杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ハーメルンの誘拐魔

2023年11月09日 | 
中山七里(著) 角川書店(出版)

病院からの帰り道、母親が目を離した隙に15歳の少女・香苗が消えた。現場には中世の伝承「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。警視庁捜査一課の犬養隼人が捜査に乗り出し、香苗が子宮頚がんワクチン接種の副作用によって記憶障害に陥っていたことが判明する。数日後、今度は女子高生・亜美が下校途中に行方不明になり、彼女の携帯電話と共に「笛吹き男」の絵葉書が発見された。亜美の父親は子宮頚がんワクチン勧奨団体の会長だった。ワクチンに関わる被害者と加害者家族がそれぞれ行方不明に。犯人像とその狙いが掴めないなか、さらに第三の事件が発生。ワクチン被害を国に訴えるために集まった少女5人が、マイクロバスごと消えてしまったのだ。その直後、捜査本部に届いた「笛吹き男」からの声明は、一人10億、合計70億円の身代金の要求だった...。(「BOOK」データベースより)


薬害に関わるミステリーということで読んでみました。
今回は「無駄に男前で女心を全く読めない」犬養と、事件の背景にある薬害の構図に怒りを抑えきれない女性刑事の高千穂のコンビです。

犯人については想像通りで意外性はありません。
被害者は障害を持つ少女たちとはいえ、一人は健康体で、連れ去った後の監禁場所や医療処置が必要なことを鑑みれば自ずと犯人像は絞られます。推理としてはやや安易な気がしました。
ただ、犯人にいいように踊らされる犬養たち警察の焦りや憤懣が伝わってくる緊張感のある展開は面白かったかな。😉 
大阪では府民の警察に対する反応が全く違う(お上への反発心がある)のね😁 

ワクチン被害の背景に厚生労働省と製薬会社と日本産婦人科協会 の癒着の構図が登場しますが、それってありえると思わされます。
そもそもワクチンは公衆衛生を目的とされていて、副反応の救済制度もあるけれど、物語ではその副反応を認めない姿勢が事件を引き起こしているんですね。

被害者とその家族は殆どが女性ということが犬養の鋭利な推理を妨げ続けます。そのためのキャラ設定かよ!と突っ込みたくなるくらい、今回の犬養は鈍感ですが、犯人に辿り着いた後は確保に向けて大胆な行動を取ることで救うんですね。😀 

誘拐事件は解決し、ワクチン接種の推奨も控えられることになりますが、中止とはならないあたりが国の思惑もあり難しいところなのかも。

香苗の記憶障害に一縷の改善が見られたことがせめてもの希望となる結末でした。
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