杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ねこのばば

2008年07月14日 | 
畠中恵/著   新潮文庫

若だんなと妖怪たちの不思議な人情推理帖。シリーズ第三弾。

廻船問屋と薬種問屋を営む江戸の大店・長崎屋の一人息子一太郎17歳。極め付きの病弱な彼には大甘な両親と更に輪をかけ甘い兄やの手代二人がついている。
実は、一太郎は大妖である祖母の血を引いて、普通の人間にはわからない妖を見分ける目を持つ。手代二人も祖母から遣わされた妖で、小鬼の家鳴や屏風の付喪神など一太郎の周囲は彼を慕う妖でいっぱいなのだ。

「茶巾たまご」
最近体調が良く寝込まなくなった一太郎、長崎屋にも数々の幸運が起こっている。海苔問屋にいた貧相で役に立たない金次という下男を雇ってからなのだが、ある日その海苔問屋の娘お秋が殺される事件が起き・・・。

福の神と貧乏神の話がベース。

「花かんざし」
人に見えないはずの妖が見える迷子の子供と出会った一太郎。於りんという5歳の少女は「家に帰れば殺される」と言う・・・。

精神を病んだ登場人物を、この時代風に描いている短編。
いわゆる大人の複雑な事情と於りんの愛らしさが対照的。

「ねこのばば」
上野広徳寺に預けられた猫又になりかけの猫を貰いうけに出かけた一太郎は、手代と共に向かった寺の境内で僧が殺されているのを見つける・・。

妖封じの高僧・寛朝と一太郎の静かな対決が見所の一つ。
17歳の少年だけど、高僧に引けを取らない度胸と頭脳で対等に渡り合うのが面白いです。

「産土」
次々に店が潰れていく中、怪しい信心にのめりこむ旦那と引き込まれてしまった若旦那を心配する佐助は・・・。

何か違う、何かおかしいと思いながらも結局最後の種明かしまで違和感を抱きつつ読んでしまう。今回は佐助の○話なんだ~~。

「たまやたまや」
幼馴染の栄吉の妹の結婚話に、相手の事が気になり外出した一太郎は、当の相手の庄蔵と共に武士達に捕らえられてしまう・・。

捕らえられた蔵の中での謎解きが主かな。
珍しく一人で活躍か?と思ったけれど、やっぱり体の弱い一太郎には推理が精一杯で力仕事は妖たちの独壇場なのね。

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