杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

薬屋のひとりごと 8

2024年06月08日 | 
日向夏(著)  しの とうこ (イラスト) 

毒で体調を崩した姚が医局勤めに戻れるようになった頃、猫猫のもとに大量の書物が届いた。送り主は、変人軍師こと羅漢。碁の教本を大量に作ったからと、猫猫に押し付けてきたらしい。興味がないので売り飛ばそうかと考える猫猫の考えとは裏腹に、羅漢の本によって、宮中では碁の流行が広がっていくことになる。
一方、壬氏はただでさえ忙しい身の上に加えて、砂欧の巫女の毒殺騒ぎや蝗害の報告も重なり、多忙を極めていた。そんな中、宮廷内で碁の大会が企画されていることを知った壬氏は、羅漢のもとに直接交渉をしかけに行く。開催場所を壬氏の名前で提供する代わりに、さぼっている仕事をこなすように説得するのだが――。(内容紹介より)


今回の壬氏様は、猫猫と周囲を納得させようと本気で頑張ります。
その決意表明の方法はマゾ過ぎるけど愛が溢れていました。

猫猫の元に送りつけられた大量の書物は羅漢が出した囲碁の本。これも父ちゃんの愛情表現とも言えますが、娘には届いていない。さっさと売ろうとするし、壬氏に届けたのも在庫整理のためだろうし。貰った壬氏の感想に同意しつつも同情も。

こんな本売れるのか?との猫猫の予想は外れ、宮中でも街でも大人気となり、遂には碁大会が開催されることになります。羅漢の借金(妓女の身請け代と後宮の修理代)返済もあるので、養子の羅半は稼ぐ気満々。「勝ったら羅漢に一度だけ願いを聞いてもらえる」という噂まで流しています。 それを真に受けた壬氏が参加しちゃうのね。

壬氏は、主上の碁の指南役の『棋聖』の指導を受け、大会に臨みます。
6勝すれば羅漢への挑戦権が得られるルールです。大勢から恨みを買っている羅漢の護衛のため武官も配置され、いざという時のための処置に羅門もいます。猫猫も理由をつけて会場にお使いに行かされます。

覆面姿で会場に現れた壬氏は、元プロの相手とあたり敗色の場面で覆面を外し動揺させて勝ちを拾います。
棋聖が教えたのは、囲碁の打ち方だけでなく「どんな手段を使ってでも勝つ方法」でした。変人対変態(羅漢対壬氏)の一戦が始まります。するとなんと羅漢が自爆し壬氏優勢の展開に!

壬氏は大会開催の会場を提供することを条件に羅漢にさぼっていた仕事をさせ、羅漢の睡眠時間は通常の半分になっていました。更に、猫猫に水蓮が作った菓子(酒入り)を壬氏に届けさせることで、甘い物&猫猫を愛する羅漢が横取りして食べることまで想定する念の入れようで、終盤で眠気と酔いで疲れがピークに達していた羅漢の隙を作ったのです。まさに周到な罠を張ったわけ。

このまま大差で勝てる筈でしたが、邪魔が入ります。
以前羅門により罪を暴かれた3つ子の兄弟が父親を巻き込み厄介毎を持ち込んできたのです。息子たちの見分けすらつかない父と我儘に育った兄弟。更に事件の背景には毒白粉が禁止されたことで、新たに毒葡萄酒が出回っていることがありました。まるでモグラたたきだね。
優しい羅門に代わり猫猫が真相を解き明かしてみせますが、この騒動で対局はお預けとなりました。

後日続きをしますが、睡眠をとり元気になった羅漢に、壬氏はあっさり逆転されてしまいます。しかし羅漢は普段はしない感想戦をし、「何が目的か知らないが手段は面白かった」と言います。彼には壬氏が仕掛けた作戦もお見通しなのね。それでも少しは壬氏を認めたようです。
軍略の基盤を動かし再配置していった羅漢は、軍の強化を望む壬氏の願いを汲み取ったわけね。

後日、猫猫は壬氏に呼び出されます。そこには主上と玉葉后もいました。
そこに壬氏の爆弾発言が投入!「皇族辞めて、臣下になりたい」怒りを爆発させた主上は壬氏に強烈な一発を。更に自らの脇腹に火かき棒で焼印(玉葉后の紋)を押します。 それは絶対服従の証です。
猫猫は思わず「このマゾ野郎!」と叫びます。密談室のあちこちに置いてあった漢方の材料は火傷の処置のために壬氏が用意していたのね。

以前猫猫が「玉葉后の敵になりたくない」と答えていますが、それなら敵対しないことを証明しようと考えたわけね。更に奴隷の焼印を見せるわけにはいかないから、妻も医官も限られる→猫猫だけでいい!というわけです。
玉葉后が「あなたには半分くらい責任があると思うわ」と言ったのも頷けますね。

手当を寝室でと連れて行かれ危機感を感じる猫猫に壬氏が邪悪な笑顔で「どうせ俺はそこそこだし……」と言ったのは、3巻のエピソードに関連してのようですが…未読だ~!読まなきゃ
でもって、そういうことを根に持つタイプなのね~壬氏様😁 

今作では馬閃の弟の馬良(優秀な文官)と姉の麻美が登場します。壬氏の周囲も次第に頼もしい味方が集まってきているような。

序話と終話は玉葉妃のモノローグ。彼女も家族関係に難ありの女性なのね。簪の一件は毅然と立ち向かう覚悟を促すものでした。

序話
一話 碁教本
二話 街歩き
三話 流行
四話 馬姉弟
五話 礼
六話 雷鳴
七話 遠征
八話 嫌がらせ
九話 壬氏の思惑
十話 白湯
十一話 戯れと恐れ
十二話 不味い料理
十三話 簪泥棒
十四話~十六話 囲碁勝負 前編、幕間、後編
十七話 変人対変態
十八話 指の持ち主
十九話 棋聖
二十話 王手
終話
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