杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

はじまりへの旅

2017年11月12日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年4月1日公開 119分 アメリカ

どこを見渡しても雄大な自然が広がるアメリカ北西部。電気やガスはおろか、携帯の電波さえ届かない大森林の中で、自給自足のサバイバル生活を送る奇妙な一家がいた。高名な哲学者ノーム・チョムスキーを信奉し、現代の文明社会に背を向けた父親ベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)と6人の子供である。18歳の長男ボウドヴァン(ジョージ・マッケイ)、15歳の双子キーラー(サマンサ・アイラー)とヴェスパー(アナリース・バッソ)、12歳の次男レリアン(ニコラス・ハミルトン)、9歳の三女サージ(シュリー・クルックス)、そして7歳の末っ子ナイ(チャーリー・ショットウェル)は学校に通わず、先生代わりのベンの熱血指導のもと、古典文学や哲学を学んで6ヵ国語をマスター。おまけにアスリート並みに体を鍛え、ナイフ1本で生き残る術まで身につけていた。子供たちにとって大森林での生活は毎日が冒険で、そこはまさにキャッシュ家の理想の楽園だった。ある日、“スティーブ”と名付けたバスに乗って山のふもとの雑貨店を訪れたベンは、数年前から病で入院していた妻レスリー(トリン・ミラー)が亡くなったという知らせに心を痛める。泣きじゃくる子供たちは、「お葬式に行かなくちゃ」「ママに会いたい」と懇願。レスリーの父親ジャックと折り合いが悪く、「来れば警察を呼ぶ」と警告されているベンはためらうが、意気消沈した子供たちを不憫に思い、彼らの願いを受け入れる。目指すは2400キロ離れたニューメキシコ。一家が成し遂げるべきミッションは、仏教徒のママを教会から“救出”すること。ベンが「戦闘開始だ!」と号令をかけると、バスに乗り込んだ子供たちは一斉に雄叫びを上げた。大森林の家から初めて“下界”に降りたサージやナイは、車窓の外に広がる光景に興味津々。お腹を空かせた子供たちはダイナーのホットドッグやハンバーガーに目を輝かせるが、コーラを“毒液”と見なすベンは何も注文せずに店を出て、スーパーマーケットでミッション“食べ物を救え!”を実行。まんまと盗んだチョコレートケーキを子供たちに振る舞った。この日の宿は、ベンの数少ない理解者の妹ハーパー(キャスリン・ハーン)とその夫デイヴ(スティーブ・ザーン)の自宅。ところが夫妻の2人の子も交えたディナーは、ベンらが常識外れの言動を連発したせいで最悪の雰囲気に。ハーパーはたまりかねて「子供たちは学校へ行くべきよ」と諭すが、そんな忠告に耳を貸すベンではなかった。ハイウェイを走り続けた一家がキャンプ場に泊まった夜、ボウドヴァンはそこで出会った大人びた美少女クレア(エリン・モリアーティ)とプールサイドでトンチンカンな会話を交わし、まさかのファーストキスを経験。心臓が破裂しそうな衝撃を受けた彼は、クレアの母親の目の前で跪き、大真面目に結婚を申し込んでしまう。こうしてボウドヴァンの初恋は切なくも砕け散った。遠路はるばるニューメキシコに到着した一家は、厳かに葬儀が進行中の教会にド派手なファッションで乱入。しかしベンを心の底から憎むジャックに、埋葬への参列を拒まれてしまう。このままではママを救えない。しかも大学進学を夢見るボウドヴァン、ベンの極端な教育方針に反発するレリアンが次々と不満をぶちまける。さらに子供たちの養育権を法的に争うとジャックに宣告され、新たなミッション中に起きたアクシデントで、たちまち窮地に立たされたベンの信念が揺らぎ出す。子供たちの未来を思い、父親として重大な選択を迫られたベンは、いかなる決断を下すのか。そして最大の危機に直面した一家は、綻びかけた絆を取り戻すことができるのか……。(公式HPより)

 

ヴィゴが出演しているのでセレクトした作品です。 ・・・が、演じているベンという人物には殆ど共感できませんでした

森の中で他人と交わらず自給自足の生活を送る一家ですが、教育度はかなり高いしサバイバル能力も桁違い。この父親(と母親)がどこでそのスキルを身に着けたのか気になるぞ(その辺のことは一切描かれていない)この両親に育てられた子供たちは自分たちの境遇に何の疑問も感じていない・・・かと思いきや、レリアンは自分たちの生き方が社会からずれていることに薄々気付き始め、ボウドヴァンは父親に内緒で大学を受験し合格(それも名立たる有名大学総なめ)しているという・・・これは彼が社会に出ていこうとしていることを意味します。

ベンは、世間一般からみればかなり浮いた存在で、自分の生き方を子供たちに強制しているという自覚がありません。独特の教育方針を持ち、例えば性や死に関してもタブー視せずにありていに事実を説明します。彼の子供たちには自然なことでも、甥っ子には刺激が強すぎるだろうとは思いつかないのです。また、彼が妻のために良かれと思って始めた森の生活も彼女の病気の回復には役立たなかったようですが、そのことにも目を背けていました。

その場に相応しいとは言えない恰好で葬式に訪れた一家に戸惑う祖父母。警察を呼ぶとは言ったものの、実際にベンを突き出すということはせず、孫たちを温かく迎えます。レリアンは祖父母と暮らすことを望み、彼を連れ戻そうとするベンの指示に従った双子の一人が怪我をしてしまいます。ここで初めてベンは自分が子供たちの人生を狭めているのではないかと気付くのです。また、ボウドヴァンの受験はレスリーの助言があり手助けをしていたということも明かされます。彼女は心を病んでいたとはいえ、ベンよりは客観的に子供たちの将来について案じていたのでしょう。

子供たちを祖父母たちに託し、独り去ろうとするベンですが、子供たちが彼についていきます。彼らは教会の墓地ではなく火葬してトイレに遺灰を流して欲しいという母レスリーの願いをどうしても叶えたかったのです。墓地から遺体を掘り出してスティーブに積み、自然の中で火葬する一家の姿は道徳に反しますがなかなか素敵です。キリスト教徒である祖父母たちと仏教を信じていたというレスリー。宗教のことはよくわからないけど、祖父母もベンや子供たちもレスリーを心から愛していたということは伝わってきました。

この後の顛末は省かれていますが、長男は広い世界に出ていき、一家は(おそらくは)田舎に住み、学校にも通うようになっています。ベンも自分の考えを子供に押し付けるのではなく、社会性を育みながら子供たち自身に選ばせることにしたのかな。


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