杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ウォルト・ディズニーの約束

2014年03月26日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年3月21日公開 アメリカ 126分

ウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)は娘の愛読書である「メリー・ポピンズ」の映画化を長年にわたり熱望していたが、英国に住む原作者P.L.トラバース(エマ・トンプソン)は替えのオファーを断り続けてきた。それでも諦めないウォルトに業を煮やしたトラヴァースは、決着をつけるためにハリウッドへやってくる。
彼女は、脚本家(ブラッドリー・ウィットフォード)と音楽担当のシャーマン兄弟(ジェイソン・シュワルツマン、 B・J・ノヴァク)が提案するアイデアをことごとく却下。ついに映画製作は暗礁に乗り上げてしまう。なぜ彼女は頑なに「メリー・ポピンズ」を守ろうとするのか?その答えが、幼い頃の彼女と父親(コリン・ファレル)との関係にあると知ったディズニーは、映画化実現の最後のチャンスをかけ、トラバースにある約束をする・・・。(チラシより)


1964年のミュージカル映画「メリー・ポピンズ」の製作秘話です。
実は映画も観てないし本も読んでいないのですが、劇中でシャーマン兄弟が歌う曲は聞き覚えがありました。「チム・チム・チェリー」や早口言葉のような呪文のような歌とかね
エマ・トンプソンは「ナニ・マクフィー」シリーズとはまた違う、頑固で偏屈な(実はオーストラリア出身の)英国女性を演じています。これがまた実に憎たらしいの

「メリー・ポピンズ」は東の風に乗って現れた不思議な力を持つナニーがバラバラだった家族をひとつにするお話とのこと。へぇ~~そうだったんだ
鳥の頭の柄の傘とか空から舞い降りるシーンはなんとなく知っているような気もいつかどこかでチラッとくらいは目にしていたのかも

トラヴァースは辛辣な女性ですが唯一心を許したのは専属運転手のラルフ(ポール・ジアマッティ)です。
彼の病気の娘が彼女の本の大ファンであることや、ラルフ自身の人柄が彼女の心を動かしたのでしょう。

映画では、ハリウッドで脚本にことごとく異を唱える彼女の姿(客観的に見てもそれは難癖に近く製作側である脚本家や音楽家に同情したくなりますし、それにもめげずに何とか良いものを作ろうとする姿は感動的ですらあります)と、彼女が父親と過ごしたオーストラリアでの子供時代が交互に登場します。

ディズニー社内の解放的で明るく自由で楽しそうな様子とトラヴァースの頑なさ(お菓子もぬいぐるみも拒否、紅茶党など)の比較が面白いです彼女が凹んだ時にミッキーの大きなぬいぐるみを抱きしめて寝るシーンがあるのですが、子供じみたディズニーの世界観を苦手としていた彼女の心の奥に眠っていた童心が顔を覗かせていてでした。

彼女の父親は想像力に富み家族を愛する人でしたが、その性格ゆえか仕事が長続きせず、病気から来る痛みを紛らわすうちに酒に溺れるようにもなっていったようです。(またはアル中で体を壊したのか?)
父親が大好きだった彼女は、変わっていく父親を見て混乱します。母(ルース・ウィルソン)はそんな状況に耐えきれず心を病み、そんな一家を心配した母の姉のエリー(レイチェル・グリフィス)が世話にやってきたようです。彼女がナニーのモデルなのかな?現実的なエリーおばさんが与えた影響も大きいのね。

実は「メリー・ポピンズ」に登場するミスター・バンクスの基になっていたのは彼女の父親であり、ウォルトたちが彼を悪人として描くことが彼女には耐えがたかったのです。
そんなトラヴァースの心情を察したウォルトはバンクスを悪人ではなく本当は善い人として描くことで彼女の承諾を勝ち得ます。

ここまでなら美談なのに、アメリカでのプレミア試写会に彼女を招待しないところにウォルトの実業家としての計算高い一面がみられます辛辣な彼女がマスコミにどんな感想を漏らすか心配する気持ちはわかるけどねそして呼ばれていないのに会場に現れるところが彼女の凄いところこのシーンでのウォルトとのやりとりが愉快です

「メリー・ポピンズ」機会があったら観てみようっと

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