人が少なからずいた事は、彼の人柄の良さを示しているのだと思いました。
碁の指南役というのは将軍お目見えが出来るほどの文化人としての高い地位が認められていたのでしょうね。御前でガチ勝負した本因坊道策(横山裕)との友情も後々まで続いています。この勝負がきっかけで算哲は帯刀を許され武士として取り立てられて北極出地を命じられます。そして共に任に当たった建部伝内(笹野高史)と伊藤重孝(岸部一徳)という良き理解者を得ます。

当時朝廷が採択していた宣明暦では看過しがたい誤差が生じていることを知った算哲は保科や光圀の後押しで歴の改訂に挑みます。当時日本で知られていた三歴を比較し、授時暦こそが相応しいと結論した彼は三歴勝負に出ますが、最後の一番で予想が外れるの。
失意の算哲でしたが、関の助力やえんの内助の功もあり、やがて日本で初めての国産歴となる大和歴を編み出すのです。このあたりの時間の経過がわかりにくかったのも残念。だって岡田・算哲全然外見が年取らないんだもん。

大和歴の正しさを実証せんと再び日食の予測に賭けた算哲を幼馴染の京の公卿・土御門泰福(笠原秀幸)も支援しますが、当日の該当時刻になっても太陽は欠けません。いざ腹切りか?の瞬間・・という演出はあざとい気もしますが、確かにドラマティックではあります
刀を握って出血したその手でえんと抱き合ったら血がつくじゃん、とか余計な心配をしてしまう私って物語に感情移入してない証拠ですねだって結末は予測できるんだもの

この時、京の町民相手に「もし歴が狂っていたら大安だと思っていた日が実は仏滅だったり、良き方向と思っていたのが悪しき方向だったり。それでは暮らしが立ちいかなくなってしまう」と言っていたのに目からうろこの思いでした。そうか!!歴ってそういう意味でも凄く大切なんだよね

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